光の裏
大会次の日。練習。結構早めに体育館に行く。ダムダムとボールを叩く音がする。
「あっ。」
亜芽だ。昨日の大会でかなり活躍し、石川亜芽の名を地区大会に響かせている、あの亜芽。彼女は自分に気づく事なく、ボールを打った。
ボールは生き物のように浮き、ゴールに吸い込まれていく。
かばんを置き、ボールを手に取り、準備運動もせずに無意識とシュートを放った。
ボールは後ろの板にぶつかり、外れる。その音で、亜芽が気づいた。
「詩緒璃。」
「亜芽……。こんな早くから来てたんだね。すごく強いなのに。なんで?」
「だって、私まだまだ下手だし……。スラムダンク好きだし。あんな感じになりたいの。」
「スラムダンクかぁ。」
「ちょーかっこいいし、ちょーイケメンじゃん。知ってる?」
「知ってるよ。」まあ、名前くらいは。」
スラムダンクは結構有名なマンガだ。ここで詳しく書くのもなんだから、やめるけどさ。
「ねぇ、詩緒璃。詩緒璃はやっぱりこの大会でベンチ入りしたかった?」
突然、亜芽が聞いた。
「そりゃ、したかったけどさぁ。こうやって、応援席で、活躍する亜芽を見るのも楽しかったよ。」
「そう?でもね、詩緒璃は上手になったから、私次の大会|《県大会》で出れそうだよ。」
「そうかな?」
ボールを放った。ボールが宙を舞い、ゴールに入った。その時、体育館に顧問が入ってくる。
「頑張れ、名田。」
顧問が笑った。
光の裏の少女は、もうすぐ表に出てくる……かも。
やっとやっと完結。そして、夏休みも終わる。