未来展望もしくは目標
「先生、何か効率的な方法知りませんか?」
毎度のことながら、朝食の時間に合わせて先生に相談してみる。
しかし本日の朝食は今までとは決定的に違っている。今まで一度も並んだことのない、幾つかの料理が新たに初お目見えしてテーブルの一員となっている。
買出しによって手に入れた野菜は、とりあえず少しずつ刻んで順番に味見してみた。購入時にラリズによって、生で食べても問題のないものばかりをちゃんと選んで揃えてもらっているので、私は腹を壊す心配をしないで安心して味見が出来る。
味と見た目で結びつかない野菜がほとんどだけど、中には野菜のはずなのにとてもありえないような妙な癖があるものも意外にあった。
味と見た目でまったく違っているものは、味優先選んで調理してみる。出来るだけあちらの味に近いものを作りたかったので、多少彩りが違っていてかなり派手になっていても、味は大丈夫。いけるいける。
パンは例の保存食もどきがあるので新たに調達はしていない。かなり硬いし、風味もいまいちなのだが、私は食べ物を捨てるのは嫌いなので食べる。これからは、これを美味しく食べる方法を見つけていきたい。
「上の階にあるものは好きにしろ。何を使っても良いし、壊しても良い」
二階から上にあるものは何でもくれると先生は言う。ただし二階に置いてあるものは、私には使い方が分からないものばかりだ。
私は掃除をした時から気になっていた、上の階にあった物を思い出した。
「それはさすがに申し訳無いです。私のお借りしている部屋にもいろいろありましたが、貴重品らしきものもたくさんありましたよ」
「必要無い物だ。あるだけ邪魔になるから上げさせた」
あれだけの量をいったい誰がしたんだろう。
しかし捨てるではなく、とりあえず保管ということは、何かに使うつもりだったのではないだろうか。本当に良いのだろうかとは思いながらも、不機嫌になられても嫌なので聞き返したりはしないことにする。
「魔石があったはずだ。魔力を込められる」
魔石って言うくらいだから石だろう。そういえば、一杯に石が詰められている部屋があった。何に使うのかと思ったがあれが魔石だったのだろうか。
これはその魔石に魔力を込めるのが、効率的な勉強方法なのだろうか。
「ありがとうございます。魔力ってどうやって込めるんですか」
「腕輪と同じだ。常に持ち歩け」
なるほど。ならば私は邪魔になりそうだけど、今日から常にあれを持ち歩こう。石そのもに見えるものもあったけど、持ち歩くのならばあれも腕輪と同じように軽い存在だと嬉しい。
多少減っていたとしても分からないほど数があるので、多少失敗しても許されそうな気がする。
一人静かに決心していると、先生が話を続けた。
「魔力を込めた魔石があれば魔道具が作れる」
分かりました、先生。そこでやっと魔道具に繋がるんですね。そして魔道具を作るのを目標にするんですね。そういえば先生に貰った腕輪、あれを魔道具にしろって言ってたな。
「ありがとうございます」
お礼を言って食器を片付ける。