新たな生、新たな生活
オリジナル小説を書く難しさを知った今日。
成長出来るといいなぁ…。
私はカクショウ。
今の年は10歳と言ったところだ。
私はかつて、蜀軍を相手に城塞を守る城主だったがあえなく病気で死に、おそらくは城塞も陥落させられた情けない将だ。
そんな私だったが訳のわからないまま、この私の世界とは違った世界に生まれ、幼子として育てられた。
まったく意味が分からないと思うが事実そうなのだ。
しかも最初から私は自我と記憶を持っていたために、幼子が必ず体験するような羞恥心極まるような事を新たな記憶に植えつけられてしまった。
口はまだ呂律が回らない為、喋れず、意志表示は泣くか喜ぶかしか出来ない。
何ともまあ、これほど恐ろしいものは無かった…。
しかし因果なものだ。まさか名前が前世と同じカクショウとは…。これも天が定めた運命なのかもしれん。
5歳頃になると当時の自我も知識も持っていた私は天才児や神童としてもてはやされるようになった。
字は私の国とは違った為に、少しばかり苦労したが…。
その事に奮闘する幼くも勉学に励む私にこの世界の親は喜んで助けてくれた。書物を買ったり、家庭教師とやらを呼んで勉強を習わせてくれたりと。そこまで裕福でも無いというのに…とても感謝している。
そして私は学校という塾のような所に行っている。自分で言うのも何だが、有名な私に声をかけてくれる者がいるか心配であったがそれは杞憂に終わった。
「おーい、カクショウ。どうだ調子は?」
「ああ、ダンか。まあまあと言った所だな。」
ダン。それなりに容姿も良いのだがお調子者で、周囲には「残念なイケメン」と呼ばれている。
最初はイケメンという言葉の意味が分からなかったがどうやらかっこいい、という意味のようだ。
「そっか。なあなあ、今日の宿題忘れてきちまったんだが…。」
「自業自得だ。自分で何とかしろ。休み時間は全て合わせて30分あるだろう?」
「ケチー。」
何処が残念かと言えばこれがそうだ。かなり頭が悪い。
とはいえ運動では中々の成績をあげているから将来は兵士か、僧兵にでもなるんだろう。騎士は少々厳しいが。
「あ、カクショウ君、ダン君おはよー。」
「リーセか。おはよう。」
「おっす、リーセ!」
リーセ。この女の子は容姿端麗、それなりの成績もあるという学校のアイドルとやららしい。
性格も純粋で相当の人気者のようだ。
「なあなあ、お前のしゅk…。」
「………。」
「わ、分かったよ…自分でやるよ…。」
「???」
ダンよ…運動の熱情を勉学に出せば少しは成績は上がるだろうに…。
さらに向こう側から歩いて来る女の子がいる。
「あんた達よくそんな事繰り返しやってるわね。パターン化してない?」
「げっ…アルネかよ…。」
「何よダン。その嫌そうな顔は。」
アルネ。やや傲慢な所があり、素直じゃないが仲間を気にかけている所が多く見かける事からなんだかんだできっと仲間思いなのだろう。
やや運動派だが勉強もそれなりにはしているみたいだ。ちなみに彼女の得意技は足技。彼女に悪戯しようとしてダンが蹴られて壁にめり込んだという事件もあった程だ。
それ以降トラウマとやらになったのか、ダンはアルネに悪戯しようとはしなくなった。
「ふん。まあいいわ。それよりカクショウ、あれで分からなくなった所があるから教えてほしいんだけど…。」
「その話は学校に入ってからにしよう。立ち話も足がつかれるだろうしな。」
「それもそうね。それじゃ私は先に行くわ。」
そう言うとアルネはあっという間に走りかけ抜けてしまった。
「相変わらず足はえー奴だ。」
そう呆れたようなようにするダン。だがお前が言える事ではない。ここ最近だけで4回も宿題忘れるお前の方にもっと呆れを感じる。
「私達も行こ?このままここにいても仕方ないよ。」
「そだなー。んじゃさっさと行こうぜ。」
「ああ。」
キーンコーンカーンコーンー
「ふぁぁ…授業やっと終わったぜ…。」
「お前は寝てばかりではなかったか?」
「う、うるせぃ!」
「あははは…。」
「やれやれね…。」
こうして今日も授業は何事も無く済んだ。
そして放課後になる。
リーセが私の席の前に立ち、聞いてくる。
「ねえ、カクショウ君の今日の魔法授業の宿題って魔法「マジックシュート」を完璧に使えるようにする事だよね?」
「そうだな。」
そういえばこの世界で驚いた事と言えば魔法。私の世界では幻術、妖術に当たる不可思議な力を殆どの人が使えるという事だ。
そしてそれぞれ人には属性があり、不得意なものと得意なものに分かれていくのだという。
属性は火、水、雷、土、風、闇、光、
これらの7種類だ。
これの内、私は水と土が得意だ。
不得意なのは風と闇だ。
こういう風に普通、人は得意不得意は二つずつ決められているのだという。例外はあるらしいが…。
得意の属性魔法を食らっても、自分の魔力と混ざり、そのまま吸収してダメージが少なくなる。また、得意の魔法攻撃の威力も上がるらしい。魔力の消費も少ない。
不得意の魔法攻撃をぶつけられると自分の魔力と反発作用を起こし、肉体に大きなダメージが加わる。また、不得意な属性の魔法は使う事は出来ない。
どちらでもない魔法は普通に使う事は可能らしいがよほどの状況でもなければ威力が上がり、魔力の消費の少ない得意の魔法を使った方がいいらしい。
