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win×2  作者: ねぐせ
4/5

第二話 大体の事って予想できるよね

───あなたもしかして異世界人?───



これはとても困る質問だ。


この世界に魔法という概念があり、異世界召喚なんてザラにあるならいいが、魔法という概念がないかもしれない。


まずなんでそんな変化球な質問がきたのだろう。


この世界に魔法の有無で痛い人か、凄い人のどちらかになる。判断材料が少なすぎてどうしようもないが、あんなサイズの蛇に魔法無しじゃあ対抗できないだろう。


だがしかし!魔法が無いという可能性も捨てきれないッ!なんせ大昔の人間は石器だけでマンモスと渡り合ったという。

この世界の住人がそんなワイルドな生活を送っているとしたらッ!くそぅ!わからんぞぅ!どうすればッ!


考えるんや!考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考え………


あっ、そうだ、記憶喪失ということにしよう。



「い、いやね?実は記憶喪失なんすよ、自分。」


はたして、自分が記憶喪失だとわかる便利な記憶喪失があるだろうか?



「ふーん、そうなんだ、大変だね。ちなみに魔法は使えそう?」



彼女の言い方からすると、魔法は存在するようだ。怪しまれないよう、保険をかけておこう。



「使えそうだけど、今は疲れてて…」

まぁ、いざとなったら、俺の2000の技の一つ、《生体模写》で誤魔化そう。冒険家になった覚えはないが。



「そっか、さっき使い魔だしてたもんね。」



違うが、あえて否定しないでおこう。



「そうだ!お礼に家に泊まっていきなよ!すぐそこだし!」



やはり、そうきたか。安心して今後の事を考えたいし、ここは、礼を受け取るべきだろう。



「じゃあ、そうさせて貰おうかな。」



「よし、ならはやくいこう!すぐそこの村なんだ、ほら早く早く!」



「場所わからないんだから、置いてかないでくれよ~?」




***




──マッサラ村──



マッサラ村へようこそ!


という看板が立っている。危ない。なにがとは言わないが危ない。


はやめにサヨナラバイバイしないと。



「黄色いネズミの変わりに白い美少女を連れて旅に出ろと…」



なんというエロゲ。



「おーい!なにやってんの?こっちこっちー!」



「あぁ!今行くよ!」



まぁ、いいか…



「ほら、お母さん!あの人が私を助けてくれたんだよ!」



「へぇー。あの子が…」



「…?なんの話ししてたの?」



エリザベスと同じように綺麗な銀髪だ。エリザベスのお姉さんだろうか?



「ありがとうね~。娘を助けてくれて。」



……?…………???

…む…すめ……?



「!?」

この人がお母さんッ!?



………いやいや、いやいやいやいやいやいやいやいやいやおかしいおかしいうんおかしい。


だ、だってこの人どうみても二十代前半だよ!?んでもって娘は十代後半だよ!?遊○十代だよ!?


二次の世界では母キャラは若々しく見えるって言うけど、これはッ!


なんというエロゲ。ここが桃源郷か。



「変な顔してどしたの?」



「あ、いや、えと、こ、この人がお母さん?」



「うん!」



「ホントに?」



「なに~?血が繋がってるように見えないって~?」



「いや!違っ!た、ただお母さん若すぎじゃないかなって思って!」



「あら、お世辞でも嬉しいわ♪」



「い、いやお世辞とかじゃなくて!ホント、一目惚れしそうな位綺麗でっ!」



なにを言ってんだ俺は!?人妻口説くなよアホ!


いや、確かに好みだけどね?薄くて高い本にでてきそうな超絶美人だけど!って、落ち着け俺ぇぇぇぇぇ!!



「あら嬉しい♪…………本気にしちゃうわよ?」



落ち着けMy son沈まれMy son耐えろMy sonッ!


誘惑に負ければお前に明日は無いッ!



「ほら、お母さん!変なこと言ってるとお父さんに怒られるよ!」



よかった未亡人だったら理性がヤられてた。にしてもエロい。



「そうね、ほら、あがってあがって♪」



「お、お邪魔します。」



「……夜這いに来てもいいわよ♪」


ドサッ


「いきなり膝から崩れてどうしたの!?」



耳元でッ!




