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サッカーしようぜ!そして出会う運命の幼女



異世界に転生した尚人は日の光を浴び蹴伸びをしながら呟く。


「エルムコロスゼッタイコロス」


その目には生気が感じられず、目の下には大きなクマが出来ている。


尚人は異世界仕様に変えられたコンビニの設定を確認するために、2日間徹夜をしていた。


最初は取扱説明書もあったので数時間で終わるだろうと高を括っていたが、取扱説明書の内容はエルム同様酷く、何を言っているのか分からないので自分で調べる事になった。


その2日の労力の結果は以下の通りだ。


①この異世界にはやはり電気は存在せず、代わりとして尚人の魔力を媒体にして電気機械を動かしている。


その魔力は俺から引き出しているっぽい。

そうなると俺の魔力どうなってんの?無限なのか?それとも無限に近い有限?



ワケワカメ状態だが多分有限だろ。なにせ2日間電気を使いっぱのままにしてたら、披露のあまり倒れそうになった。俺は1週間徹夜までなら大丈夫なので、魔力の使いすぎのせいなのかな?


②コンビニの裏手の部屋、分かりやすく言うと事務所にはここで生活するために、ベッド・キッチン・洗面台・風呂・トイレ・洗濯機・冷蔵庫が備え付けられていた。


無論全て魔力で動くので常時魔力を持ってかれる。


③その裏には昔ながらの白の据え置き電話があり、その隣に一つのパッドが置いてある。


パッドと言っても貧乳が胸に入れるものじゃないよ。てか俺は貧乳の方が好きだし。


そのパッドにはコンビニ置いてある商品の絵が写っていて、それを一つ押すと目の前にその商品が現れる。


〇mazonビックリの商法だ。


白の据え置き電話はエルム直通だ。




ここまで分かってもまだ完璧ではないので、他の情報を探す意味で改めて取扱説明書を読むと、最後のページに一つの通帳がくっついていた。


「何だこれ?あのクズエルムの金か?まぁ軍資金って所か...」


エルムは金が無かったし1万程度だろうと思って中を見ると、あまりの額に一度地面に通帳を落とす。


数秒衝撃で固まっていたが、きっと見間違いだと思いもう1度見る。


「一、十、百、千、万......1千万...あいつ!何して稼いだぁ!」


見間違いではないと分かるとすぐエルム直通の電話を手に取り、電話をかける。


数回コール音がなった後ガチャと言う音と共に憎きエルムの声が聞こえる。


「どうしました?」

「聞きたいことがある。この金はなんだ?何をした?また借金したのか!」

「違いますよ借金はしてません」

「じゃあ何をした」

「知ってますか尚人さん。神って身体の臓器が半分無くなっても生きられるです」


は?それってまさか


「アハハハハ売ったんですよ臓器を!ひゃははは最初からこれをすれば良かったんです!あぁ大量のクッキーが目の前に!アハハハハ!!硬い硬いですよ!髪ちぎれません!アハハハハハハハ」

「うん何かごめん。お大事に」


電話を切るまでもずっとエルムの高笑いの声が聞こえ続けた。


まさかここまでするとは思っていなかった。それ程までに追い詰められていたんだろう。流石に臓器まで売って金を作ってくれたんだから、借金返してやるかと太ももを叩いて気合を入れる。








それから1週間経ったが収入はゼロ。逆にマイナスだ。それは当たり前の結果だった。


考えて欲しい。

もし次の日の朝になったら突然見たことも無い建物が立っていて、そこから人が現れ美味しいよとか言って「よし買おう」と思うか?無理だ。どう考えても買おうとすら思わない。



それに今いる国リスタント王国に関しては技術力がかなり離れている。


この世界では大きな大陸を四つの国が支配している。


武力が優れているナイツ帝国


科学技術力が優れているトリアル王国


魔術が優れているマスト王国


そして今いるリスタント王国


リスタントに限っては偶然にもその土地から鉱石が大量に生成され、単身でドラゴンを倒すことの出来る四騎士と呼ばれ存在が大きい。


そのせいでリスタントの中心にある都市以外は、基本寂れている田舎みたいなものだ。

建物も全て木で出来ていて、あまり大きくない。


かなりこの国は質素な生活を送っているのだろう。


だからこそコンビニの商品は売れると思った。

中心の都市以外は料理の火力調整と言う言葉を知らない。


肉は塩をかけ火で丸焼きに、パンはフランスパンもビックリの強度しかない。


こんな生活不満がないわけが無い、けどやっぱり怪しい者には近づかないようで......



