少女、パートナーになる
「さぁさぁさぁ、落ち込んでる暇はないですよ!
この強運を武器にちゃっちゃと魔王を倒してしまいましょう!」
妖精は拳を振り上げる。
僕はその様子を見て少しため息をついた。
「ちゃっちゃと・・・ってそんな簡単に倒せたら勇者呼ぶ必要ないじゃん。 第一、何処にいったらいいのか、わかんないし。」
僕がそう後ろ向きな発言をすると、妖精はそれをバカにするように人差し指を左右に振った。
「大丈夫ですよ~、貴方のバディである私が案内させていただきますから!」
「ばでぃ?」
またもや飛び出した聞きなれない単語を僕が復唱すると、妖精はまた説明をはじめる。
「バディっていうのは、道案内兼用心棒のことを指します。
秘境やモンスターについて説明したり、一緒に戦ったりと、勇者の頼れる仲間なのですよ!
貴方、岡田悠人の場合、ピクシーの私だったというわけです!」
こいつピクシーだったのか。と僕はペラペラと話す少女を見る。
「じゃあ、君が一緒に魔王倒しに行ってくれるってことか」
「そういうことです!飲み込みが早くて嬉しい限りですよ!」
彼女はパチパチと手を叩きながら大袈裟にいう。
「ふうん、じゃあこれからよろしくな。
そういえば君、名前は?」
「ピクシーの|ピク音«ぴくね»です」
「名付け親出てこい!」
ピク音って!安易で分かりやすいけど、ピク音って!何かもう少しあるだろ、名前!
「じゃあ大体の説明は終わりましたし、魔王退治に行きましょうか。」
ネーミングセンスに苦しむ僕など眼中にない、と言わんばかりに彼女は笑うと、僕をひきずって進む。
僕の旅ははじまった。