第一話 勇者召喚
今回が初投稿になります。
毎日更新は無理かもしれませんが、頑張っていきたいと思います。
見切り発車なので、変更などが多くあると思います。
ご指摘ご感想は常にお待ちしております。
眼が覚めると、そこには、見慣れた低い木の天井ではなく、高く、汚れひとつ無い純白の天井が広がっていた。
「・・・んっ?」
寝ぼけたままだが、身体を起こし周りをみわたしたが、屋根と同じく、白を基準とし、装飾の施さられた、壁や柱に囲まれ、時々、人と柱の間に人がいた。
「ゆ・・・ゃさ・・しゃ・さま」
前から誰が何かを言いながら駆け寄って来た。
意識がはっきりするに連れ、言葉が聞き取れて来た。
そして、気がついた時には、駆け寄って来てた、誰かが、自分の横に両膝をつき、心配そうな顔をしていた。
「勇者様大丈夫ですか!? 私のことが見えてますか!? 声は聞こえていますか!? どこかいたむところはございませんか⁉︎ 」
寝起きなのに、耳元で騒がれて、頭がガンガンする。
「あのぉ、耳元で騒がないでもらえますか?」
「えっ? あっ、す、すみません」
「だいたい、君さぁ、親に耳元で騒ぐなって、教わらなかったの?」
「えっ? えっ? えぇっと、すみません、そのようなことは、お父様にも、お母様にも、教えてもらっておりませんでした。本当に申し訳ございません」
「あっ、うん、俺も教わったことないよ」
「えぇ〜」
軽い冗談なのに、ちゃんと反応してくれる、育ちの良さそうな女の子をほっといて、また周囲を見渡してみた。
分かった事がいくつかあった。
この建物がドーム状のこと。
自分を中心に、地面に魔法陣が描かれていた。
そして、ひとつしか無い扉の方から、甲冑を身につけた人たちが、鬼の形相でこちらに迫って来てた。
「小僧が、姫様を侮辱しよって、ぶっ殺してやる‼︎」
先頭を走る男が、怒鳴っていた。 俺は、周囲を見渡して。
「小僧って、俺のこと?」
「お前以外に、誰がいるか‼︎」
火に油を注いでしまった。
男達が腰に下げている、剣を抜き始めた時、建物内によく響く声が放たれた。
「剣を下ろしなさい」
「っ、でっ、ですが、その者は、姫様に不敬を働いたのですよ」
「私はかまいません、彼も、いきなりこのような場所に呼ばれて、表面上は平気そうですが、きっと、内心は気が気でないはずです。
だから、貴方達も落ち着きなさい」
「そうだよ、俺も内心はかなりテンパってんだから、大目に見てね」
ウィンクしたら、顔がさらに険しくなった。 姫さんも、力なく笑っていた。
冗談が通じないので、本題に入ることにした。
「でっ、聞きたいんだけど、ここどこ?」
「急に、真面目になられるですね」
「えっ、あぁ、俺さぁ、リアルの人と話すの数年ぶりだから、会話のリズムとか、分かんないだよねぇ〜」
「えっ?」
若干引かれた気がするけど、気にしないでおこう。
「でっ、質問に答えて欲しんだけど」
「えっ、すみません、えっと、ここはですね、シン王国の王宮にある、勇者召喚のための儀式部屋です」
「ふぅ〜ん」
「あれ? 驚かないんですか? 、普通はここで驚くと思うんですが?」
そお言われても、と思ってしまった。
「いや、急に、シン王国や勇者召喚なんて設定、言われても、頭の整理が追いつかないってか、なんてっか、もおチョット分かりやすく教えてもらえない?」
「そうですよね、ですが、今から詳しく話すには、時間が足りないので、詳しい説明は、明日に回して、今回は、簡単な説明でもかまいませんか?」
「それでいいよ」
でも、この会話の流れって、「私たちの国が、魔王軍によって危機に瀕しています、だから、勇者召喚で異世界から、貴方を召喚させてもらいました。」とか、そんなテンプレ展開だろ。
「実は、私たちの暮らす人間界の領域が、魔王軍によって侵されて、危機に瀕しています。
その為、私たちは、異世界から強い力を持った、勇者様を召喚することにしました。
そして、召喚に応じてくれたのが、貴方様になります。
ここまでで何か分からないことはありましたか?」
「うんっとねぇ・・・思った通りのテンプレ回答をいただいたよ‼︎俺の夢ならもっとマシな展開ぐらい考えとけよ‼︎」
「ひっ⁉︎きゅっ、急に怒鳴らないで下さい。
何か、勇者様を怒らせるようなことでも言いましたか?」
姫様が目尻に涙を為震えながら訪ねて来た。
まぁ、いきなり大声出されたら、そりゃ誰でも怯えるよね。
でも、考えて欲しい、こっちは、夜遅くまで働いて心身共にクタクタで、やっとオフトゥンで寝る事が出来たのに、寝たら、こんなテンプレ展開の異世界物の夢を見て楽しいか? 俺は思う、テンプレ異世界物は、アニメやラノベで十分だ、せっかくの夢の世界ならセクシーなお姉さん達とキャッキャッウフフしたいと思うのは、漢として当然だと言える。
なのに、目の前にいるのは、見た目も幼ければ、胸も幼い、幼女と、むさ苦しい野郎どもと来た。
こんなの許せるか? いいや、許せない、だから、怒るのは当然の権利だと言って良いはずだ。
まぁ、仕事つっても、深夜に行われた、ゲリラクエストなんですけどね。
「あっ、あのぉ〜」
暗い顔で、姫様の方に顔を向けた。
「なんですか?」
「ひっ、あのぉですね、怒ったと思ったら、急に落ち込んでいるように思えたので、心配で」
ため息一つつき。
「いやだってねぇ、せっかくの夢の世界が、見た目は良くても、胸が残念な幼女と、野郎どもと来た、これで、落ちこむなって言う方が、無理な話でしょ」
姫様から、表情が消え、場が凍りついたことに気づけなかった。
そして、冷たく凍えそうな声で。
「誰の何が、残念ですって?」
「いやだから、姫様の胸が」
そこまで言って、気づいたが、姫様がうつむいて、握り拳を作り、プルプル震えていた。
兵士達も、怯えた表情を作り、慌てていた。
「なんだよいきなり、震えたり、慌てたり、騒々しい奴らだなぁ、夢なんだから、自分達の役割ぐらいちゃんとしろよ。
まぁ、せっかくの夢だし、胸ぐらい触っておくか」
「へぇ?」
ペタ
「んっ!」
「全然、楽しくないなぁ」
ペタペタペタ
「あっ、んっ〜」
なんだか虚しくなって来た。
初めてのパイタッチが、幼女だと思っただけで、息子から元気が無くなって来た。
再び、ため息一つ。
「なんで、そんなに残念そうなんですか?」
「そりゃ、まな板触っても、興奮するやつなんていないだろ」
「まな板、そうですか、勇者様、ちょっとこちらを向いてもらえますか?」
「なんだよ」
姫様の方を向くと、そこには、絶対零度のスマイルと、持ち上げられた右手があった。
「えっ?」
「ここは!夢の世界でも‼︎残念な!まな板の!幼女でも‼︎ありませんわー‼︎」
バッチィーン
あぁ、この世界は本物だ。
右頬に紅葉を作り床に倒れた。
最後まで見ていただきありがとうございます。
次の話はいつになるか分かりませんが、明日投稿出来るように頑張ります。