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月が出たら謎は解ける  作者: 迎 カズ紀
俺が気づかないふりをした日
34/60

依頼:人探

 相談者:千賀坂/17歳/女子高校生・科学者


 捜索対象:宮倉みやくら侑梨ゆうり/17歳


 依頼内容:何年も連絡を取っていない、行方不明になっていた友人から突然連絡があった。何度かかかってきたが、いつもすぐに通話が切れてしまう。逆探知した結果、GPSはこのスキー場を指していた。でも私は、そこまでたどり着けない。友人と直接話したいから、探してきてほしい。




「じゃあ、経験者コースの皆さんは指定されたコースなら自由に回って大丈夫です。ただし、1人では行動しないこと。必ず2人以上で行動するように!」

 インストラクターさんの説明が終わると経験者組は散り散りになった。

 俺と桜は千賀坂さんから教えてもらったポイントまで向かって――――はいるのだが、少し遠回りなほうのコースを経由して向かう。久しぶりのスキーだ、少しくらいいいだろう。

「俺たちは滑れてよかったね。そうじゃなきゃ、依頼どころじゃなかった」

 桜がポツリと漏らした言葉に頷く。それから数十分前を思い出す。


「そこまでたどり着けない……ってどういうことですか?」

 結界的な何かがあるのだろうか。

 友人と言っているけれどあまり会いたくなくて、心構えの時間が必要なのだろうか。

 答えを待っていたら――千賀坂さんはふいと顔を背けた。

「君たちは探偵なんだろう? お得意の推理でもすればいいさ」

「は?」

 なんで喧嘩腰なんだ。思わず声を荒げてしまった俺とは反対に、桜は落ち着いて聞き返した。

「どんな些細なことでも必要な情報なんです。妖魔絡みの依頼でなくても、知らなければ分からないこともあるんです。どうしても言いたくなければ大丈夫ですが、よかったら教えてください」


「熱を、出したんだ」

「……?」

「私のほうは修学旅行4日目だが、初日に高熱を出してしまった。もう治りかけだが、安静にしておくよう言われた。だから私はスキーの滑り方を知らない。行けないんだ」

 淡々と言ったが、彼女は確かに高校生の少女なんだと気づかされた。


「行方不明だった友人から連絡があったって、不思議だよな」

「うん……連絡先を知っていたことも、スキー場にいることも、直接会おうとしないことも」

 友人の宮倉さんは、どういう人なんだろう。何年も前に行方不明になったような口ぶりだったから、千賀坂さんの時は幼い頃のままで止まっているのだろう。

「どうか見つかりますように」

 そう願いながらストックを握った。

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