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村人勇者の英雄譚  作者: ワカメ
一章 王国生活
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第37話 対人戦

「なぁ〜、団長ぉ〜、目標の勇者様、もうへばった様だぜぇ〜、たくよぉ〜、もおチョット鳴き叫んだりする声が聞きたかったのによぉ〜」


 語尾を伸ばす気持ち悪い声が右横から聞こえて来たが気にせずいると。


「んだよぉ〜、無視しないでぇくださいよぉ〜」


 無視してもなを絡んでくるのには怒りを覚えたが、今度は左から別の声が聞こえた。


「団長がうざがっているのがわからないのか? 少しは黙ったらどうだザザ」


 その声には聞き覚えがあった。


「んなこと言える立場かぁ? 元はと言えばぁ〜、ギギ、テメェがぁ〜、念には念を入れてぇ〜、脚を切り落としてればこんなことになってねえぇよなぁ〜、あっ?」


 ギギは痛いところをつかれたのか、少し押し黙ってしまったが。


「だから何度も言っているだろ! 確かにあの時は脚を切る必要もないほど弱っていたんだと‼︎」


 半ば逆ギレの様にも聞こえる、抗議の声だったが、ザザはそれを聞くと、可笑しそうにニヤニヤしながら。


「少しは黙ったらどうだザザだっけぇ〜? その言葉そっくりそのままお前に返してやるよぉ。

 少しは黙ったらどうだギギ、ギャハハハハ」


 ザザの発言は当然、火に油を注ぐ結果になり。


「どうやらまずは、勇者よりもお前を殺す方が先決のようだな」


 ギギは完璧にキレているようだった。


「いいねぇ〜、俺もお前を殺したいと思っていたんだよぉねぇ〜」


 双方にらみ合い、一発即発の空気になって行ったが、気にする事なく目の前で倒れている死体の前まで歩きつくと、後ろでいがみ合っていた二人もこちらに駆け寄って来た。


「どうやら、死んでいるようですね。

 やはり、この毒は少し強すぎたようですね」


「死んでんならぁ、サッサッと首を取って帰りましょうよぉ〜」


 気になることを言っていたので、復唱した?


「首を?」


 すると、ギギは驚いたような顔をし、ザザにいたっては、呆れたような顔をしていた。


「おいおい団長ぉ〜、もうボケ出したのかぁ〜? 王が言ってただろぉ〜、可能ならばこいつの首を取って来いって。

 てな訳でぇ、団長がやらねぇならぁ、俺がやらせてもらいますよぉ〜」


 ザザのその回答を聞き、一つ面白い事を考えた。


「王が、首が欲しいと言ったんだな?」


 そんな質問に、呆れを通り越して、哀れみのこもった様に。


「だからそうだってぇ言ってん・・・・えっ?」


 きっとザザが、最後に見た景色は、首の無い自分の体だろうと思いながら、ザザの首を切り裂いた短剣で、ギギの首も取ろうと思ったが、流石の反応で、避けきれず残された手首を切り落とす事しか出来なかった。

 なんとか、死を免れたギギだが、今のこの現状を理解できていない様だった。


「っ! 何をするのです団長‼︎ なぜこの様な事を‼︎ 何で私を殺そうとするのです‼︎」


 急のことで、頭が働いていないのか、さっきから同じ様な事しか聞いていなかったが、俺はそれに応える事にした。


「なぜってそりゃあ、あんなに沢山の魔物を押し付けられたんだから、俺はテメェに大きな怨みがあるわけよ」

「なっ、何を言っているんですか? 団長?」


 余計に混乱している様だったのでもお一つヒントをあげる事にした。


「確か、おい、王の命令は、こいつの確実な死のはずだ、なら念を入れて足を切り落とすべきだと思うが? だったけ?」


 それを聞きやっと、今まで団長だと思っていた者が、別人である事に気付いたらしい。


「まさかお前は‼︎ なぜだ⁉︎ ありえない⁉︎

 団長をどこにやった‼︎ 勇者ァ‼︎」


 その答えに俺は満面の笑みで。


「ご名答おめでとうございます。

 そうです、お前の言う通り、俺は勇者だよぉん、それで君が知りたがっている。答えなんだけど、今から死ぬ奴が知っても意味ないと思うから教えねぇよ」


 と言うと同時に斬りかかったが、また寸前のことで避けられてしまった。

 だが今回は、足場にまでは気が回らなかった様だ。

 ギギは木の根に脚をとられ転倒した。

 当然、その隙を捨てる訳もなく、ギギの首目掛けて短剣を振ったが、突如飛んで来た矢により、こちらも回避を余儀なくされ、ギギと距離を置いてしまった。

 ギギは当然、俺から逃げようと背を向けていたが、そんな事を許す訳も無かった。

 俺は、手に持つ短剣をギギに向け投擲した。

 投げられた短剣は風を纏い、綺麗に、ギギの首を切り落とした。

 俺は体だけとなったギギの元に向かうと、おもむろにローブの内側を漁り、目的の物を見つけた。

 そこにあったのは、透明な液体を入れた小瓶だった。

 それを取ると、手早くふたを空け中の液体をのみこんで、元の体に戻った。


 一瞬の暗闇を挟んで、目を開けると、ちょうど、さっきまで、自分が乗り移っていた団長が地に倒れるのを確認することができた。

 そしてゆっくり起き上がり、右肩に刺さったままの矢を強引に引き抜き、さっき団長から奪ったスキルを早速使う事にした。


「索敵開始、っと、やっと見つけたぞ芋スナ野郎」


 新たに手に入れた〈索敵〉スキルのお陰で、影に隠れるスナイパーを見つけることが出来た。

 敵さんも、一生懸命矢を放っていたが、位置が分かってしまえば、当たる要素が無いため、ゆっくりと、相手を追い込むかの様に近づいていった。


投稿時間がまばらですみません。

平日は八時頃の投稿になります。

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