新しき始まりのプロローグ
ちなみに主人公のカクショウですがこの小説ではわざと漢字ではなくカタカナにしております。ご了承ください。
・・・今、ここにもうじき命を落とす者がいた。
「くっ…まさか私が病に侵されている隙を突くとは…ゲホッゲホッ。」
「しょ、将軍!どうかご安静に!」
彼の名はカクショウ。
後の世に守護神と讃えられる三國志でも名うての忠誠心と防衛戦の名人だった。
かの諸葛亮孔明ですら彼の守る城塞を落としきる事は出来なかった。
そう、彼が健康な内は…。
彼は今、病に犯されていた。刻一刻と、その命を削っていく。
しかしそれでもカクショウは蜀軍に動きがあるという報告を聞くと部下の制止も聞かず自ら防衛の準備を進めた。
その報告が罠だとも知らずに。
結果、その日までに守備を完璧にしておけばよいと判断したカクショウはそれより早く攻めてきた蜀軍の別働隊により、生半可な守りを余儀なくされ、城塞は陥落寸前まで追い込まれたのだつた。
さらに当のカクショウが病気で防衛に出る事を止められていたのもあった。
「我々が何とかしてでも止めます!将軍はここでお待ちください!」
カクショウを止めていた兵がカクショウの寝室から出て、防衛に武器を持って出た。
だが城塞はすでに多くの敵兵に入りこまれていた。
この事を外の騒音や騒ぎで悟ったカクショウは歯ぎしりをして
(やられた)
と悔しいながら見事と感嘆の思いだった。
もはやこの城塞はもたないだろう。
ならば、一矢報いるまでと近くの机に置いてあった剣を握ろうとして――――床に崩れ落ちた。
「ぐっ…!」
体が思うように動かない。敵はすぐそこまで迫っていると言うに…剣すら取れない。
これでは申し訳が立たない。せめて…せめて、剣だけでも…
這い寄りながら手を伸ばす…もう少し………もう少し………!
「がはっ!」
血を吐いた。もう体に力が入らない。もう…這い寄る事すら出来なくなった。
体を仰向けにする。そこにはただの天井しかない。
(ああ…天すら見えない…か…)
そして…空をつかむようにして…手を上に伸ばして――――――
バタッ
―――――――落ちた。
その数日後…カクショウを城塞の守りに推薦した司馬懿の元に「城塞陥落、カクショウ病死」という悲報が届けられた…。
しかし、これはプロローグ。彼の新しい物語が…今、始まろうとしていた…。
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それが私の頑張りにも繋がります。
これからの展開をお楽しみに!