***




「「「いただきます!」」」



────割愛─────



「「「ご馳走様でした!」」」



めちゃくちゃ美味かった。



「あぁ、そう言えば自己紹介してなかったわね。私はラケル=シルフィー、よろしくね♪」



「俺は江ノ本 礎枌です。こちらこそ、よろしくお願いします。」



「あ、それと今は仕事で居ないケド、父親のマルクス=シルフィーもよろしくね。」



「あ、はい!」



「それと、部屋は廊下の突き当たりの空き部屋を使ってね?それとも私と寝る?」



落ち着け俺。負けるな。



「もう!お母さん!」



「ごめんごめん♪」



「全くもぅ…」



「は、ははは…」



*



………呼ばれるまで風呂には行かんぞ。絶対に。


風呂でバッタリ☆なんてのはイケメンにしか許されないイベントだ。

俺みたいな普通と不細工の中間みたいなヤツが出くわしたら二度と太陽が拝めないような大罪だ。見たくないといえば嘘になるが。


───────

──────

─────

────

───



特に何もなく朝を迎えました。





****





「そう言えばソソギの魔法見せてよ!」



朝食を頂いているとエリザベスがそんな事を言ってきた。


チィ!覚えてやがったか!



「へぇ、ソソギくん魔法使えるんだ、凄いね。」



アレ?使えなくてもよかった感じ?



「わ、私だって使えるもん!」



「火炎魔法、しかも石ころサイズしか出せないでしょうに。」



「そ、それでも魔法は魔法だもん!」



「はいはい。それで、ソソギくんはどんな魔法が使えるの?」



「えと、動物を呼ぶ魔法、とか、です…」



「へぇ、珍しい魔法ね。」



「ま、まぁ…」



魔法じゃないですしおすし。



「じゃあ早速見せてよ!」



「え゛、今すぐ?」



「うん!いいじゃん減るもんじゃないし」



「魔力は減るんじゃないかしら?」



「そこ!うるさい!」



やれやれといった様子でラケルさんは食器を流し台に片付けにいった。



「じ、じゃあやってくるから窓から見てて。」



「え?なんで窓か「じゃあ行ってくる!」あ、ちょっと…」



魔法じゃないとバレるとなんか気まずいし、誤魔化すように外にでた。



スズメらへんのでも真似すればなんか寄ってくるだろう。



この世界にスズメがいるのか知らないが。


「───チュンチュン、チュンチュン(声真似)」



………ダメか?…………



いや、スズメの群れが来た。大体十匹ってところか?


にしてもアノ蛇みたいにデカイのばっかじゃなくて安心した。


………さて、そろそろいいか…コイツらの生態系を狂わすのもなんだし。



「ホレ、行けお前ら。」



パタパタと音を発てて飛んでいった。そろそろ中に戻ろう。



**



「ソソギ凄いじゃん!」



中に戻った俺は早速称賛の言葉を貰った。が、魔法じゃないので素直に喜べない。



「ま、まぁね…」



「なんでそんな自信なさそうなの?私より使えるまほ…う……グスッ」



自分で言って傷付くくらいなら言わないでほしい。



「エリザ………なぁ。」



「ん?なに?」



「エリザベスって長いからリズって呼んでいい?」


エリザベスの愛称はこれで合ってたハズ。まぁ向こうの世界では、だけど。



「うん!いいよ!親しい人は、皆愛称で呼んでるし。」



「そうか、じゃあリズ。」



「なに?」



「俺って記憶トんじゃって、魔法の知識とか全くないからさ、教えてくれな「じゃあ、私が教えてあげる…♪」ッ!」


ドサッ


「また膝から崩れた。ソソギ、膝壊すよ?」



そう思うならラケルさんに耳元で囁くのをやめるように言って欲しい…


いつの間に性感帯見抜かれたんだ?



