表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/47

第四章 クレイジー・アバウト・ユー(五)

「自分のこととなれば、人間、変わるものだな」

 

鷲のような目つきで金剛まみは試験管を振った。


「集中しているところよ。誰かさんを思い出させるような、邪魔はよしてちょうだい」


「誰かさん?」


彼女は、はっと口をつぐんだ。乙女モードまみりんは、何かとそそっかしくなるらしい。


「昔馴染みのことよ。私にとっては、そうも昔のことではないけれども……もう、この話はよしましょう」


まみりんは、大げさにため息をついて、俺に背を向けた。


「悪い。別に、あんたのことを詮索するつもりはないんだ」


彼女はそのまま背中を丸めて、ぼそりとつぶやいた。


「あんたじゃないわ」


「……ああ、金剛さんな」

 

突然、こちらの調子の狂わせる仕草はよしてほしい。


「苦い失恋だったの。あなたにも、ひとつやふたつ、あるでしょう」

 

ふと頭を巡らせてみると、俺は、誰かに話せるような最もらしい失恋をしたことがないことに気が付いた。もちろん、27年の長い人生の中で気になる子ひとりいなかったわけではない。ただ、それも全くの見返りがないとなるとテレビの中のアイドルとなんら変わりないのだ。中学生の女の子にかけてやる言葉ひとつ出てこないとは、なんて情けない青春を送ってきたのだろう。


「心配するな。大人になれば、笑い話になるさ」


「それらしいことを言って逃げたつもりね」

 

やはり、可愛くない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