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村人勇者の英雄譚  作者: ワカメ
一章 王国生活
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第十七話 資料館

遅くなって本当に申し訳ございません。

「でっ、次は何処に案内してもらえるんですか?」


 歩きながらたずねた。


「ここからなら、資料館ですかね」


 資料館ってことは、この世界の本などがあるのだろうか?

 まぁ俺には、フェルトがいるから必要ないんだけどね。


「資料館ってここから近いんですか?」

「もお着いてますよ」

「はぁ?」


 間抜けな声が出てしまった。

 でも廊下を歩いているだけなのに、着いたと言われても信じられるわけがない。


「何言ってんですか? ここは廊下ですよ」

「ですから、この館そのものが、資料館なんです」


 まじかよ、この館ってかなりデカかった気がするんだが、いったい何冊の本があるんだよ。


「では中に入りましょうか」


 気がつくと、目の前に扉があった。

 俺は軽く返事を返し、扉を開け中に入り、唖然とした。

 そこには、見渡すかぎり本で埋め尽くされていた。


「ではこちらに」


 この光景に見惚れていたが、フィリスに呼ばれ、本のジャングルの中を進んでいくことになった。

 ある程度進むと、少し開けた所に出た。

 そして、その中心には、椅子に腰を下ろし、本を読む男がいた。


「リンスさん、お久しぶりです」


 フィリスは男に対して挨拶をした。

 それに気づいたリンスもこちらに気づき、返事を返してきた。


「おや? フィリス、お久しぶりだね、それと初めて見る顔だが、そちらの君は?」

「俺のは異世界から来た、日丿輪総司って言います。なんで俺の事はソウジと呼んでくれればいいよ」

「わかったよ、ソウジくん」


 リンスは物腰の柔らかそうなお爺さんだった。


「それで、フィリスとソウジくんはどうしてこちらにきたんだい?」


 その問いにフィリスが答えた。


「こちらのソウジ様に王宮の案内をしているとこなんです」

「そお言うことですか、ならここでは私が案内させてもらおうか、それでいいかなソウジくん」


 それに対し「できれば女性がいいんですけど、仕方ないので我慢します」と返した。


「そうか、正直なのはいいことだ、では時間もないので、簡単に案内させてもらうよ」


 そして、リンスはゆっくりと歩き出し、俺もその後について行った。

 リンスはここに置かれている様々な本の位置やどんな分類の本が置かれているかを優しく、分かりやすく教えてくれた。

 時間は過ぎ、二人は三回の端ににある最後の本棚まで来ていた。

 意外に面白かった資料館探索が、これで終わりと思うと悲しくなるが仕方ないと割り切り、俺は本棚にもたれかかり、憑依を発動した。

 名前などは見ても意味がないと思い、スキル欄だけを見ることにした。


 〈スキル〉

 〈瞬時記憶〉LV8〈記憶閲覧〉LV8


 思っていたより少なかった、それに戦闘向きかも分からないので、この場で見ることにした。


 〈瞬時記憶〉

 説明〈瞬時に物事を記憶することができ、記憶量はレベル上昇により向上する〉


 〈記憶閲覧〉

 説明〈記憶している知識情報を閲覧することが出来る〉


 簡単な説明だったが、要は記憶力向上と憑依の記憶閲覧の自分版ってことだろ。

 意外に使えるスキルだったのでいただく事にし、自分の体に戻った。


「おや? 私は何を? 」

「本棚の説明中でしたよ」


 俺は何事も無かったかのように答えた。


「そうだったな、すまなかった。では、説明に戻るが、ここにはシン王国の歴史が記された書物が置かれておる」


 リンスさんは、説明を再開した。

 そして最後の本棚の説明も終わり、フィリスの元に戻ろうとした俺を、リンスが止めた。


「何でしょうか?」


 そお尋ねると、リンスは周囲を警戒するように見渡し、安全が確認できたのだろうか、口を開いた。


「今から言う事は誰にも内緒にして欲しい、後声も出してはならぬ、分かったかい?」


 俺は警戒しながら無言で頷いた。


「では、まず最初に確認したいのだが、ソウジ君の職業は勇者か?」


 俺は静かに首を横に振った。


「やはりか、では今から語る事は、信じ難い事かも知れぬが、どうか信じて欲しい」


 首を縦に振った。


「よいか、このままだと君は近い内に、王族の命で殺されるだろう」


 それは聞いた事のある台詞だった。

 その間もリンスの話は進んでいき。


「シン王国は、エルス・セシルが王になってから変わってしまった、今では自分の思い通りにならぬ者はすぐに殺す、そんな恐怖政治を行い、王都には昔見たいな、活気が失われてしまった、いや、すまない話がそれてしまったね、つまり私が言いたいのは、今すぐこの国から逃げるんだ、ソウジ君」

「そんな事が出来るんですか?」

「難しいだろう、だが私はこれ以上、異世界の者が死ぬのを見るのは嫌なんだ」


 分かった事がある、リンスさんはとても優しい人だと言う事が。

 そんな人から、スキルを奪った事を後悔して来た。


「私も出来る事は協力させてもらう」

「でもそんな事がバレれば、リンスさんはどうなるんですか?」


 気になる事を訪ねた。


「その時はきっと、殺されるだろう、だが私はもうただの老いぼれだ、だからこの命が君のためになるんなら本能だよ」


 いい人すぎて泣きたくなって来た。

 でも、だからこそ、そんな事を頼めるはずがない、だから俺は。


「心遣い感謝します、ですが安心してください、俺は簡単には死にませんし、俺には神様が付いているので」

「だっ、だが」

「ソウジ様、リンスさん終わりましたか?」


 その後も何かを言おうとしていたが、下から聞こえたフィリスの声で、この話は終わる事になった。

 そして二人は、一階のフィリスの元にまで戻り、資料館を後にする事になった。

 そして、資料館の出口の前で振り返り。


「また、こちらに来ても良いですか?」


 その問いに、リンスさんは複雑な表情を作ったが、最後には優しく微笑み。


「いつでも待っているよ」


 と言ってく、資料館を後にした。

次話もいつになるか分かりませんが、なるべく早く投稿します。

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