「ラ、ラケルさんが教えてくれるんですか?」



「そうよ♪私、これでも昔は教師だったのよ♪」



「えぇー!?」



「な、なんでリズが驚いてんのさ…」



「だって初耳だもん!」



「あら、言ってなかったかしら?」



「言ってない!」



「ま、まぁそれはおいといて、教えてくれるなら是非お願いします!」



「もちろん!それと、リズもお勉強会参加ね。」



「えぇーなんでー?」



「だって貴女、ほとんど魔法使えないじゃない。」



「う…………」



「それじゃあ、お勉強会開始~♪」




***




お、思ってた以上に疲れた……頭痛い………

だがしかし!得たものは大きい!さて、整理してみよう。


・魔力とは脳の使われていない90%の内の60%に潜む力


・魔法は大きいものになると魔方陣が必要


・魔法は脳から出る、信号が大気中の魔素<マナ>に伝わって起きる事象


・魔法を使うにおいて大事なのはイメージ


・しっかりとしたイメージがないと魔法は発動できない


・この世界の住人からすると結構難しい


・イメージが強いほど魔法も強くなる


・属性があるらしいがそこらへんはあやふや


まぁ、つまるところ、

妄想力=戦闘力。



「……アレ?俺って強くね?」



現役学生の頭を舐めてはいけない。特に男子は無意識に変なことを想像する時期だ。


さて、これから来るであろう盗賊団達に備え少しでも魔法が使えるようになっておこうか。



ドカ-ン ギャ-




ワ- イヤ-




………早くない?




***




あーん思ってたより早く来ちゃたのねダーリンたらも~♪あははは~全くこいつったら~♪




ぶっ殺すぞ。

ふざけんな、マジふざけんな、こちとら魔法を一回も使ったことことないん戦闘力5のゴミなんだぞ!


いつの時代もDQNは本当に迷惑だ、禿げが!なんて愚痴っていると俺を呼ぶ声が聞こえた。



「そ、ソソギぃ~!どうしよう、昨日のチンピラが仲間連れてきたよぉー!」



「うん、知ってた。」



「えぇ!?凄い、礎枌って未来予測の魔法も使えたんだね!?」



「まぁ、出来ない事は無いかな…」



某ダナダナ少尉をイメージしすれば。アレ?中尉だったっけ?まぁいいや



「で?どうすんの?」



「私達で撃退しよー!」



「リズは、役に立つの?」



「や、役に立つよ!私、棒術習ってたんだよ!」



スゲェドヤ顔。腹立つ。



「ほーん、じゃあ方天画戟でも持っとけ」



作れっかな?



イメージを固め、そこらにあったクワとスコップを片手に左から右へ振り切るとバチバチと音をたてて方天画戟へと姿を変えた。



「おぉー!礎枌すごい!」


ぱちぱちと拍手をしているところを見てるとアホの子にしか見えない。


まぁ、なんて事はない、某錬金術師に従い、等価交換で形を変えてみただけだ。


……ちなみに清まし顔でやったが内心うおぉぉぉぉぇあんぎゃー!みたい、な感じだったのは内緒だ。



「つっても材質は、変わってないからな、荒く使えばすぐに壊れるぞ。」



「わかった!気を付ける!」



さて、行くか。


しかし、撃退ねぇ?そんなwin-loseの形は望んじゃいないんだよなぁ……



「アレ?ソソギは武器要らないの?」



「あぁ、俺は別にいい。」



「ソソギは素手で戦うのか!かっこいい!」



やっぱり、コイツは少しばかりアホ成分が入っているようだ。美少女からアホの子にランクダウンだ。



「相手をボコボコにしてもいいけど、命まではとるなよ?」



まぁ、そこまでするような子に見えないケド。



「え?なんで?起き上がってきたら、キリないじゃん?」



恐ろしいッ!アニメ観てて確かに思うけども!この子には、後で教育的指導が必要なようだ。



にしても、未だに何処からも火の手があがらないし最初にあがってから悲鳴も聞こえない。

という事は、相手は根っからの悪じゃないようだ。


なら、交渉の余地はあるな…



「よし、リズ!」



「?」



「俺達がするのは、撃退じゃない…交渉だ。」


「こうしょう?」



「そう、交渉だ、交渉はまず、初めの印象が、大事だ。」



うんうん!と、頷きながらリズは聞いている。



「だから、初めに盗賊の三人くらいを吹っ飛ばしてくれ。」



「はいはいしつもーん!」



「なんだ?」



「そんなことしたら、相手は逆上するんじゃないの?」



「いい質問だ。


確かに相手が悪者だったらアウトだ、しかし、あいつらは『盗賊やってる俺ってチョーワリーwww』とか『ヤベェ俺KAKKEEEE!!』とかそんな感じの半端者ばっかだ。」



