第一話 ファーストコンタクトもとい出会い
草むらを掻き分けて出てきたのは綺麗な銀髪をした美少女でした。
「ッシヤァ!」
美少女来た!これで勝つる!
「ねぇ、君ちょっと助け────」
そこまで言いかけて気づいた。少女の後ろに三人の野郎共がいることに。
いかにも盗賊ですって格好をしている。
──なるほど、ダブルパンチときたか──
少女はこちらまで走ってくると私の後ろに隠れてしまった。
「お願いッ!助けてッ!」
助けて欲しいのはこっちだハニー。少女は、この馬鹿デカイくれいじぃなすねぇくが目にはいっていないのだろうか?
幸いにも、盗賊達はこのすんねーくにびびって動けないでいる。
勝ち目の無い三竦み!
完ッ!成ッ!
ド畜生。
*
───さて、どうするかね………八方塞がりだぞこれは……頼みの綱の美少女は後ろで縮こまってますし、武器も無いですしおすしぃ…………………………………
「………イヤ、一つだけ生き残る方法があるな………
でも、恥ずかしいなうん。自殺もんだなうん。でも仕方ないなうん。
生きる為だからなうん。しょうがないなうん。テンパってるなうん。なんかもうダメだなうん。
でも……でもッ!それしか!方法はないじゃないかッ!
ならッ!ヤるしかないじゃないかァッ!」
「…………?」
独り言言い過ぎたは。美少女に不審だと思われた死にたい。
**
俺はゲームの悪者のように、
かっこよく、高圧的に、はっきり、どこぞの童貞もとい童帝を意識して言葉を発した。
「ゆけッ!我が使い魔!ヨルムンガルドよッ!」
あ、なんかかっこいい声出た。
「何ッ!?」
「ヒィ!?」
「に、逃げろォ!」
なんというテンプレ。三下臭がハンパない。
幸い、蛇もホントに行ってくれた。
「言霊ってあるんやね………」
神はいないが不思議ぱぅわぁーはあるんだな…。
「あ、あのッ!」
ステキなヴォイスだ結婚しよう。
「あぁ、大丈夫だったかい?」
なるべく爽やかイケメンに見えるような声音と角度で言った。
「は、はいッ!助けていただきありがとうございましたッ!」
泣きそうになった。本当はこの子を頼っていただけになんかこう……。
「いや、礼には及ばないよ」
いやホントに。
「いえ!どうかお礼をさせてください!」
彼女が頭突きをせんばかりの勢いで迫ってきたので、つい
「そ、それじゃあ、してもらおうかな。」
なんて、言ってしまった。やだ卑猥。
アホか、状況もよくわかってないのに、無駄にフラグを建てたらダメだろうに。
…………フラグ?
つ、つまりこの子はッ!
「ヒロインッキタ………ッ!」
「えっ?」
「えっ?あぁ、いやなんでもないよ。」
いつの間にか声が漏れていたようだ。
しかし、この流れだと恐らく彼女の家に泊めて貰って、次の日に盗賊が村を襲うパティーンだぞこれは。
今の俺は戦闘力5のゴミ屑野郎だぞ。勝てへんよ。
「あの~」
「な、なぬかな!?」
いきなり声をかけられたので噛んでしまった。恥ずかしい!
「い、いえ、そういえばお名前を聞いていなかったなと思いまして。」
「あぁ~……」
どうしようか……日本だけ名前の形式が独特だからなぁ………変に思われるよなぁ………どうしたもんか………
と考えて沈黙していると少女は、なにを思ったのか、慌てて
「あっ!ごめんなさい!私から名乗るべきでしたね。すいません。
私の名前はエリザベスと言います。エリザベス=シルフィー。」
むぅ、名乗ってもらったからには名乗らない訳にはいかんよな。仕方ない、正直に言うか
「ドーモ、エリザベス=サン。エノモト ソソギです。」
俺はニンジャか。
「そそぎって呼んでね。あ、ついでに口調も直して良いよ。喋り辛そうだし。」
自己紹介のついでに喋りにくそうだったのでタメ口でOKな事を伝えた。
「ホント?じゃあ、遠慮なく。それにしてもソソギかぁ~。
変わった名前だね。」
「ま、まぁ…」
態度変わりすぎ訴訟。
まぁ実際変わった名前なので曖昧な返事をしておく。
んな事より、今後の事を考える方が大事だ。ドウシマショ!と焦っていると
「ねぇ。」
「ん?」
「礎枌ってもしかして異世界人?」
まさかの爆弾投下。