俺は今サッカーをしていた。



「行くぞ!ファイヤーサイクロン!!」

「スゲェ!!!ボールに火を纏わせた!!」


火を纏ったボールは一直線にゴールを向かう。


キーパーはそのあまりの迫力に横に飛び、ボールをかわしてしまいゴールされてしまった。


ストンと綺麗に着地をすると、近くに興奮気味で子供達が近づいてくる。



「スゲェ何今の!」

「ファイヤーサイクロンだよ」

「ファイヤーサイクロン?」

「そう炎をボールに纏わせて蹴るんだ。多分君達も出来るはずだよ」


元ネタはイカズチイレブンだ。


暇つぶしに遊びに行っていた電化製品コーナーでたまたま流れていたのを見てしまい、その後公園の岩でこの技を練習していた。


何故出来たのかはさっぱりだけど、出来たので問題はないだろう。


「ふぅ疲れたーー」

「俺もやりてぇ!」

「俺も俺も」

「そうだな......高く飛んで回転して蹴るみたいな感じかな?」

「いよっしゃやってやる!」


近くにいた4人の子供たちはせっせとボールを蹴る。


サッカー自体6日前に教えたばかりなのに、今の実力は軽く高校生を超えている。the野生人のなせる技なのかもしれない。


孫を見つめるおじいさんぽっく、大きな岩に座って子供達を見つめていたが、だんだんと日は暮れて子供達が片付けを始める。


「もうこんな時間か...」

「またあの飯だよ...正直違うの食いたい」

「おいあんまり無理言うなよ。アレで我慢するしかないだろ」


こんなに遊んでヘトヘトなのに家に帰れば、皆大好きカチカチ飯が待っている。

その絶望的な未来にため息をつく。


それを見計らって尚人はコンビニ定番のおにぎりを差し出す。


「これ何?」

「これはおにぎりって言ってな、家にある硬い飯じゃなくて、柔らかくて美味しいものだよ」


流石にビニールに入ったままでは食べられないと思い、ビニールを外して子供達の前に指す出す。


子供達は尚人の言葉で喉を鳴らす。


食いたい...けど、両親に知らない大人からは貰っちゃだめって言われている。けど食いたい。


子供達の純粋な心には親の言葉はよく刺さる。


だが、今までなんのために遊んできたと思っている?子供達の心を手に入れるためだァ!

いやはや作戦通り作戦通り。

そしてここで魔法の言葉を言えば落ちる。


「もう知らない人じゃないだろ。これからも友達だろ」

「「「「お兄ちゃん!」」」」


子供達は目を輝かせておにぎりを掴んで人齧りする。


今まで食べてきたのはカチカチの肉にカチカチのパン。そんな口に柔らかく噛めば噛むほど甘みがでる米が入る。


その衝撃は地球が破滅すると同等以上の革新的なものだ。


「うめぇぇ!!」

「何これやばい!」

「この豆みたいな奴の間に入ってる、木の実みたいなのも酸っぱくてうまい!」

「うますぎるよぉぉ!!」


おかわりもあるよとさらに追加すると湯水のように飲んでいく。そうかおにぎりは飲み物だったのか......それはカレーかな?うん今はいいや。


だって作戦は大成功したんだからな!あぁニヤニヤが止まらねぇよ。


大人は身体も心も成長しているので、突然現れた怪しい者をすぐに信用などしない。だが子供は別だ。


軽く遊んでやればこのようにすぐ信頼する。

そしてその子供達こそが尚人の作戦の要。


こんなに柔らかくて美味しい物を食べた後に、家に帰ってカチカチの飯を食べるはずがない。


そして親にこう言うんだろう。


「これじゃなくてあの店で売ってるやつが食べたいと」


その言葉を聞いた親は警戒するものも、子供達に引きづられコンビニに行き、試しで商品を買うことになりそして食べればあの衝撃。


そうすればたちまちコンビニのおにぎりに洗脳される。


これこそが完璧で最強の作戦。


子供達に自分の店を伝えた後家に優雅にスキップして帰る。




コンビニの前に付くと1人の幼女がボロボロの服装だ倒れていた。


「これは......そうだ治療のためだ。決してやましい気持ちはない」


自分に言い聞かせながら幼女を抱き抱える。



ふひょううう!柔らけぇぇ!!スベスベのお肌にプリプリの唇。髪はボロボロな服装と同じように、カサカサしているがサラサラになればきっと綺麗な事間違えがない黒い髪。そして地面に落ちてる神々しい剣!どれをとってもさいこ......え、剣?


幼女を持ち上げるとその下には刃まで金色で、まるでどこかの岩に刺さってましたよと感じてしまう程の神々しいさ。


かなり厄介事になりそうだから放置してやろうかと思ったが、幼女を助けられるのならばそんな厄介事も引き受けてやるさ。


そうこれは治療行為だから...そう言い続けながら幼女の服に手をつけようと伸ばす途中で手が止まり。


「貴様見ているな!」


そう言って立ち上がると突然映像が停止して、何も映らなくなる。



その後20分後に復活した映像には、新品の服を着ている幼女と、何故かつやつやしている尚人が映っていた。




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