第36話 ゲーム感
この森は最深に近づけば近づくほど、木々はより鬱蒼とし、陽の光も遮られ、完全な闇夜とかわらないほど暗く、明かりなしでは進む事さえ困難な場所であったが。
その問題は、俺の周りを浮遊する火球によって解決されていた。
そして、獲物を剣の射程に捉えると。
「これで! ラストオォォ!」
そんな掛け声と共に、最後の一匹と決めていた、ゴブリンに向け放たれた剣の突きは、見事に眉間をとらえ、何の抵抗もなく塵となった。
そして周りを確認し、他の魔物の姿がない事を確認し、一息つくために木の幹を背もたれにし腰を下ろした。
「ったく、なんで雑魚相手に二時間以上も、森を駆け回らなきゃなんねんだよぉ〜」
あの後、逃げ回る魔物を狩っていくのに、何やかんやで結局、二時間以上もの時間を使ってしまっていた。
この後の事を考えると、本来なら休憩をしている時間さえ惜しかったが、どうしてもやりたいことがあったので、ついそちらを優先してしまった。
まずは身体強化を解除したが、身体が重くなっただけで、今なら何とか歩ける様な気がしたので、改めてレベルアップの恩恵を理解した。
そして、俺は一つの魔法を唱えた。
「オウンヒール」
これなら、失った血が戻るかもと思いついた事だったが、その考えはあっていたらしく、俺の周りを淡い光が包むと、身体は段々と軽くなっていき、そして体の中を血が駆け巡るのを感じた。
その後しばらく休んでから、新しく取り出した剣を握ると、立ち上がり、森の出口を目指しながら、フェルトが昨夜言っていた事を思い出していた。
フェルトが言った通り、馭者からスキルを奪ったが、まさかそのスキルが、上限までなら幾らでもアイテムなどを仕舞ったり取り出したり出来る、〈格納庫〉だったとは。
そのおかげで、武器をストックすることができ、おかげで魔物に肉弾戦をしなくて済んだわけだ。
それにもお一つのスキル〈地形把握〉は、周辺の地図を見せてくれるというものだった。
現に今も、俺の視線の右上には、周辺マップが表示されていた。
「この二つのスキルがあるだけで、ゲーム感がアップするんだよなぁ〜」
など独り言を言いながら、次に俺の周りを浮遊する火球を見ながら。
「この世界の属性系の魔法は、これと言った魔法名はなく、自由自在に生み出すことができますので、オリジナル魔法も作りたい放題なんですよ」
と昨夜、フェルトが言っていた事を思い出していた。
なんか今なら、急に「実は最新ゲームのサプライズ体験会でした〜」とか言われても、信じてしまいそうだった。
まぁそれは、フェルトとのいろいろがなかったことになってしまうから嫌なわけだが。
などと考えながら、チラッとマップを確認すると、森を抜けるまで後、四百メートルにまで近づいており。
木々からも沈みかけの太陽から放たれる、特有のオレンジ色の光が差し込み、さっきまでいた深層とはうって変わって幻想的な風景をかもち出していた。
そんな風景に見惚れながら歩き、そしてこのまま何もない事を願ったが、現実はそんなに甘くなかった。
俺に目掛けて、何が飛翔して来た。
飛翔して来たものは二つあり、一つは頭部を狙っていたため、顔を傾ける事で、頬を掠めるだけで済んだが、二つ目は避けれず、左手肩を付近を貫き、刺さったまま止まった。
痛みを必死にこらえ、その肩を貫いた物を確認すると、それが矢であることが分かり、そして狙撃された方を見つめると、そこからは、黒いローブで全身を隠す様に着込んだ、者達がこちらに歩み寄って来ていた。
それを見た瞬間、彼らが影の騎士団であることが分かったが、俺は別だん、怯えているわけでも無く、その声はどこか楽しそうに。
「さぁ〜て、第二ラウンドと行こうか」
と呟いていた。
遅くなってすみません




