表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
村人勇者の英雄譚  作者: ワカメ
一章 王国生活
40/73

第40話 王達の場2

「ではまず、エルスさんを含めたこの場の者に聞きます。

 この顔に見覚えはありませんか?」


 と机に置いた頭を指差した。


 すぐに返答は返ってこず、沈黙がうまれてしまった。

 だが、その沈黙をエルスが壊した。


「すまないが、その者の顔に見覚えが無いのだ、それは、儂を含めたこの場の者も同意見だと思うぞ。

 それで、なぜその様な事を聞くのだ?

 まさか、魔物討伐で何かあったのか?

 それなら、騎士団が帰って来ていなことも納得が行く。

 なので、何があったのか教えてもらえないかな?」


 しらを切りやがった。

 こっちがまだ何も知らないとでも思っているのか、適当言ってごまかすつもりか分からないが、兎に角話を進めることにした。


「こちらが、質問をしたいんですが、仕方無いですね。

 ですが、こちらが質問に答える前に二つ聞いておきたいことがありますので、まずはこちらの質問からでもいいでしょうか?」


 エルスが「構わんよ」と承諾を取ったので、まず一つ目の質問を投げかけた。


「今回の件に関して、本当に関わりはありませんか?」


「今回の件が何かは分からないが、断言しよう何も関わっていないと」


 流れる様に嘘をつきやがった。

 だがそれも、予想通りといえば、予想通りだ。


「では次に、この国には、あんたに反抗する勢力があるのか?」


「恥ずかしながら、この国には叛乱軍が存在している。

 彼らは革命軍を名乗ってはいるが、やっている事はそこらの賊と変わらん奴らさ。

 これでそちらの質問には答えた。

 次はソウジ君がこちらの質問に答える番だよ」


 と言われたので、「分かりました」と返し、質問を答え始めた。


「では、質問に答えて行きたいと思いますが、その前に一つ、ここにいる者達は皆信用出来る人達ですか?」


 エルスはなぜそんな事を、と思っている様な顔だったが、そのまま「当然だ」と言われたので、話を続けた。


「それではお話しさせていただ来ます。

 まぁ、簡潔に言いますと影の騎士団を名乗る者達によって、大量の魔物を押し付けられ、俺を守るはずの、騎士団も影の騎士団の一員であり、俺を突き飛ばし、魔物の餌食にしようとし、そのまま、影の騎士団と共に逃亡しました。

 その後、魔物を一掃してから」


 そこまで話した所で、エルスから待ったが入った。


「ちょっと待ってくれ、今ソウジ君は魔物を一掃したって言ったのか?

 それに、今までは聞かなかったが、ソウジ君は、昨日の怪我でまともに動けなかったはずだが? なぜそんなにピンピンしているんだ?」


 それを聞いて来るのを待っていた。


「そんなの簡単ですよ。

 元々この魔物討伐は、俺の表示されていない、隠されたスキルがあるかどうかを調べるためのものだったはずです。

 なのでこちらも、ダメ元で、元いた世界で使えていた力を試してみたら、ちゃんと発動したので、正直そこらの魔物なんて赤子を相手している様でしたよ」


 当然口から出たでまかせな訳だが、王達は半信半疑といった顔していたので、スキルの一旦を見せることにした。


 まず最初に目に付いたのは、メイドの隣にある配膳台のナイフだった。


 そのナイフを拝借すると、迷いなく自身の左手の動脈血管を切り裂いた。


 当然、左手からは、止めどなく血が溢れ出ていた。

 この場にいた者達は驚きを隠せないといった感じであり、グリシアはエミュに回復魔法をなどと言っており、エミュも急いでこちらに駆けつけていたが、それを右手で制止させると、小さな声で回復魔法を唱えた。


 そして完全に治った左手を見せると、さらに驚いたと言った感じになっていた。


「とっ、言った感じに元の世界の力が使える訳ですよ。

 正直こちらに来て、ステータスを見たときは、絶望しましたよ、一応元の世界ではハンターという職についてまして、ハンターの仕事は、簡単に言いますとモンスターの討伐・捕獲が目的でして、多くの火龍などの大型飛竜種を狩ったりしていましたのでステータスやスキルはかなりのものでした。

 それが一晩で無くなってしまったら、誰でも絶望しますよね?

 ですがどうやら、元の世界の世界のスキルなどは、見えないだけで、ちゃんと使えることが分かったので安心しましたよ。

 あっ! あとついでに、ハンターにはハンターランクと言うものがありまして、俺のハンターランクは上限の九九九ですので、他のものからは廃人と言われてました」


 一応嘘は言ってない、だってゲームの世界ではハンターしてたし、誰だってカンストまで持っていたセーブデータが消えたら絶望するでしょ?


