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月が出たら謎は解ける  作者: 迎 カズ紀
俺が名前を知った日
29/60

結末:八家

「それじゃ、お暇するわね」

 鳥月さんの依頼はこれで終了。あとは依頼料を――。

 払うのかこの人?


「鳥月嬢?」

「もう、そんな怖い顔しないでよ……。この前のもチャラになるくらいの、とっておきの依頼料を用意してるわ。ということで、ちょっと借りるわね2人とも」

 そう言うと鳥月さんは片丘さんを引っ張って奥の部屋へ行った。

 残された俺たちは、珈琲とクッキーを食べながら待つことにした。



「そういえば、鳥月さんって人型妖魔財閥の跡取りって言ってたけど、そんなに凄い人なの?」

「もちろんだよ。八家の本家筋のご令嬢なんだから」

「はっけ?」

 首をかしげると、そう言えば説明してなかったねと桜は手をポンと叩いた。それからルーズリーフとペンを取り出し日本地図を書き出す――って上手いな日本地図!

「八家は、人型妖魔の大名みたいなものなんだよ。8の大きな一族があるんだけど、今でいう八地方にそれぞれ分かれて、妖魔に関する産業の統制をしてるんだ」


 北海道は田代たしろ。妖魔にも扱え、かつ妖魔が悪さをしないような電化製品の開発を担当。


 東北は天藤てんどう。林業系を担当。


 関東は鳥月。妖魔が用いる調味料系メーカーの第一人者。


 中部は高岡――俺は分家なんだけどね。医療系で、妖魔の実態を探る研究もしている。


 近畿は茅萱ちがや。他が大名としたら、茅萱家は幕府かな。衣類系メーカーを担当してるけど、全ての妖魔への決定権を持った特別な役割もある。


 四国は遠山とおやま。鉱石系の産業担当。


 中国は塚地つかじ。貿易系を担当していて、他の国との妖魔情報の交換・物資の輸入輸出を行なっている。


 九州は手嶋てじま。海産系の担当。


「そもそも人型妖魔自体数が少なくて、人型妖魔は全部八家の一族と思ったほうがいいよ。俺みたいな分家だと良いけど、出会ったら失礼な態度を取らないようにね。特に茅萱家!」

「お、おう」

 まさか人型妖魔がそんなに凄い存在だとは。珍しいとは聞かされてたけど、まさかまさか。怖すぎる。

 ……あれ?

「片丘って家、ないんだね」

 疑問に思い尋ねると、桜は曖昧な返事をした。

「うーん。俺もよく知らないんだ。婆ちゃんたちと片丘さんは知り合いだし、高岡の分家か他のところの分家かもね。分家も末端だと苗字変えてるところあるし」


 しばらくすると鳥月さんが出てきた。片丘さんはと聞くと、疲れたから少し休むと言っていたそうだ。

「さて、今度こそお暇するのだけれど――高岡君、お散歩に付き合ってもらえないかしら?」

「え、なんで俺?」

「まだ明るい時間とは言えクリスマスイブよ? ひとりで歩くのは嫌だからついてきてほしいの」

 別に鳥月さんは誰にも見えないんだからいいのでは。そう言いかけたがお互い口をつぐんだ。

「それで桐野君。あなたは片丘についていてあげて。いいわね?」

 さっきまでと同じ言い方だけど――鳥月さんの目はとても真面目だった。そしてnoと言わせない雰囲気。素直に「はい」と答えた。

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