「なんで、そう言いきれるの?」



「あいつらが入ってきた後で悲鳴があがったか?」



「あがってないね、」


「だろ?なんせ、村を襲った、なんて事になったら速攻指名手配だからな。」



「なるほど。」



「ホントにわかってんのか?」



「わ、わかってるよ!バカニスンナー!」



むきー!と、いった具合に怒りをあらわにするリズ。



「まぁ、いいさ。さて!行きますかァ!」




***





「だから!黒髪のガキと銀髪のガキを出せって言ってんだろ!!」



「そ、そんなことを言われても、この村に黒髪の子供なんて大勢いるし…」



「黙れ!いいからあのガキ共を連れてこい!」



(コイツらミンチにしちゃおうかしら…)



ラケル=シルフィーは、あまり暴力沙汰を好む人間ではなかったためどのようにして、この場を収めるか考えていたのだが、あまりにも相手が老害ババアの如くしつこく喚き散らしていたのでイライラがピークに達していた。



「チッ!おい、野郎共!村ん中を探してこい!」



「あ、ちょ、ちょっと!」



村人の制止を押しきり五名程が村の中へ走っていった。



(ミンチ決定。)



ラケルが中へ進もうとした盗賊達に重力魔法でお肉を量産しようとした瞬間、進もうとした五人が吹き飛び、頭と思われる男の足元に転がった。



「なっ!?どうしたてめぇら!?」



「おぅおぅ、よくもまぁ、デフォルメな行動を起こしてくれるねぇ!チンピラ共!」



なんかこっちがチンピラみたいだな、と思いながら大声で叫ぶ。



「あぁー!あいつです!あいつです、頭ァ!」



「あいつらかァ!おい、野郎共ォ!やっちまえ!」



「なにお前ら、またあの蛇とおっかけっこしたいの?」



まぁ、そんなん喚べないけどね。しかし、そんな虚勢でも威嚇にはなる。



「か、頭ッ!いくら人数が多くてもあんなのに来られたらッ!」



「う、狼狽えんじゃねぇ!いくら、デカイと言ってもこの人数なら、いけるに決まってんだろ!!」



おっと、まずい。



「それとォ、上見てみろ上ェ。」



恐る恐ると、いう様子で盗賊達は上を見上げた。

其処には巨大で光る球体のような物体があった。

「な、なんだ、アレは!?」



なんだチミはってか、そうですワタスが変な物体です。



「プラズマだよ、プラズマ、わかる?電気の塊。」



「プ、プラズマだと!?」



勿論、そんなもの出せない、アレはただの光の塊、触れようがなんら身体に影響はない。



「そ、プラズマ、コレでわかった?戦力差。」



「は、はッ!やれるもんならやってみろッ!村人も巻き添えになるがなァ!」



いや、ただの光る球体なんですけど。



「そうか、じゃあ落とす」



特大光球の高度をジョジョもとい徐々に落とす。



「ソ、ソソギ!?」



おう、気持ちはわからんでもないがお前は驚くなや。



「フゥ…わっかんないかなァ~!対策も無しに落とす訳無いでしょうに。」



うわおれうざい。ちなみにアレは光るスライムをイメージした。


あ、最弱モンスターの方じゃないよ?



「あんま、ふざけてると落とすぞ。」



ヤベェ俺かっこいい顔してる今、写真撮りてぇわ。



「カキクケコカキクケコカキクケコカキクケコカキクケコカキクケコカキクケコカキクケコカキクケコカキクケコカキク」



某チート反射モヤシの如くか行を連呼。


前言撤回アブナイ奴に見えるわ。



「わ、わかった…俺達はすぐに消えるッ!だから、命だけはッ!」



とことん、デフォルメだねぇ~。


好きだよ、そういう奴♪

あ、ホモじゃねぇよ?


ホモサピエンスだけど。



「だれが消えろっつったよ?」



「え?」






『取引、しようぜ?』

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