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月が出たら謎は解ける  作者: 迎 カズ紀
俺が自分の程度を知った日
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結末:只今

 バスが学校に着いた時には辺りは真っ暗だった。雪が降っていないだけマシだろう、と思いバスから降りるもやはり寒い。雪国でなくても冬は寒い。

 連絡事項の伝達の後すぐに解散となり、俺と桜はここで別れた。荷物を家に置いてから片丘さんのもとへ集合という手筈だ。


 家に着いたけれど真っ暗である。それもそのはず、両親は長野とはまた別の雪国にいるからだ。祖母の法事が修学旅行の日程と重なっており、交通機関が雪で止まる可能性を考えて早めに出ると決まっていたのだ。おそらく明後日には帰ってくるはず。

 荷物を置いて制服を脱ぐ。早く片丘さんのところへ行こう。お土産はホテルから郵送しているため今日は持っていけない。自分の夕飯を買うついでに何かコンビニで買おう。


 胸を燻る感覚が気持ち悪い。

 悔しい。悔しい。悔しい。

 現実を突きつけられた。

 己の程度を知ってしまった。


 片丘さんがいなければ何もできない。何が探偵の助手だ。

 片丘さんの代わりの足に、耳に、目になるんじゃなかったのか。

 ただただ悔しい――。


 もっちーが足元にすり寄ってきた。

 飯は食ってたか、と撫でると引っ掻かれた。ため息を吐いて餌入れにお菓子を補充する。まったく現金な妖魔だ。


 食欲がなかったので夕飯はコンビニで肉まんだけ買った。味があまりしない。

 空が陰っている。雲で月が見えない。店や街灯の明かりの方が明るいはずなのに酷く虚しい。


 もっと聞き込みをしていたら。

 依頼者に確認を取っていれば。


 ふざけるなよ。式神なんて知らなかったよ。

 なんだよ式神って。ズルじゃないか。


 道端の石を蹴っ飛ばそうとしたが空ぶってしまった。


 狭い路地に着く。たった4泊5日の修学旅行なのに、遠い遠い旅をしてきたかのように感じられる。

 片丘さんに何と言われるのだろう。

 そう思いながら路地の先を進み、屋敷の前まで行った。


「おかえりなさい」


 出迎えてくれた片丘さんの表情は、声は、いつも通りだった。


「……ただいま帰りました」


 風邪なんてもらってないのに、鼻声になってしまった。

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