第二十話 修道院で2
俺は暗闇の中にいた。
俺は死んだんだな。
自分が死んだことを理解し、それを抵抗なく受け入れた。
だが、ただ一つだけ後悔がのこるのは、結局フェルトの願いを叶える事が出来なかった事、それにフェルトに最後の言葉を言えなかっし、他にも考えれば考えるほど、出て来てしまう。
結局一つじゃないし、その全部がフェルトの事だった。
そしてこの意識が消えるのを待った。
「ちょっと、ソウジ様目を覚ましませんよ⁉︎ 本当に効いてるですか⁉︎」
「私達だって全力でやってるんですよ⁉︎ 第一もう傷は治っていますし目を開けてもいいはずなのに‼︎」
なんかうるさい。
これが走馬灯というやつか?
でも、走馬灯って死ぬ寸前に見るものじゃ?
第一こんなこと言われた記憶がない。
その間も、走馬灯? は進んでいき。
「だったらなんで目を開けないんですか⁉︎」
「分かりませんよ⁉︎ てか、そっちが急に扉を開けるから、エアーボールが当たちゃったんじゃないですか‼︎」
あーこれ、俺死んでないやつだ。
とっさに、頭を回転させ現状理解をすることにした。
まず最初に、扉を開けた俺に、偶然エアーボールが当たる。
次に、血を垂れ流しで倒れる俺に焦って、回復魔法をかけて傷を治す。
そして、傷を治しても目覚めないから焦っている、今ここ。
「このままだと! 私が死刑になっちゃうじゃないですかぁ!」
「私たちだってそうですよぉ〜!」
周りの声に嗚咽が混じっていた。
起きずれぇー。
この場合は早く目を開けるべきだと思うが、ガチ泣きしている子も居るみたいだし、完璧に目覚めるタイミングを逃してしまった。
このタイミングで目を開ける勇気は俺には無かった。
「うっ、うぅ、わだじまだじにだぐないよお〜、グス」
どうしようどうしようどうしようどうしよう。
まずいまずいまずいまずい。
次々泣き始める子が出て来るんですけどぉ!
どうすればいいんだ、考えろ考えるんだ。
頭の血管がはち切れんばかりに考え、そして、思いついた。
「もっ、もう食べれないよぉ〜、ムニャムニャ」
その場が静まりかえった。
よっし、これならいける。
俺は自分の作戦が成功したことを喜んだ。
そしてこのままゆっくりと目を開ければ完璧だっと考え、行動に移した。
まずは、目をゆっくりと開け、その後、体をゆっくりと起こした。
そして俺は。
「おっ、おはようございます」
と引きつった笑みで言い、何事も無かったかのようにしようとしたが、現実はそんなに甘く無かった。
「おはようございますソウジ様、では失礼して」
その声の主は、作り笑顔百パーセントの顔で、右拳を限界まで引いていた、フィリスだった。
昨日ぶりのこの感じ、懐かしいなぁ。
俺はこの後の事が、容易に想像出来た。
「意識が戻ったなら、早く目を開けなさいよ‼︎」
フィリス渾身の一撃が、俺の顔面を捉え、さっきまで、お世話になっていた床に、またお世話になることになった。
文字数が少なくなって言ってる気がします。




