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愉快な仲間達の勉強会

今回は世界の説明です。



















「ただいま、母さん。」


「おかえりなさい、カクショウ。」



家に帰って来た私は今日もこの世界の母とこの挨拶を交わす。


母はとても温厚で、悩みも良く聞いてくれるいい人だ。


属性は水と光。とはいえ、一般人はせいぜい中級魔法までしか覚えないようで、あくまで護身の為だとか。


しかし何故護身の術が一般人にも必要になるのか、それはこの世界とこの国の情勢との所為だ。


これは後で説明するとしよう。



「今日は友達が勉強会をする為に来るから一緒に出迎えの準備をしてくれないか?」


「いいわよ。それじゃあ私はお茶を入れてくるからカクショウはお菓子をお願いね。カクショウだから大丈夫だと思うけどお菓子を出しすぎないようにね。」


「分かった。」



この世界ではつくづく驚かされるばかりだ。私の世界では菓子や茶は高級品で、庶民は手が出なかった。


ところがここは食糧に恵まれていて、一般人でも簡単に手に入る程安いのだ。


私も出世して初めて茶というものを味わったが、とてもよいものだった。


私は菓子を大きな机に置いて、母も茶をその傍に置いた。



「これでいいわね。」


「うむ、後は待つだけ…」



カンカン 「すみませーん!」



「ん?もう来たのか。」


「あら、そうみたいね。」



俺は玄関に向かって、ドアを開ける。


すると3人が揃って目の前にいた。



「よーす!」


「ちょっと早かったかもしれないけど大丈夫?」


「準備出来て無いなら出直すけど?」


「いや、今出来た所だ。上がっていってくれ。」


「おっ邪魔しまーす!」


「ダン落ち着きなさいよ。カクショウの親に失礼でしょ。」


「あはは…。」


「子供は元気があっていいわねぇ。うふふ。」



母は微笑む。私も元の世界のあの頃を思い出すと何だか顔が緩くなっていくような気がした。


若かった…まあ私もこの世界ではまだ10歳の少年なのだが。精神と知識が死んだ時と同じなだけで。


そのうち月日が経てば私もただの一般人になるだろう。私は今は亡き主君とは違って全ての才に恵まれている訳ではないのだから。


………私は………



「カクショウ?」



母の心配そうな声を不意に聞いてはっとした私は現実に戻される。



「あ、母さん。どうかしたか?」


「何か思いつめていたようだけど…大丈夫?」


「大丈夫、少し考え事をしていただけだ。」


「そう…。」


「それでは私達は勉強会をするから、母さんは時間になったら伝えてくれ。」


「分かったわ。頑張りなさい。」



そうして母はリビングの方へ向かった。


私はダン達を自分の部屋へ案内する事にした。



















「………相変わらずだよな、お前の部屋。」



ダンが私の部屋を見るなり呆れながらそう言う。


私の部屋は本棚が3つあるが、そのどれにも大量の本が敷き詰められるように並べられている。


机にも読みかけの戦術書や魔術書が何冊か置かれている。16歳で習う物だけあって中々難しく、理解はまだ出来ていない。戦術はともかく魔法については10歳~15歳程度の知識までしかないので使えるように習得するにはもう少しかかりそうだ。


