表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の匂い  作者: 水野 聡
2/2

春の甘い風の中で、体のなかに痛いほど溢れていた希望は丸みを帯びていき、心音も鈍くなりやがて意識がなくなっていく。


「次に目を覚ます頃には、きっともっと暖かくなっていてお日様はもっと光り輝いて、いけないわ、またドキドキしてきちゃう。」


風がなだめるように弱く吹いて、あの子は器用にそれに乗る。


「世界は素敵だわ。こんな感情は間違っているのかしら。少し怖いくらい。ああ、私はさぞかし素敵な場所で咲くのでしょう。これ以上ない優しい土の上で、綺麗な動物さん達の隣で、それで、それでこれ以上ない」


あの子は希望と春の調和の中に身を預けた。しかしそれはあの子の勝手な思い込みであり、空中遊泳の最中深く眠りにつくのは、あの子の種の最も大きな特徴である。


あの子が次に目を覚ますのは、殊更暑い日の夏の朝だ。すっかり大人びた一輪の花としてだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