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ゲームをはじめる(二)
《運動部の掛け声》
定番。
《枕元に差し込む夕日》
これまた定番中の定番。
《放課後の保健室に、彼女とボクの二人きり》
このシチュエーション、ひねり0。ゲームなら、即刻電源OFFってるところだね。
でも、彼女が俺の手を握ったとき、王道ほど人間の本能を刺激するものはないと思った。女の子の手って、こんなに柔らかいものだったのか。
「し、シスター?」
「祈りましょう」
……あ。
いくら童貞とはいえ、まさか中学生相手にどきりするとは、なんたる不覚。大人として情けないぞ、俺。
シスターの話によれば、この学校は、全寮制の中学校『聖マリオネット学院』。彼女は、ここの生徒だという。