戦術には自信があったがやはり魔法が絡んでくると話は違う。魔術書程ではないが戦術書もいつになれば理解できるようになるだろうか…。


話…というか意識がそれてしまったが片づけはしっかりとしている。


読んだ本はしっかり本棚に戻しているし、それ以外にある物など訓練用の木刀と竹槍くらいだ。


掃除も三日に一回はしている。お陰で部屋は綺麗だ。こうしてみるといい仕事をしたと満足感が溢れるようだ。



「でも凄い綺麗だよ~。」


「そうね。ダンの部屋とは天と地の差があるわ…。」


「うるせー!片づけんのめんどくさいんだよ!」



そう褒めてもらえるのは悪い気はしない。ダンは逆に絶望に打ちしがれているようだが。



「それより、教科書やノート、文房具は忘れてないだろうな?」


「わ、忘れてねえよ!何で皆俺の方を見てるんだよ!?」


「一番忘れそうだから。これ以上の理由は無いでしょ?」


「うん…。」


「だな。」


「ちくしょー!!今回はちゃんと持って来てる!だからそんな目で見るなー!!」



ダン、哀れ。だがお前が悪い。



「よし、では全員でわからなさそうな所を言い合っていこう。私はそうだな…文学が苦手だな。誰か文学で得意な者は教えてほしい。」


「はーいカクショウ君!それなら私が教えてあげるよ!まああまり役に立たないかもしれないけど…。」



リーセがどうやら教えてくれるらしい。この世界の文学はまだまだ分からない所もあるのでありがたい事だ。



「そんな事は無い。むしろありがたいくらいだ。」


「そうかな?なら一生懸命教えるね!」


「ああ、頼む。」


「それじゃあ私はそうだね…算数苦手だから代わりにカクショウ君教えてくれる?」


「いいぞ。礼は返さなくてはな。」


「で?ダン。あんたは?」


「…てぺぺろ☆全部。」


(イラッ)「ふんっ!」


「ぐはぁ!」















そんなこんなで勉強をお互いに教え合っていたのだが他の三人に共通した悩みがあった。



「…うーん、地理なんてよく分かんないよ…。」



そう、地理だ。本来なら他の国ではまだ習わず、12歳頃で習う地理を、この国では10歳から習わせているのだ。


その為に始めたばかりの地理で皆苦戦しているようだ。


だが私は仮にも兵を率いる将軍だった男だ。地形などは良く調べた。地形によっては戦にも影響する事がある。あの城塞で敵を防ぎ続けられたのもその成果だ。


その為、地理の勉強はそれなりにしている。


そこで俺から皆に教える事にした。



「ではそうだな…。この大陸には五つの国があるがまずは俺達の国、ベルについて説明しよう。深い内容はやらないから軽く簡単に説明しよう。」




「おう!」


「よろしくね!」


「ふん、教えてあげられるわ」




「では説明しよう。ここ、ベルは約100年前に建国された国なのはお前達も知っているだろう。」


「ええ、五つの国の中でも最も新しい国みたいね。」


「そうだ。ベルは隣の両国、ゼルとエンディミオンの狭間にある国だ。その両国の内乱に付けこむ、と言ったら言い方は悪いが内乱の最中を利用して、前国王が反乱軍を指揮し独立したのがこのベルだ。」


「ふーん。」


「…ちゃんと聞いておけよ。えーと、そしてこの反乱の事を『弾圧の解放』と言う。」


「あれ、何で『弾圧の解放』って言うんだっけ?」


「ゼルは騎士、エンディミオンは魔法使い主義国でな。両国はそれぞれ騎士、魔法使いを弾圧したんだ。だがそれをよしとしない者達、つまりは後の反乱軍だな。それが騎士、魔法使い両方を尊重する事を掲げ、反旗を翻したんだ。そしてこの国、ベルが生まれた訳だ。この事を契機に両国は弾圧を止めた。だが、当然今だこの国は両国と敵対されている。」


「うんうん、なるほど…」


「ベルはまだ新しい国だ。その為色々と不足気味で不安定な国でもある。…まあそんな所だ。他の国だとゼル、エンディミオンはもう説明したからいいとして他にはこの大陸でも最東の方角にあるヒノ国は独特の文化があるという。ブシやミコという騎士と魔法使いにあたる職業などという感じにな。そしてリィン国。リィンは平和主義国を掲げているが…ゼル、エンディミオン、ヒノに攻められている。」


「えーと、リィンがこうと…。」


「ノートに書いたか?まあ少し早すぎたかもしれないからもう一度聞きたい所があるなら言ってくれ。」


「えーとそれじゃ…」


















そして夕方…



「皆ーもう夕方よー!」



下から母の声が聞こえてきた。どうやらもう時間らしい。



「あ、もう夕日が見えるね。」


「ホントだ。んじゃもう帰るか。」


「そうね、カクショウ今日はありがとね。」


「いや、私もこれで良く復習出来た。またいつかやるとしよう。」


「そうだね。それじゃあまた明日!」













こうして勉強会は終わった。


私はこの日常を楽しんでいた。


それと同時に、もっと精進して皆を守らねばと、さらに強く思うようになった。


この日常を守るために…。















カクショウさんマジ努力の天才。


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