第二十五話 お怒り
俺は見覚えのある所にいた、それに気づくと、この場所の管理人を一生懸命探した。
するとどこからとも、最も聞きたかった声が聞こえ、急いでそちらに振り向くと、そこには俺の大好きなフェルトがいた。
「会いたかったよぉ〜! フェルトたん!」
俺はフェルトに向かって走り出していた。
そして、後数歩で飛びつける距離にまで近づいたところで。
「ストップです! ソウジ! ちゃんと私の顔を見てください」
ピシャリと放たれたフェルトの言葉を聞き、とっさに脚を止め、改めてフェルトの顔を見て見ると、フェルトは頬を膨らませ、そっぽを向いていた。
「かっ、可愛い」
思った事を口にしてしまった。
それを聞いたフェルトは、より頬を膨らませ。
「なんでそうなるんですか! この顔見たら普通は怒っているって思いませんか⁉︎」
「えっ? 全然、全く、これぽっちも思いませんよ? てか何に怒ってるんですか?」
フェルトは少し呆れたような仕草をしてから。
「今私は、二つの事を怒っています。まず一つ目が何かわかりますか?」
そんな事を言われても、俺は何も思い当たる節がない。
俺は返答を返せずしばらく考えていると。
「分からないようですね、なら答え合わせです。
まず一つ目が、いきなり告白して来た事です」
「あぁ〜、それかぁ〜、ってなんでそれで怒ってるんですか?」
「何でってそれは、あの浴場までは、散々私の事を馬鹿にしてたのに、いきなりとって付けたように、好きだのハーレム作るだの言われても、こちらを馬鹿にしているようにしか思えません」
「そんな事をありませんよ!」
とっさに否定の言葉を口にしていた、少なくとも俺はフェルトが好きだと言ったあの言葉に偽りはない。
「なら、なんで私のことが好きになったか教えてくれませんか?」
「それは・・・っ言えません」
俺は、フェルトが言ったように、好きになった理由を言おうとしたが、それを言葉にすることが出来なかった。
「言えないということはやっぱり、冗談だったんですね」
より頬を膨らませたフェルトを見て、俺は思っている事を口にした。
「いやそうじゃなくて、純粋に、好きになった人の前で、面向かって好きになった理由を言うのが恥ずかしいだけです。
まぁでも、強いて言うなら、俺が求めていた物をくれたからかな」
フェルトは、少し考えて。
「確かにソウジが言うことにも一理ありますね。ですが私は貴方に何もあげていませんよ」
「そんな事はありませんよ、フェルトは俺が一番欲しかった物をくれましたよ、それが何かは言えませんけど、俺の確かな、フェルトを好きになった理由ですよ」
俺は真剣な顔でそお言うと、フェルトは少し微笑み。
「誤魔化された気もしますが、今はそれで納得してあげますが、いずれはちゃんと理由を教えて下さいね」
その言葉を聞いて、ほっと胸を撫で下ろし、話を戻す事にした。
「それで、告白の事が一つ目なのは分かりましたが、二つ目は何ですか? 本当に心当たりがないんですが?」
フェルトは忘れていた事を思い出したかのような顔をしていた。
「そうです、私怒っていたんでした。
思い出させていただきありがとうございます」
本気で、怒っていた事を忘れてたフェルトを心配しつつ、その笑顔に心を癒されながら、二つ目の理由を言われるのを固唾を飲んで待つ事にした。
最近、タイトルをなかなか決めれません。
 




