第二十一話 修道院で3
タイトルを間違えていました。
「本当に、すみませんでした」
俺は、昨日ぶりの、土下座をしていた。
なんか一日、一土下座と一気絶しているような、と思いながら、土下座の先にいる皆様方の反応を待った。
「生きていたので、別に構いませんが、いつから意識が戻っていたのですか?」
フィリスの声が聞こえ、顔を上げ答えた。
「えっと、ソウジ様の目が覚めませんよ、てっ所からです」
「ならなんでその時に目を開けなかったんですか?」
「いや、その時は自分が死んだものと思いまして、その声も走馬灯だと思ってしまいまして」
「それは分かりましたけど、最後のあれはなんですか?」
「あれは、起きるタイミングを逃した時に使える、必殺技です」
フィリスは呆れたような顔をし、周りの人達からは、冷たい視線を向けられていた。
「もおいいですよ、ソウジ様がそお言うお方なのは知っていますので、それでなのですが、この後はどうなさいますか? 今のソウジ様の体は、傷は治っていても、流した血までは元に戻らないので、血が足りてない状況ですので、今回の王宮案内はまた後日改めるにして、今日は自室でご休息を取られる事をお勧めしますが?」
言われ気づいたが、確かに体が重く感じる。
試しに立ってみたが、上手く踏ん張る事が出来ず、よろけてしまう。
確かにこんな状態なら、休息を取る方が賢明かも知れないが、明日の事があるため、今はちょっとでも力が欲しい現状である俺は。
「これくらいなら大丈夫ですよ。
なのでこのまま王宮案内を続けてください」
誰が見ても、やせ我慢なのが分かるが、それでもやるしか無かった。
「分かりましが、もし途中で無理だと思った場合は、強制的に自室に運びますからね」
フィリスは俺の意思を尊重してくれたのか、案内継続を許してくれた。
「ありがとうございます。では休憩がてら、魔法の特訓を見ていってもいいですか?」
フィリスの口から返答は無く、かわりに隣の隣に立っていた、ご老人に視線を送っていた。
「そうだな、そうしたいのは山々なんだが、さっきみたいな魔法が飛び交っている場所では、命の保証が出来ないので、申し訳ないが、魔法の特訓を見せる事は出来ないんだ」
「そうですか、分かりました。
それなら、エミュさんに合わせてもらってもよろしいでしょうか?」
魔法が見れないのは残念だが、エミュにのスキルを奪う事だけはしときたいと思ったが。
「すまない、エミュは今、王妃に呼ばれそちらに行っていて、ここにはいないんだ。
なので儂でよければ、なんでも応えてあげるが」
エミュとは行き違いになったようだ。
それにさっきから話している、爺さんが誰だか分からないので、尋ねることにした。
「ところで、貴方は誰ですか?」
「おぉ、そうだった、まだ名乗っておらぬかったか。
儂はこの修道院の管理者件、魔術の講師をしている、パラケス・レクレールだ、以後お見知り置きを」
レクレールってエミュと同じことに気づき。
「エミュさんと同じなんですね」
それを聞いたパラケスはどこか誇らしげな顔で。
「エミュは儂の名前を引き継ぐ、一番弟子と言った所だが、今は私よりも素晴らしい魔道士になっておるが」
て事はこの爺さんも、かなりの魔道士なのではと思い、爺さんがした話に乗ることにした。
「では、お言葉に甘えて、いろいろ教えてもらってもよろしいでしょうか?」
「構わないよ」
パラケスは簡単な返事を返して、他の魔道士達に特訓の続きをしていろと命じ、自分は近くにあった椅子に腰をかけ、俺にはその近くの椅子に座るように案内され、その椅子に腰をかけた。
「ではまずは何が聞きたいのかな?」
と言われ、まずは魔法について聞くことにした。
「魔法ってなんなんですか?」
パラケスはしばし考える素振りをし。
「そうさなぁ、魔法っていうのは、神秘を具現化させた物と言われている。」
そこまでいうと、パラケスは右手を俺の顔の位置まで上げ、そこからバスケットボールぐらいの火の玉が現れた。
「驚いたかな? これが神秘を具現化するということさ。
本来なら何もない所から、火を生み出す事は出来ないが、魔法は違い、何もない所から火を生み出す事が出来る、これが魔法というものさ」
よくある、設定なので、説明を聞かなくても分かってしまうが、俺が聞きたかったのはそんなことでは無く。
「それでは、魔法の発動のために、詠唱が必要なのは何故なんですか?」
「それは、まだイメージがまとまっていないからだな、魔法とはイメージにより形作る物であるが、素人達はまだイメージ力が無く、詠唱するとこで、そのイメージを養っているって所だな、現に儂もさっき詠唱無しで、ファイアーボールを出したと思うが」
俺はそれを聞いて思い出したが、確かに先ほどパラケスは詠唱無しで、火の玉を生み出していた。
「まぁ、自慢じゃないが、この国で、無詠唱が出来るのは、儂とエミュぐらいじゃな」
と自慢げに言っていたが、それは聞き流し、他に聞きたい事を探したが特に見当たらず、パラケスとの会話を終了する事にした。
「今聞きたいことは、それだけでしたのでもう結構です」
「何じゃ、もお良いのか?」
パラケスは少し残念そうにしていたが、他に聞きたいこともないので、お断りを入れた。
「分かった、ならば今回はここまでとしよう、では失礼するよ」
と言いながら、中庭に続くドアに向かって歩き出し、その後ろ姿を狙いをさだめ、憑依を発動した。
俺は目を開け本体を見ると、今回は上手く机の上にうつ伏せになる感じになっていた。
それをフィリスは、心配そうに体を揺すったりしていたので。
「すぐに目覚めるから、今はそのままにして置いて上げなさい」
と伝えると、フィリスは。
「何か魔法を使われたのですか?」
俺は適当に「あぁ」と返事を返し、それを聞いたフィリスは俺の体から少し離れたところで、待機していた。
それを確認し俺はフィリスに背を向け、いつも通り、ステータスを表示し、時間がないため、名前などは無視して、スキルを奪おうとしたが、朝のリンスの事を思い出し、スキルより先に、記憶閲覧を見る事にし、記憶閲覧を押して、いつも通りに出てきた新たなウィンドウに、今回は「殺し」と念じてしまった。
そして、見てしまった。
見たくもない光景を。
たくさんの人を焼き殺すパラケスと、その隣のエミュを含めた数人の魔道士達の姿を。
その魔道士達も先ほど見た者達だった。
その者達は、助けをこう声を無視して焼き殺していた。
彼らは笑っていた。
この中では、匂いは感じないはずだったが、今だけは、人が焼ける独特な匂いが鼻をついてくる。
それに、焼かれている人達は炭化が進み、黒くなって行っていたが、その目だけは色褪せる事なく、憎しみの籠もった視線で、こちらを見ている気がしてしまう。
俺は込み上げてくる嘔吐感に耐えれず、とっさに、終了と念じ、現実に戻り、今すぐ本体に戻りたい欲望を、とっさに押しとどめ。
こいつにはスキルを持たせているべきではないと考え、スキルすべてを選択し元の体に戻った。
俺は元の体に戻ったが、嘔吐感を抑える事に精一杯だった。
そして、パラケスが中庭に出て行ったのを確認して、俺もふらつきながらも立ち上がり、心配そうにしているフィリスに肩を貸してもらい、修道院を後にした。
投稿時間がまばらですみません。




