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月が出たら謎は解ける  作者: 迎 カズ紀
俺が部活を変えた日
14/60

依頼:猫探

 相談者:小西こにしひより/13歳/中学1年生


 依頼内容:飼い猫が3日前からいなくなった。1日いないことはいつものことだけど必ず次の日には帰ってくるのにおかしい。近所の人や友達に聞いても手がかりすらなかったので、探偵さんお願いします。




「これが今回の依頼です」

 浮気調査の次は猫探しか。妖魔絡みといっても、そこまで物騒な事件はないんだな。

「高岡、その猫の写真はないの?」

「それが写真に写るのを嫌ってたみたいで……。この暴れてぶれてるやつが一番いい写りだそうです」

 それは依頼者がだっこしてる時に撮った写真のようだが確かにぶれている。顔ははっきりとは分からないが体の色、大きさは判別できる。白くて割とでかい。名前はシラタマらしい。それっぽいけど。

「ん……? 小西ひよりって……」

 写真に写っている女の子はどこか見覚えがある。けれどもパッと出てこない。

「とりあえず高岡と新月くんは町の探索。この子は中学の校区内しか回ってないようだからこの辺の地域を重点的に回って」

「了解です」

 桜が元気よく返事し出かける準備を始めた。俺もついていこうとしたが、片丘さんに遮られた。

「妖魔について分かっていることを話すわ。あなたはこっち(・・・)側には疎いのだからね」


 片丘さんの話を要約するとこうだ。

 妖魔には大きく分けて5種類いる。


 一つ目は洗脳型。井藤さんを疑い深くしたようなタイプの妖魔だ。霧だったりスライム状だったりと決まった形は持たないらしい。過去の例では、人間にしか取り憑いたことはないそうだ。祓うのは洗脳された本人に直接ではなく、妖魔の近くならどこでもいいらしい。


 二つ目は憑依型。肉体もしくは精神的に弱った生物全般に取り付くらしい。すべてを乗っ取れるわけではないが何かの目的のために行動していると考えられている。本人に直接触れて祓わなければいけない。


 三つ目は変化型。これは人間以外の生物や物にそっくり化けるタイプの妖魔。簡単に見分けることはできないほど綺麗に化けるが、お祓いをすることで姿形なく消えてしまうようだ。変化した理由を推理しない限り祓えない。


 四つ目は災害型。これに関してはデータが少なく何も言えないが、とにかく危険なのは確かだそう。変化型と似ていて、地震や爆弾などに変化し、被害を拡大させたのが過去の事例だそうだ。


 そして五つ目は人型。人間に憑依したわけではないから妖魔のDNAを持ち、独立した存在。桜の祖母と祖父みたいに人間とも種を残せる珍しいタイプだそうだ。


「憑依型が今回考えられるのだけど思い込みで進めるのは危ない。だからちゃんと見極めてちょうだい」

 片丘さんの目はいつになく真剣に思え た。


 町を桜と探索したがこれといった情報は無い。高校の近くまで来てしまったので一度休憩しようと門の前の花壇にこしかけた。今は5時半を少し過ぎたところだが部活動の声は響いている。

 パリン。遠くでガラスの割れる音がした。その後すぐに、すんません、と野球部員らしき声がする。

「ガラス割っちゃったんだね」

「うちの学校割と多いんだよな……。この前もサッカー部のやつが学年主任のズラ吹っ飛ばしてたし」

「あはは、それはやばい」

 2人で笑ったが疲れがにじみ出ていた。探偵って大変なんだな……。

 休憩もしたしそろそろ再開しよう、と桜が言い今度はさっきと反対側の方へ歩き出す。

 けれども情報はなくその日の調査は終わった。

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