第二十九話 食堂までの道のり
俺は昨日馭者を見つけたところに着くと、そこには狙い通り、数人の馭者がたむろしているのを確認し、スキルを奪うために憑依を発動し、スキル欄を見るとそこには、執拗不可欠なスキルがあった。
そのスキルだけを奪うと、元の体に戻り、食堂に急いだ。
そして食堂が近づいたところで、俺は身体強化を解除した。
ドサッという音とともに倒れたしまった。
朝よりも体が重く感じる。
これが身体強化のせいであることはすぐに分かった。
さっきまで軽い体で動いていたんだ、なら元に戻れば、体が重く感じるのは当然のことであり、元の体にがまともに立ってられないぐらいに弱り切っていれば、立てられないのも道理である。
「これが、身体強化のバックファイアーかよ、こりゃあ、使い所を選ばなくちゃなぁ〜」
のん気に独り言を言ってはいるが、体に力が入らず、立つこともできない。
本気でどうするか考え出した時、後方から聞き覚えのある声が聞こえた。
「ソウジ様! どうしたんですか!」
声の主こちらに駆け寄っているのがわかる。
俺は駆け寄って来ている者にたいして、のん気な声を出した。
「ヤッホー、フィリスごめんねぇ〜、こんな格好でぇ〜」
「ソウジ様! だから言ったんですよ!
これ以上むちゃしたら、本当に取り返しのつかないことになってしまいます!」
そんなことお言いながらも、肩を貸してくれるフィリスに感謝しながら、ゆっくりと立ち上がった。
「さあ、部屋に戻りましょう、グリシア様には私から伝えておきますから」
「私に何を伝えるのかしら? フィリス?」
ビックとフィリスの体が震えたのが分かった。
あぁ〜あ、最悪のタイミングで醜悪の根源が来ちゃったなぁ〜。
そんなことを考えながら、そちらを向くと、案の定、グリシアがいた。
「ねぇフィリス、私は質問をしているのよ? 早く答えなさい」
フィリスは怯えていた。
グリシアから威圧は奪ったはずなのにここまで怯えるとは、これが女王の威厳ってやつか? ってそんな訳ないか。
この怯えは、殺されるかもって感じだろうな。
そこまで考え、声の出せていないフィリスに変わって返事を返した。
「いやですねぇ〜、俺がフィリスに伝言を頼んだんですよ、ほら見ての通り今の俺て、立ってるのもやっとなので、今日の魔物討伐は休ませて欲しいと伝えて欲しかったんですよ。
でも、グリシア様の顔を見たらそんなことどうでもよくなりましたよ。
どうです、一緒に食堂まで行きませんか?」
「そうですわね、ではご一緒させていただきます」
フィリスが何かを訴えるようにこちらを見ていたが、俺は軽く合図を出して、食堂を目指すように歩き出した。
「ソウジ様、聞きましたよ、昨日の修道院での事、その時の傷で、今も辛いのに、今日の魔物討伐に向かっていただきありがとうございます。
昨日の事に関してはこちらで、罰を与えておきますので、どうぞお許しください」
おいおい、どうやらグリシアの中では俺が魔物討伐に行くことは確定なのかよ。
さっきの俺の発言聞いて無かったのか。
などと考えたが、まぁ行くつもりなので流して。
「罰なんて別にいいですよ。
あの時はこちらの不注意が原因だったんですから。
それより、そんなことを話すために、呼び出したんですか?」
「いえ、昨日の事は、会ったら謝罪しておこうと思っていましたので。
それで、食堂で話そうと思っていた本題なのですが、丁度いいので今話しておきます。
まず最初に、出発の時間なのですが、昼食後直ぐになります。
次なのですが、ソウジ様がお使いになられる得物を教えてもらえますか?」
使う得物って言われても困ってしまうので、適当に。
「すみません、俺は得物を使ったことが無いので、剣と槍に、後は短剣の三つを複数用意してもらえますか? いろいろ試して、一番手に馴染むのにしたいので」
俺の提案にグリシアは「分かりました」と返事を返したところでちょうど食堂前にまでやって来ていた。
「では、入りましょうか」
グリシアに付いて、毎回のように胸糞悪くなる食堂に入っていった。
今日はもお一本投稿します。
投稿時間は未定です。




