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月が出たら謎は解ける  作者: 迎 カズ紀
俺が気づかないふりをした日
32/60

導入:雪滑

 無事に長野に到着した。着いたのは夕方になった頃。初日は特に何かイベントがあるわけではなく、スキーに向けてのオリエンテーションと靴のサイズ確認で終わった。

 肝心のスキーだが、基本的にグループ毎でコースを回る集団行動だが、経験者は特別にスキー初日の午後から自由に好きなコースを行って良いことになっている。俺は家族で何回かスキーに行っていたし、桜は地元が長野ではないが雪国なのでバッチリ滑れる。なので単独行動をしても気づかれにくいだろう――いつ相手と接触するのか分からないが。



 修学旅行2日目。宿泊行事って何で全体的に朝が早いのだろう、と布団を恋しく思いながら食堂へ。朝食はバイキング形式なので各々自由に食事をとって席につく……が、混雑のレベルではなく混雑している。桜と千秋と来たはずなのにもうはぐれてしまった。最悪バラバラで座っても良いのだが、他のグループの近くでぼっち飯することを考えるとできる限り避けたい。

「おはよう桐野君」

「……おはよう長田さん」

 長田さんは言葉はシャキッとしているが人の多さに顔色が少し悪い。長田さんも友達と離れたのだろうか。

「桐野君は経験者組?」

「うん。長田さんは?」

「私は初心者組だよ。スキーなんて初めてだからドキドキだよ」

「慣れたら案外大丈夫だよ。俺も最初は木にぶつかりまくってたけど何回か滑ってたらぶつからなくなったし」

「本当に? うーん、よし、頑張ろう!」

 長田さんと話すのは心地良い。最初は変に緊張してたけど、同じ部活に入って交流を重ねるうちに普通に話せるようになった。

 ファンクラブの目は相変わらず怖いが、まあ大丈夫だろう。「闇討ちしたら長田さんを悲しませる」対象に入ったと信じたい。

 ……信じたいけど、流石に一緒に朝食をとることは辞退させてもらった。



 簡単な開会式の後スキーは始まった。インストラクターの人に挨拶をし、経験者組も午前は一緒にコースを回る。久々のスキーでも身体は覚えていて、数回滑ると完全に感覚を取り戻した。

「じゃあ、そろそろ次のコースに行こうか。あ、この先は危ないから気をつけてね。特にあそこ」

 インストラクターの人が指差した方角からは、よく分からないけれど何か嫌な感じがした。



 昼食時間のあと、30分休憩時間がある。カレーの皿を返却口に戻していると桜に肩を叩かれた。

「この休憩時間に接触したいってメールが届いた。場所は人があまり通らない浴場前の休憩所だって」

 ――ようやくメインイベントその1だ。

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