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村人勇者の英雄譚  作者: ワカメ
一章 王国生活
24/73

第二十四話 夕食のスープ

 レベルの上がったスキルのうち拷問以外は変更点があった。

 それを簡単にまとめると、まず全能力上昇は発動時間が三十分になり、ステータス上昇率が三倍になっており、次の回復魔法は新しい魔法が増えていた。

 増えた魔法は以下の通りになった。


 LV4〈ハイヒール〉

 説明〈自分以外の他者の傷を大きく癒す〉

 LV6〈オウンヒール〉

 説明〈自信の傷を癒す〉

 LV8〈グランドヒール〉

 説明〈自分を中心に一定範囲の他者の傷を癒す〉


 まぁ、新しい魔法を覚えても魔力がないから使え無いんだけどね。

 そして一番の楽しみであった憑依は凄かった。


 〈憑依〉LV2

 説明〈自分の視界に入った、対象(魔物以外)に十分間乗り移る事が出来る(時間はLVが上がる毎に上昇)

 その際に対象の記憶を閲覧でき、スキルを奪う事が可能(奪ったスキルを既に習得している場合は、よりLVの高い方が優先され、既存のスキルよりLVが低いスキルを奪った場合は、そのスキルの経験値に変換される)〉

 デメリット〈乗り移っている間、自らの体には意識が無いため、無防備な状態になる。

 憑依中に死んだ場合は本体に戻ることができなくなり死んでしまう。また本体が生命活動出来ない状態になった場合も同じである。

 記憶の閲覧を行う場合、自分の脳の許容範囲を超えると、脳が破壊される。〉


 お分かりいただけただろうか。

 レベルが一つ上がっただけで発動時間が上がるのは当然のことだが、なんと憑依のデメリットでもあった、同スキルの消滅が無くなり、同じスキルでもスキル経験値に変換されるようになっていたのである。

 正直ここまで強くなってしまうと、自分でもドン引きである。

 だがこれにより、同じスキルでもバンバン奪えるのでたまらない。

 そして一人で喜び疲れた所で、扉がノックされたのでステータスを閉じた。

 扉は開き、そこから配膳車を押しながらフィリスが入って来た。


「失礼しますね、って起きてたんですか?」


 フィリスはそんなことを言いながらこちらに歩いてき。

 俺の横にまでくると配膳車の上に置かれているものが見えて来た。


「これは夕食ってことでいいんですよね?」


 配膳車の上の物に疑問を持ってしまった。


「はい、そうですね、こちらのスープがソウジ様の夕食になります」

「これがですか?」


 疑うのも無理はない。

 だってその夕食と言われたスープには、固形物が、申し訳程度に入れられているだけだったからである。

 王族の料理ならもっと具材を入れてもいいはずだ、現に昼食の時のスープには、いろいろな具材が入っていた。


「えっと……これはですね……」


 問いに応えようとする、フィリスの歯切れが悪い。

 そんなフィリスを不審に思い、俺は手に入れたばかりの鑑定を使う事にした。

 スープも鑑定できるかは分からなかったが、物は試しと思い、スキルを発動した。


 〈毒入りスープ〉


 なんのひねりも無く、簡単に出た。毒入りスープと。

 まぁなんだ、王族達はことあることに毒を盛ってくる事に嫌気がさしたが、これでフィリスの歯切れが悪い理由もわかったので良しとして、これを逆手にとってカマをかける事にした。


「どうしたんですか? 何か言いにくい事でもあるんですか? あっ! もしかして毒が入っているとかですか?」


 それを聞いたフィリスは慌てて口を開いた。


「そっ、そんなわけありません‼︎」


 慌てるのがこれまた怪しい。

 なのでさらにつけこむことにした。


「なんでそんなに慌てているんですか? そんなに慌てられては、本当に毒が入っているみたいではないですか?」


 毒が入っていることを知っている現状なので、相手がどんな言い訳をするかを楽しんでいた。


「だから入ってないと言ってるじゃないですか‼︎ そんなことばっかり仰るんでしたら、食べて貰わなくて結構です‼︎」

「えっ! いいの! ヤッターー」

「なんでそこで喜んでいるんですか⁉︎」


 いやだって、毒入りスープを飲まなくていいって言われたら、喜ぶのが普通じゃん。


「自分で言っておいて何ですか、ソウジ様にはこのスープを絶対に飲んで貰わないとダメなんです。確かに見た目は美味しそうじゃないかもしれませんが、栄養満点なんですよ」


 そりゃ、明日、殺す相手に毒を飲ませなければならないのもわかるが、その発言などがあからさますぎる。


「なんでそこまで、そのスープを飲ませようとするんです?」

「えっ、だから、それは……」


 また歯切れが悪くなって来たフィリスを眺めていると、フィリスは覚悟を決めたように。


「あのですね、大変言いにくいのですが、昼間、修道院で腹部に魔法が直撃しましたよね、実はその時、体の表面だけじゃ無く、内臓の方も深刻なダメージを受けていまして、固形物を口にできるかも分からなかったので、こちらのような具の少ないスープにさせていただきました。」


 意外に納得いく理由だったため一瞬信じてしまった。

 もお嘘かどうか見極めるのが面倒になったので、憑依を使うことにした。

 そして憑依を発動し、フィリスに乗り移ったことを確認してから、スキルは無視して、記憶を見ることにした。

 するといつもの通りウィンドウが出て来たので、「毒」と念じてみたが何も出て来なかった。

 出て来るはずの記憶が出て来なかったので、首をかしげてしまった。

 考えたが分からなかったのでフィリスが言ったことを確認して見る事にし。

 確認してみた結果は、フィリスの言った通りのものだった。

 スープの件は料理人の人に言われて持って来ていただけなので本当に毒の事を知らなかったらしい。

 真実を知ることができたので自分の体に戻る事にした。

 そして自分の体に戻ると、真っ先にフィリスに謝った。

 理由はどうであれ、無実の人を疑ってしまったのだから、謝るんのは当然のことだ。

 フィリスはなぜ俺が謝ったのか分からなかったようだが、その後にスープもちゃんと飲むと伝えると満足したように部屋を後にした。

 部屋を後にしたフィリスを見送ってから、約束通りスープを飲んだ。

 スープを飲んだのは自分なりのけじめの付け方だった。

 そしてスープを飲み終わった俺は、ステータスを開くと。


 〈日丿輪 総士(毒)〉


 案の定毒状態になった。

 この後、無事に浄化が成功した事に安堵し、明日に備え眠りについた。


投稿時間がまばらですみません。


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