第45話 過去
やってまいりました、フェルトとの会話フェイズが。
さあさあ、今回は話したい事がいっぱいあるから何から話そうかなぁ〜。
などと考えながら、この白い空間からフェルトを探し出し、見つけると、そちらに駆け出した。
そして、フェルトの近くまでつき、第一声を放とうとしたが、それはフェルトの怒っている声に先を越された。
「あの戦い方はなんですか?」
ここに来るたびに、フェルトって怒ってないか?
そんな他愛の無い事を考えながら、すぐに今日の魔物討伐の事だと分かった。
そして、フェルトが怒っているのは、きっと、自分の体を犠牲にした様な戦い方の事だと思い。
「すみません、今度からは、わざと攻撃を食らったりしませんし、自分の体を大事にしますので許して下さい」
これで優しいフェルトなら、許してもらえると思っていたが、返ってきた言葉は予想外のものだった。
「私が言っているのは、あなたが彼らを殺した事です。
特に最後のあれはとても許容出来るものではありません。
あんなの惨すぎます。
それにソウジ、あなたは彼らを殺す事になんの躊躇いもありませんでした。
普通ならそんな事はあり得ないの事なんです。
人と言うのは、同種を殺す時にはどうしても躊躇いが生まれます。
そして人を殺す事に躊躇いがないのは、狂人か、既に人を殺めたことのあるものぐらいです。
ですが、ソウジはそのどちらでも無いはずなのに、どうしてあんな風に躊躇いなく人を殺す事ができたのか私には分かりません。
ですから・・・・」
俺の事ではなく、あいつらの事で怒っているフェルトの声を何故かは分からなかったが、心のそこから聞きたくはなかった。
だから、一秒でも早く終わって欲しいと思い。
そして口を滑らせてしまった。
「フェルトの言っている事はあっていますよ」
俺はフェルトの発言に覆いかぶさるように、発言をした。
「えっ、なっ、なにを言っているんですか?」
フェルトは俺がなにを言っているのか分からない様だった。
なので続きの言葉を発した。
「フェルトの言う通り、俺はこれよりも前に人を殺した事があるんですよ」
「えっ⁉︎」
気が付いた時には全てが遅かった。
この事はフェルトには言いたくなかった。
きっとこれを言ってしまったら、フェルトまで離れて行ってしまう気がしたから。
そして、その事を深く考えて欲しくなく、俺はフェルトの反応も待つ事なく、畳み掛ける様に喋った。
「それにフェルトは、あいつらを殺した事を怒っているようですが、それはおかしいですよ。
だってあいつらは俺の命を狙って来たんですよ。
だから、あの場で殺さず生かしておけば、またいずれ俺が命を狙われたかもしれないんですよ?
後、命を狙って来たやつが、逆に殺されても文句はないと思いますが?」
半ば、八つ当たりのような発言。
もしかしたら嫌われるかもしれないが、それでも、これ以上あの事を聞かれるのが嫌だった。
自分で言ったくせにこの言い草、我ながらガキの様だと思ってしまう。
そしてこのままフェルトがなにも聞いてこない事を願ったが、そんなに神様は甘くなかった。
「ソウジ今の話をちゃんとしてくれませんか?」
そんな事を言われても、話したくなく、上手く誤魔化そうとした。
「そっ、そんな事どうだっていいじゃないですか、ほっ、ほら今日のことについて話しましょうよ」
だが、そんな事では誤魔化せる訳もなく。
「誤魔化さないで下さい、私はソウジ、あなたの過去を聞きたいと言っています」
その声は、真面目な時のフェルトの声だった。
俺も、これ以上はなにを言っても無理だと理解し、正直に全てを話すことにした。
「分かりました、全て話します。
ですがその前に、これを聞いた時、フェルトは俺を見捨ててしまいますか?」
俺の声は柄にもなく震えていた。
きっと、フェルトの返事を聞くのが怖いのだろう、それでも聞かずにはいられなかった。
そして、フェルトを恐る恐る見ると、フェルトは「なにを言っているんですか?」とキョトンとした顔で言って来た。
そんな反応が何を意味しているのか分からず、こちらもきっとフェルトと同じ顔をしていると思う。
そんな俺に気づいたフェルトは、言葉の続きを話してくれた。
「ソウジは言ってくれました。
こんな私を信じ手伝ってくれると、それが命を落とすかもしれないものだと知ってもなお。
それなのに、ちょっとヤバイ昔話をされただけで見捨てるなんて、そんな事をする訳が無いじゃ無いですか。
私だって、ソウジを信じているんですよ、だから、何があっても私はあなたの味方です」
心のそこから、何かがこみ上げて来たが、それをなんとか抑え、そして俺も覚悟を決めた。
「分かりました、なら話させていただきます。
この俺、日丿輪 総司、いえ、暁 総司のくだらなく、短い、身の上話を」
それにフェルトは「はい」と短く返したのを確認し、俺も話し出した。
今回で10万文字を達成しました。




