試合
試合が始まった。詳しくは書ききれないので、ある一部分を紹介しよう……。(ごめんね、By作者)
地区大会初戦。当たった其処中学校は新しく出来た中学校。どんな対戦相手か全くわからない。
対戦相手は、背が高い人だ。かなり強そう。レギュラーは石島(4)・野崎(3)・林(6)・三島(5)・長谷川(1)。私たちを睨みつけている。怖い。
レギュラーは、この前と同じ塩谷(4)・斉藤(2)・西嶋(1)・鈴木(5)・石川(9)である。私は応援席で応援する係。応援席に陣取る。
応援席の喝采、其処コールがすごい。其処中学校は、部活動に力を入れているようだ。
試合が始まった。最初に相手チーム3番野崎にボールがわたる。3番をマークしていた味方1番(鈴木)がボールを奪おうとしたが無理だ。ボールは6番(林)、5番(三島)とわたり、少しドリブル。と、そこに味方5番(鈴木)が飛び込んできた。ボールを奪い、近くの9番(石川)に渡す。
9番がだんだんとドリブルを打ちながらシュートへ向かっていく。すぐさま石島(4)がボールを奪おうと手をかけてきた。ひょいひょいと手を避けながら、シュートへ。
「G!O!F!O!アァァール!I!T!Go!For!it!頑張れ亜芽!」
手拍子を叩きながら応援。
「亜芽なら出来るよー!シュート!」
ボールが宙を舞った。だが、流れをさえぎって1番(長谷川)がキャッチ。相手チームに投げたが、もう一度亜芽(9番)がキャッチして、もう一度シュート。
私にはスローモーションで見えた。
波のように、いや、美しく飛ぶ鳥が降りていくようにボールは落ちていった。まるで、生きているよう。
ゴールに入った。きゃーっと叫び声が聞こえ、応援席に笑顔が生まれる。先制点ゲット、と。
それからの自分たちは最強だった。ボールはシュートに入るのが運命なのか?と思うほど。敵のボールを奪い、シュートを放つ。外れても、ゴール下の戦争に負けても、シュートさせる前にボールを奪い返し、とにかく投げている。すごい。強い。
1クォーターは余裕で勝利した。インターバルタイムに、生徒達は水を飲みだす。隣の子達の声を聞く。
「ってか亜芽すごいよね。あんなすごい人、ネットしか見たことない。」
「シュート超華麗に決めてさ。かっこいいー。」
「だよねだよね。正直、眞子より目立ってたし。これからは眞子の時代じゃなくて、亜芽の時代なのかも。」
「眞子も上手だけど、亜芽は神だって。」
「そうそう!」
その子たちは行ってしまった。
私も、応援席に走る。
其処中との試合に完全勝利した私たちは、初戦敗退の伝統を打ち破った。おまけに地区大会では優勝。県大会出場決定!
今までこんなのなかった(へったくそだったし……)から先生も上機嫌。すっごく嬉しそう。
部員全員でハイタッチをして、その日は終わる。明日も練習だ。