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アサヒ王国
シンシュー地方
ニーナにとって驚くべきものが届いていた。
「エ、エリィ…」
たったひとりの妹から届いた手紙である。
驚いたのは、手紙の内容であった。
ー親愛なるニーナお姉様へ
ハーイ、ニーナ。貴女は元気にしているかしら?
わたしはすごく元気よ!お友達も出来たし、勉学も楽しくて毎日がすごく充実しているわ。
私の親友コレット嬢をはやくあなたに紹介したいです。
さて、話はかわるんだけど
突然ですが次のマスカレードダンスパーティーの招待状がお姉様にも届くはずなのでよろしくお願いしますね
お互いデビューだけど、たのしんでいきましょ
では、二週間後のパーティーの日まで
-貴女の最愛の可愛い妹エリィ
P.S本当は勉学はありきたりでつまらないのが本音よ
「な、なんてこと…!」
二年ほど前に大国、ジークフリート皇国の宮廷に侍女として仕え始めた双子の片割れからとんでもない手紙を受け取り
ニーナはただひたすら口をパクパク開けるしかなかった。
「ああ、あの子ったら…私は爵位持ちではないと言うのに…こんな…」
エリィことエリザベータは、宮廷に上がる際にジークフリート皇国のヴァッハルテ公爵の次男、リーンベル子爵の養女として養子に入った。
つまり、双子の片割れは爵位持ちのご令嬢なのである。
「これは、急いで返信しなければならないわよね」
ー親愛なるエリィへ