そしてここからが本番だ。属性にはそれぞれ傾向が違ってくる。
火は攻撃系、強化系が豊富だが、支援や守りなどの他の行動に向いていない魔法が多い。ただ、数は少ないが回復魔法を習得出来るようだ。とは言っても覚える頃には熟練の魔法使いになっているらしいが。
主に剣士志望など武闘系の者がこの属性である事が多いらしい。その為、純粋な魔法使いが少ないようだ。
水は支援系、回復系などが豊富だが攻撃系の魔法の威力が乏しいらしい。その手の魔法は色々揃っていて、グループで組む時はこの属性を持つ人が欠かせないという。威力の高い魔法攻撃は熟練の魔法使いで無ければ使えない為、多く入れ過ぎると火力に苦しむようだが。主に気弱な性格か、温和な性格な者が多い為、純粋な魔法使いはそれなりだという。私の属性でもある。
雷は攻撃系特化。火力で属性中随一と言われる。だがその代わりそれ以外の魔法が殆どないらしく、支援は必ず必要なようだ。消費も高めなのが少し厳しいか。激情な性格や思いこみが激しい人物性格が多いらしいが、どれも癖者だとか。
土は攻撃系と支援系が多い。支援では守りを固める魔法が多くて、攻撃では消費が高めの強力な魔法が多いらしい。また、特殊な魔法だがエネルギードレインという魔法があるらしく、土の中に含まれる栄養を自分の治癒能力に当てるようだ。攻撃魔法はどれも範囲が大きい魔法ばかりで、周りに味方がいた場合、巻き込んでしまう危険性があるようだ。支援なら細かい物を作り出せたりと用途が多い。大人しい人や、冷静、暗い者がこの属性には多いらしい。まあ私の属性でもあるわけだが。
風は魔法の系列としては土と同じだか内容が違う。攻撃ではとにかく速い魔法や細かく、消費の少ない魔法。支援では対象者の速さを上げたりする魔法が多いようだ。テクニカルな魔法が多いという事と考えていい。逆に威力の大きい魔法は魔法の熟練者でも無ければ覚えるのは難しいようだ。この属性に多い者はおおざっぱな者やのろりくらりとした放浪者気質な者が多いらしい。
闇は特に扱いが難しい。主に妨害系の魔法や攻撃系の魔法が多い。闇で自分を隠したり、敵を混乱させるなど戦闘系列での使い方が多い。これの属性になる者は悪人が多く、その為にまだ解明されていない魔法もあるのだとか。この属性になりやすい者は雷と大体同じらしいのだが…ベクトルが違うのかもしれない。
光は万能型だ。攻撃、回復、支援何でも、と言った所か。ただ、妨害系はそこまで習得せず、威力も大体中途半端なようだが。この属性になる者は不得意な属性に闇が付いている場合が多いようだ。その逆も然り。光の属性になる者は純粋、清廉、無邪気、信者の者が多いようだ。
そしてこれらのどれにも属さない属性が『無』。
誰でも使える魔法で、得意とする者も不得意とする者もいない。しかし回復魔法が無い。だが極めると凄まじい威力を誇る魔法を使えるとか。威力に乏しい水、光、風の属性の者がこの魔法を覚える事は珍しく無いようだ。それとマジックシュートもこの無の属性にあたる。
「あの魔法ってカクショウ君はもう使えちゃったり?」
「何故そう思う?」
「だってカクショウ君もう初級の魔法全て使えるんでしょ?マジックシュートも初級魔法だし。」
「え、マジで?」
「嘘…。」
ダン達が唖然とするが嘘ではない。その通りだ。あれから勉学を必死に学んだ俺は魔法の練習も欠かせなかった。その為、15歳までで覚える魔法のほぼ全てをすでに覚えきってしまったのだ。
「さすがは神童って言われたカクショウね。どうやってそんなに覚えたのかしら?」
「独学だ。努力だけで身に付けた。」
「それだけで身に付くような事じゃないと思うけど…。」
「大体お前騎士志望の癖に魔法とか色々覚えすぎだぜ…騎士は魔法なんて抵抗魔法さえ覚えていればいいし、後は身体能力が良ければ入れるのに…。」
正確に言うと少し違う。
騎士になる為には『剣術』『槍術』『弓術』『魔法』『礼儀作法』などの成績が良く、なおかつ実技試験で優秀な成績を取れれば騎士になれるのだ。
騎士の役割は敵の攻撃や魔法を防ぎ、敵を蹴散らす事だ。その為、魔法は『抵抗魔法』というものが必須と言われている。
『抵抗魔法』とは別名レジストマジックとも呼ぶが、敵の魔法攻撃を軽減してくれる魔法だ。無の魔法だから全ての者が習得可能だ。
兵士とは何が違うのか?それは役割だ。
騎士は主に他の者を敵の攻撃から守る事を役割とするが、兵士は主に攻撃を役割とする。
つまり騎士は守り。兵士は攻撃。
ちなみに兵士になる為には魔法の技能は要らず、身体能力がそれなりにあれば大体の者がなる事が可能だ。
この為、兵士へ就職する者は多い。給料は少ないようだが。
「色々身につけていたほうが将来いいだろう?」
「はぁ~…お前が羨ましいよ…。」
「ならカクショウ君に勉強教えてもらえば?私も魔法教わりたいし。」
「そうね。他にも分からない所あったし丁度いいわね。勉強会を開かない?」
アルネがそう提案する。確かに色々復習出来ていいかもしれないな。
「そうだな。何処でする?」
「カクショウの家でいいんじゃね?あそこなら勉強道具色々あるし。」
「構わんが…あまり漁るなよ。」
「はーい。」
世界観などについては次回辺りに。
感想などお待ちしておりますー。