第十話 ステータス
遅くなってすみませんでした。
「ではまずは、ステータス・ウィンドウの開き方です」
そっちはいいから速く憑依について教えてもらいたいだけどな。
「憑依の方を先に教えてもらえませか?」
「焦らないで下さい、憑依はステータス・ウィンドウを見てもらってから、自分の目で確かめてもらった方がいいと思うので」
焦らないでって言われても、焦ってしまうのが、この、日丿輪総司である。
だって、エクストラスキルって、俺だけのスキルでしょ、そんなのを目の前にしたら誰だって焦るでしょ?
逆に焦らない人がいるなら見て見たいよ。
「では最初に、ステータスオープンと念じて下さい」
言われるがままに、脳内で念じてみた。
「うぉ⁉︎」
すると目の前にウィンドウが表示された。
「どうですか? 目の前にウィンドウが出たと思いますが?」
「あぁ、出たよ」
俺は、短く返事をし、ウィンドウに目を向けた。
職業〈村人〉LV1
体力〈1000〉
魔力〈0〉
力〈34〉・俊敏性〈45〉・運〈10〉
〈スキル〉
〈言語理解〉〈文字理解〉〈神託〉LV1
そこには、新しくスキル欄に神託が増えていた。
だが、一番目を奪ったのは、スキル欄の下に新しく表示されていた。
〈エクストラスキル〉
〈憑依〉LV1
と書かれていた。
本当にエクストラスキルを授けられたことを確信し、感激のあまり目尻に涙をため、神を信じることを誓った。
俺ってすぐ信じる相手を変えちゃってるけど、もしかして俺って結構尻軽なのかな?
こんなんだから彼女の一人も出来なかったんだろうなぁ。
関係ないか。
一人漫才をやめ、マジマジとエクストラスキルをみていると、フェルトの声が聞こえた。
「次に、スキル欄の〈言語理解〉をどちらの手でもかまわないので、指で押してみてください」
言われる通り、言語理解を触ってみると、ウィンドウの右隣に新たなウィンドウが現れた。
そこには
〈言語理解〉
説明〈あらゆる種族の言葉を理解することができる〉
とあった。
なるほどタップすることで、その説明がみれるってわけか。
これなら、文字理解も同じ感じだし見なくていいか。
「ステータス・ウィンドウについてはなんとなく分かったよ、でっ次は何をすればいい?」
「ステータス・ウィンドウは説明の他にも、今後、さまざまな事ができますので覚えておいて下さいね。
それではお待ちかね、憑依の説明を見てみましょうか」
この時を待っていた。
俺はエクストラスキル欄の〈憑依〉をタップしった。
〈憑依〉LV1
説明〈自分の視界に入った、対象(魔物以外)に一分間乗り移る事が出来る(時間はLVが上がる毎に上昇)
その際に対象の記憶を閲覧でき、スキルを奪う事が可能(奪ったスキルを既に習得している場合は、よりLVの高い方が優先され、既存のスキルよりLVが低いスキルを奪った場合は無効となり、奪ったスキルは消滅する)〉
デメリット〈乗り移っている間、自らの体には意識が無いため、無防備な状態になる。
憑依中に死んだ場合は本体に戻ることができなくなり死んでしまう。また本体が生命活動出来ない状態になった場合も同じである。
記憶の閲覧を行う場合、自分の脳の許容範囲を超えると、脳が破壊される。〉
最後の方に怖い事が書かれてたが、確かにこれなら真実を確かめる事が出来るし、スキルを奪えるってとこも素晴らしい。
これは間違いなく、チートスキルなのは分かるが、レベルが上がる毎にってのが気になるな。
「なぁフェルト、スキルのレベルってなんだ?」
すぐにフェルトからの返答が来た。
「それはですね。スキルは一括りにまとめられてますけど、その中には、戦闘系・戦闘補助系・生産系・常時発動系があり、その中で常時発動系スキル以外にはレベルが存在し、レベルによって能力が向上したり、最高レベルまで上げ、特定の条件を満たすと上位のスキルに進化する事もできます。
そしてスキルレベルを上げる方法はいたってシンプルで、使えば使うほどレベルが上がります。
一応、例外もありまして、自分の職業レベルが上がるに連れてスキルレベルが上がる場合もありますね」
なるほど、フェルトの説明で大体分かったが、一つきになるのが、神託にもレベルがある事だ。
神託ってどお考えでも、戦闘系でも生産系でも無いと思うし、戦闘補助系なら納得いくが、神と話すだけのスキルなのにレベルが必要なのか?
気になったので、神託の説明をみることにした。
〈神託〉LV1
説明〈自らの魔力を使うことで信仰する神のお告げを聞く事が出来るが、成功率はLVに比例する(支払う魔力はLV上昇するにつれ減少する)〉
なるほどなるほど、つまりレベルが上がるにつれ、消費魔力が減って、成功率も上昇するのか。
でも、俺の場合スキルレベルが一でも成功したが、運が良かったのか?
「なぁ、神託の説明を見たんだけど、このスキルって失敗すんの?」
フェルトに思ったまんまの疑問をぶつけた。
「あぁ、その事ですか。まぁ正直に言いますと、神って思っているほど暇じゃ無いんですよ、だから、いちいち下界の者の問いに全部答えるのが面倒臭いので無視してるだけでよ。
あっ! でもソウジは無視しませんから安心してください」
えっ⁉︎
そんなもんなの?
神様って、人々の悩みとかを面倒からってだけで無視するの?
そんな適当な感じでいいの?
なんかフェルトも信じられなくなって来た。
「まぁその事は置いといて、憑依の説明を見たら、どおやって真実を確かめるのかも分かりましたよね?」
置いとくんだ、結構大事な事だと思うんだけどなぁ。
まぁ、フェルトの言った通り、記憶の隅にでも置いとく事にして、フェルトの問いにこたえた。
「あぁ分かったよ、つまり俺が、アリシア達に乗り移って記憶を見ればいいんだろ?」
「その通りです、ではそろそろ神託を終了しますね」
急に終了すると言われても困ってしまう。
「いや、ずっと説明してくれるんじゃ無いの?」
その問いにフェルトは短く嘆息し。
「先ほども言いましたが、今は私のなけなしの魔力を使っていると言ったでしょ? 正直もうクタクタなんですよ。」
それを聞いて納得した。
「分かったよ、またなんかあったらこちらから呼ばせてもらうよ」
「そうしてもらえると助かります。一応この後の事なんですが、まず手始めにメイドさんで憑依を試す事をお勧めます。
スキルの使い方は言わなくても分かりますよね?」
俺は短く返事をした。
「では、最後に忠告を一つ、記憶の閲覧は昨晩までにしなさい、それ以上を見てはいけません、分かりましたか?」
「あぁ、分かったよ」
フェルトは返事を聞いて満足したようだ。
「それなら良かったです、では失礼しますね」
「あぁ、また夜な、後・・・ありがとな」
顔を見なくても、感謝の言葉を聞いたフェルトが微笑んでいるのが分かった。
「そうですね、また夜に会いましょうね」
その言葉を最後にフェルトとの会話が終わった。
フェルトのお陰でやる事は決まった。
なら後は突き進むだけだ。
俺はベッドから立ち上がり、ドアの方に向きなおり、メイドを呼び。
再度、覚悟を決め。
「いっちょやってやりますか」
そお独り言のように呟き、ドアが開くのを静かに待った。
土日は1日投稿出来るようにします。




