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悪役SS~シェイラによる『ディー』観察日記


キャラクター視線SS、シェイラ編です。

時系列は、牡丹派との抗争よりちょっと前くらい、かな?

最近お会いしたあの方は、本当に不思議な人だ。


「シェイラ様? そちらにいらっしゃるのでしょうか?」

「ディー様」


不思議なこと、その一。私がお会いしたいと思いながら人気のないところを歩いていると、まるで見ていたかのように、そのお声を響かせてくださる。……まぁ、ディー様になら、たとえ私生活を全て覗かれていようと、特に問題は感じないのだけれど。


「今日はどうなさったの?」

「いえ……。特別に、これといった用もなかったのですけれど。最近は一人で出歩いても危険を感じませんし、お散歩がてら、ディー様にお会いできたらなぁ、と思って」

「あら、私に会いに? 嬉しいわ。シェイラ様は数少ない、私のお友だちですもの」


不思議なこと、その二。ディー様は、これほど素敵な方なのに、ご自分をとても卑下していらっしゃる。何しろ初めてお会いしたときから、「皆が私の姿を怖がるから、人目につかないようにしている」と仰ったくらいだ。私とも、何度もお話ししているのに、未だにお姿を見せてはくださらない。


とても綺麗なお声で、それ以上にお優しくてお人柄も申し分なくて、 にもかかわらず気さくでお茶目なところもあって、こんなにこんなに素晴らしい方なのに! ちょっとお姿が変わっているくらい何? ディー様の周囲にいる人の目は、みんな節穴なのかしら? とすら思う。


私がもう少し、ディー様と仲良くなれたなら。きっとディー様も心を開いて、お姿を見せてくれるはず。そうしたら、まず真っ先に抱きつこう……と、私は心に決めている。


「ディー様。今日はよろしければ、一緒にお花見をしませんか?」

「お花見? それは構いませんけれど、私、姿を見せることは……」

「大丈夫! この先に、とてもよい場所があるのです。後ろは絶対、振り向きませんから……」


たぶん、だけれど。ディー様は、誠実な心で向き合えば、誠実な心を返してくれる方だ。最初に「姿は見ない」と約束したから、私は何があってもディー様が許してくれるまで、彼女の姿は見ない。

私の心が届いたのか、頷いてくださったディー様を案内したのは――後宮の隅も隅。庭とも呼べない小さな場所だけど、今はそこに、秋の野草が咲き誇っている。ディー様は絶対に、こういうお花が好きだろうと思ったのだ。


「まぁ、きれい……!」


声だけでも、彼女が喜んでいるのが伝わってくる。ディー様と同じ景色を見ながら、私も笑って頷いていた。





にしても、SSは一応本編のはずなのに、このままIFと繋がっても全く違和感のないこの不思議……いや、でも、まさかそんな(←動揺

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