結末:契約
助手。……助手?
「な、なんでそんなことになるんですか」
「今回の依頼でわかったの。私たちには人間が必要なのよ。妖魔の私たちにはわからないことがあるとわかったの」
「俺も朔がいてくれると心強いな」
「桜まで……。む、無理ですよ」
「いいえ、断ることは許さない」
ダメだ、これはヤバイ状況だ。
逃げようと立ち上がろうとしたが足が動かない。ついでに目線も片丘さんに固定されてしまっている。くそ、片丘さんのせいか!
「私の足も、耳も、目も、狭い世界しか理解できない片方だけでは足りないの。両方そろって、私はようやく完全な探偵になれる」
「そんなの、俺にメリットがない」
それもそうね、と彼女は言った。しかしすぐに意地の悪い微笑みを浮かべる。
「あなたの願いを叶えてあげる。妖魔らしいでしょ?」
あなたの願いを叶えてあげる。
それは、本当なのか……?
「なんでも、いいんですか」
「ええ。なんでも」
「……わかりました、いいですよ」
なんでも叶うのなら、なってもいい。いいさ、なってやるよ。
桜が安心したように笑ったのが横目で見えた。
「あ、助手をやめるという願いはなしね」
……ちくしょう。