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月が出たら謎は解ける  作者: 迎 カズ紀
俺が気づかないふりをした日
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報告:通話

 就寝時間になった。久しぶりのスキーのせいか、体の節々が痛い。明日もスキーなんだし、しっかり回復してほしい。

 同室のみんなが寝静まったら桜と部屋を抜け出す予定だったが、なかなか寝なかった。結局部屋を抜け出せたのは1時を回った頃だった。向かったのはトイレの個室。


「遅い」

 電話越しで聞く片丘さんの声。声しか聞こえないのに表情が見えるようでなんだかおかしい、いや怖い。

「そういや、メールで報告するって話じゃ……?」

「そのつもりだったし逐一ちゃんとメール出してたけど、電話をかけろって返信が届いたから」

 見せてもらったメールには、「ぬけたせるときにしんけつくんといつしよにてんわかけてきなさい」と書かれている。うん、ベタだ。


「それで、幽霊か災害型とひとまず結論付けたのね?」

「はい。幽霊と妖魔は異なるけれど、例としては多いので。都市伝説でもありますし」

 怪談話で分かるように幽霊ネタは多い。世間に溢れている……までかは分からないが、フィクション含めると結構な数がある。

「本当に幽霊かどうか断定するのは早いわ。それに、前のことだから忘れてしまったのかしら」

 片丘さんはため息をつく。前のことって、何のことだ?

「あと、新月くんにちゃんと説明していないことがあったから伝えておくわ。高岡にとっては当たり前すぎて忘れているのだろうけれど……」

「? 何ですか?」


「今回、私に接触したい人間と連絡を取るために私は鳥月嬢から電話を借りました。そして、私は高岡の電話と連絡先を共有しているけれど、新月くんの電話とは共有していない。このことが分かる?」

 確かに、緊急連絡先は公衆電話からかけるよう指示された。俺の携帯と片丘さんの携帯は繋がっていない――。

「私や高岡が使っている電話は『妖魔でも使える電化製品』よ。逆に言えば、妖魔以外には使えないの」

「――え?」


 説明されたことをまとめるとこうだ。


 妖魔の音声や姿は一般の人には見えない。それは携帯電話も同様だ。一般に出回っている電子機器は妖魔を感知してくれない。そのため八家のうちの田代家が開発した携帯電話しか使えない。


 それを用いて人間と繋がるためには、人型妖魔のお偉いさんに申請しなければいけない。今回は鳥月さん名義で千賀坂さんと、もうひとりの人間と繋がるようにしてもらっている。勝手に俺の携帯と繋がらないようにしているのはそのためだ。公衆電話はまあ、別らしいけれど。


 桜は4分の1が人間なため一般の携帯電話を使うことができ、学校や長田探偵社とはそちらの機器を用いている。


「ざっとそんなところよ……だから私がメエルに不慣れなのは仕方がないと思いなさい」

 あ、認めた。

 そう桜に目配せして苦笑しようとして――思考が急速に回転し始めて、止まった。


「……ちょっと待ってください。じゃあ、千賀坂さんに、妖魔は電話をかけられない――?」

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