 などと変な事を考えていると。


「ドラゴンを狩っていただと⁉︎ それは誠か? なら他にも何かスキルなどがあるのか? もしあるなら教えて貰えないか⁉︎」


 興奮気味で、エルスが訪ねて来た。

 まぁ、この世界ではドラゴンが最強と言われているらしいので、それを倒していたなんて言われたら、そりゃ、熱くもなるわけだ。


「すみませんが、今の俺はあなた達を信用することができないんで、他のスキルを明かす事は出来ません。

 その理由も、話を最後まで聞いてもらえれば、分かると思いますので、話を戻しても?」


 エルスの返事を聞き、話の続きを話出した。


「それで、魔物を一掃したあとに、俺は出口を目指していた訳ですが、その時また、影の騎士団に襲撃されたので、こちらも迎撃させていただきました。

 そのときに、生かして置いた一人から、誰に雇われたか聞いたんですよ。

 そしたらなんと、出て来た名前がエルス・セシルだったんですよ。

 さすがにそれだけで、あなた達を裏切る様な事はしませんが、それでもあなた達を本当に信用していいのか分からないですよ。

 あぁ、あとこの首を持って帰って来た訳ですが、賊や反逆者なら賞金がかかっているのでは思って一応、全ての首を持ち帰って来ました」


 と言いながら、おもむろに格納庫から他の首を三つ全て取り出して、それも机に置いた。


 それを見たエルスは驚いた様に「マジックバックまで使えるのか⁉︎」と言っていた。


 どうやら格納庫は〈マジックバック〉と言われているらしい。

 そしてエルスは、マジックバックの驚きを残したまま、話を続けた。


「さすがに驚いたよ、だがそれより、ソウジ君は、儂達より、そこの反逆者の言葉を信じるのか?」


「私も信じたくは無いのですが、騎士団の中に、反逆者がいるなんてことあり得ますか? だから考えてしまうんですよ、実は影の騎士団は王国の兵で、王族の誰かが俺を殺す様に命令したのではと」


 エルス達は、一切動じる事は無かった。

 なのでこちらも奥の手を使うことにした。


「ですが、俺の頼みを一つ聞いていただければ、今回の件は水に流しますよ」


 それを聞いたエルスは「それは何かな」と訪ねて来てくれたので、それに続いて、頼みを口にした。


「実は、グリシア様と一緒に食事を取りたいのです」


 その場にいた者達が呆れた様な顔を作り、エルスが代表して。


「はぁ〜、ソウジ君、君と言うやつは。

 まぁそのぐらいなら構わんよ。

 お前もそれでいいな?」


 エルスがグリシアに訪ねたがグリシアは「えぇ」と承諾してくれた。

 エルスはそれを確認すると、メイド達に俺用の夕食を用意する様に言っていたが俺はそれを制止。


「いえ、その必要はありませんよ。

 一緒に食べて欲しいのは、これですので」


 と言いながら、開いた皿の上に二つのサンドイッチを載せて、グリシアの前まで行き。


「これは、俺の昼食で出された、サンドイッチですが、こちらがとても美味しかったので、ぜひ愛するグリシア様にも食べていだだきたいと思いまして。

 あっ、一応、マジックバックに入れてましたので、鮮度の問題はありませんし、当然、グリシア様が好きな方を選んで頂いて結構ですよ」


 と言いながら、サンドイッチの乗った皿をグリシアが取れるように持っていくと、呆れた顔から一転。

 皆が怯えたような顔をしていた。

 特にグリシアは、両手が震え、目は焦点があっていなかった。


 まぁそれも当然だろう。


 こいつらは、これに毒が入っていることが分かっているのだから。


 だがここで手を緩める気はない。


「どうしたんです? あっ! もしかして毒が入っているとか思っているんですか? ならこの両方を千切って先に食べますのでそれなら食べれますよね?」


 その言葉通り、両方のサンドイッチを千切、食べて見せた。


 そしてもお一度、サンドイッチの乗った皿をグリシアの前まで持って行くと、震える手で、サンドイッチを一つ取ると口に運ぼうとしていた。


 だが、口に入れる寸前でその手が止まり、そして。


「こんな毒の入っている物なんて食べれる訳がないでしょ‼︎」


 と手に持つサンドイッチを地面に投げ捨てた。


 グリシアは、ハッと、思い出したかのように俺の顔を見て来たが、きっと今の俺の顔は、きっと笑っていないだろう。


 そしてグリシアから、エルスに視線を向け。


「これはどういうことでしょうか?」


 俺は凍てつくような声でエルスに尋ねると。

 今の今まで、なんとか保って来たエルスのポーカーフェイスが崩れていた。

 そして俺はここからが本番だと心の中で、息づいた。

またしばらく投稿が出来ないかもしれません。

本当に申し訳ございません

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