表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
村人勇者の英雄譚  作者: ワカメ
一章 王国生活
2/73

第二話 土下座の素晴しさ

 日本では、集合時間に遅れた時、会社で失敗した時、不倫がバレた時、こんなの時に役に立つ、最上位の謝罪が存在する。

 その名は、DO・GE・ZA

 だが、異世界では全く通用しないことを知った。

 まぁ、日本でも、後半のは、無理だと思うけど。


「なんですか、それは?」

「自分がいた、世界での最上位の謝罪です‼︎ はい‼︎」

「そうですか、もう顔を上げてください、勇者様」

「いやです、だってまだ、絶対に、姫様怒ってるでしょ?」

「もう、怒ってませんし、夢だと勘違いしてたなら仕方ないことですし」

「本当に、怒ってませんか?」

「本当にです」

「本当の、本当に?」

「本当の、本当です」

「本当の、本当の、本当に?」

「あまりにしつこいと、怒りますよ」

「はい‼︎ 今すぐ、顔を上げさせていただきます」


 顔を上げるとる、そこには、天使の微笑みではなく、身体の震えが止まらなくなるぐらいの、絶対零度のスマイルがあった。


「あのぉ、本当に怒ってないんですよね?」

「えぇ、本当ですよ」

「ならなんで、そんなに怖い顔をされてるんですか? やっぱり怒ってるんでしょ?」

「怒ってませんよ、胸を触ったことは」

「えっ?」


 全身に悪寒が走り、身体の震えが止まらなかった。


「確か、残念な、まな板幼女って言ってましたよね? 後、この世界での、最上位の謝罪は、死刑ですよ?」

 

 全身から血の気が引き、口から乾いた笑いしか出なかった。



「そんなに、真っ青になってどうかしましたか?」

「ははは、死刑なんて、冗談ですよね?」

「ふふふ」

 

  姫様は、優しい笑みを作り、右手の親指を自分の首にあて、右に振り抜いた。


「いやだぁ⁉︎ まだ死にたくないよぉ‼︎ だってまだ、一度も息子を使ってないんですよ‼︎ 性の喜びも知らないまま死にたくよぉー‼︎」


 全力で後ろに後退したが、男達によって捕まった。

 男達に慈悲を求めた、視線を送ったが、目をそらされ、「すまない」「自分の罪だ、受け入れろ」「女はいいぞ」と誰も助けてくれなかった。

 最後のを言った奴は、死んでも殺してやると誓った。

 

「ふふふ」


 姫様が笑いながら、こちらにゆっくりと近づいて来てる。


「あぁ」

 ポンッ

 肩に、姫様の手が置かれた。


「あぁぁぁぁぁぁ」


 死を覚悟した。


「ふふ、冗談ですよ、さっきのお返しです」

「へえっ?」


 そこには、可笑しそうに笑う姫様の顔があった。


「本当に、もう、怒ってませんから、泣かないで下さい」

「うっうぅ、死刑にしない?」

「えぇ、死刑は、仕返しのつもりだったんですが、そんなに本気で、怯え、泣かれたら、むしろこちらがわの、罪悪感がすごかったので、こちらも反省してます」

「ひめざまぁ、ありがとうございますぅ、ズズゥー」


 姫様の左手を、両手で強く握りながら、鼻声で感謝の言葉を言えた。

 姫様は、困った顔をしていた。


「分かりまし、分かりましたから、これで顔を拭いて下さい」


 姫様の右手には、白いハンカチがあった。


「うぅ、ありがとうございます」


 感謝の言葉を口にし、姫様から渡してもらったハンカチで、涙と涙跡をふかせてもらい、ついでに鼻もかんでおいた、。

 

「いやぁー、スッキリした、てっ言うか、姫様の冗談きつすぎますよ、本当に、死を覚悟したんですよ。

 あっ、あとこれ返します」

「ちょっ、調子が戻った様でなによりです。

 あと、そのハンカチは、受け取れません」

 

 ちょっと黄ばんだだけで、新品当然のハンカチを捨てるなんて、やっぱお金持ちは違うなぁー。

 まぁ、俺もいらないけどね。

 

「なら、捨てますね」

 

 ポイっとハンカチを投げ捨てた。

 それを見てた、姫様が小声で「お気に入りでしたのに」とっ言ってたけど、聞かなかったことにした。

 ついでに、ついさっき決心したことを口にすることにした。

 

「聞いて下さい、俺、今回の件で決心しました」

「なっ、なんですかいきなり」

「この世界は、自分のいた世界にはない、決まりごとや、TPOがあることを知りました」

「えぇ、そうですね」

「だから俺は、今度からは、格上の姫様のような方には、胸がまな板だとか幼女だとか、思ったことをすぐに口に出さない様にします」

 

 再び場が凍りつくのを感じ、後ろの男達が、「やっ、やりやがったあいつ」「今度こそ死んだな」「おれたちにできないことを平然とやってのけるっ、そこにシビれる!あこがれるゥ!」などと口々に言っていたが続ける。


「おい、永遠のモブ共は黙ってろ、あと、最後のやつなんでそのネタ知ってんだよ! まったく、でっ、話を戻しますけど、つまり俺が言いたいのは、本当の事は言わず、相手を尊重し、オブラートに包み、相手に伝えることにします‼︎ つまり、姫様は残念まな板幼女では決してありません、例えるなら、そう、ボッ・キュッ・ボンなセクシーな大人の女性です‼︎」


 言いたいことも言え、スッキリした顔で、姫様を見た。

 姫様は、左手を高く上げ、喜びの笑みではなく、怒りの笑みをうかべていた。

 あっれれぇ〜、おかしいぞ? ちゃんとオブラートに包んで、姫様が喜ぶように言ったのに、なんで怒ってるだぁ? しかもこの感じ、さっきもあじわった気がするぞぉ?


「どうして、左手をあげてるんですか?」

「分かりませんか?」

「は、ハイタッチかなぁ?うっ、ウェイー」


 姫様のあげられた左手にハイタッチをした。


「ふふふ」


 怖い、姫様スマイル、怖い。

 

「分かりますよね?」

「はい」


 素直に返事をするしかなかった。


「あんなことを言った後に言われても、全く嬉しくないわぁ‼︎」


 バッチィーン


  左頬に新しい紅葉を作り、再び地面に倒れた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