第四章 クレイジー・アバウト・ユー(八)
俺は、人差し指を突き立てた。出入り口のパネルスイッチ目がけて、腕を上げる。意識を指先の一点に集中させ、瞬時に力を解放した。
行け。
一筋の青い閃光は、静電気に弾かれたような痛みを肌に残し、俺の身体を離れた。光が唸るように空気を切りパネルを射抜く。続いて、部屋の蛍光灯は、二三度点滅してから、一斉に電気の供給を止めた。
影を捉えられるわけにいかない。それには、実験室の明かりをすべて消してしまうしかなかった。
ここは、もはや月明かりひとつない部屋である。だが、それはもう遅かった。そばに立っているはずの金剛の気配が感じられないのだ。周囲を見渡し、俺がやっと状況を理解しはじめたころ、黒いローブに身を包んだ畔上七子が闇の中から突然姿を現した。スポットが当たっているように彼女だけがはっきりと見える。細い両腕に支えられた鎌の切っ先が鈍い光を上げてこちらを向いた。
この空間が、黒の女の遣うモンスターの闇の中であることは間違いなかった。
「畔上、これはどういうことだ。お前、死税庁とまだ繋がりがあるってのか」
「【これにて、チュートリアルを終了します】」
「ああ?」
彼女は、口を動かすだけでフードの下に見える顔からは表情が消えていた。
問 このゲームのシナリオを書こうと思ったきっかけがあれば教えてください。
答え 友人です。彼の支えがなければ、この作品を完成させることはできなかっただろうと思います。




