試合1週間前
用語説明・・・
女バスとは、女子バスケットボールの事。
男バスとは、男子バスケットボールの事。
もしかして……うちの学校だけでしょうか?
とにかく、これを踏まえてお読みくださると嬉しいです。
夏休みになった。学校はないけど、部活はある。
女バスは主に午後から練習しているので(男バスは午前中の涼しい間。すっごく羨ましい!!)私もご飯を食べてから向かう。
ときどき亜芽に誘われて図書館にいって勉強しに行ったり、初めてカラオケにも行ったりした。ある日なんかは、午前中も市の体育館でバスケ練習して、午後部に行ったりして倒れちゃった事があった。貧血だったらしい。
夏休みも終わりに近づいた頃には、私たちの仲は強固なものになっていた。私の中では彼女は親友の地位を獲得している。おまけに亜芽は私たちの部から初戦敗退の伝統を打ち破ってくれそうだ。最近では先生からも、「すごいらしいね。頑張って。」と言われるようになっている。その度に天狗になる自分。
やがて学校も始まる……。
月日はさらに過ぎていく。
大会1週間前。この前亜芽が来た時と、夏休みの1回のみしか来なかった、もはや空気と化している鈴木コーチが来た。それから、顧問も来た。顧問はよく来てくれている。
「集合!」
全員が集まる。
「もうすぐ大会だ。この夏、急に上達した子、逆にサボってしまった子、差がついた。今まで補欠だった子とレギュラーだった子を変える。」と、顧問。
皆がしーんとなった。補欠に笑みがこぼれ、レギュラーは落とされそうな不安に下を見る。
「では、レギュラーを発表する。塩谷。」
「はい。」
嬉しそうに高い声をあげる塩谷眞子。その明るい笑みには一瞬の迷いもない。今までもよく大会に出てきていたからだ。この部のエース。流石。
「斉藤。」
「はいっ!」
「西嶋。」
「はい!」
「鈴木。」
「はい!」
「石川。」
!!??
「石川亜芽。」
「は、はい!」
「山田と変わって石川を入れることになった。石川、頑張ってくれ。」
「はっ、はい!」
「山田……。今までレギュラーとして頑張ってきたのだろう。すまない。」
「……。」
「今、石川と変わったけど、これからも頑張ってほしい。石川と変わるチャンスはまだある。頑張ってくれ。」
「……はい。」
山田 海華が静かに答えた。
「これからレギュラーが変わる事があるとは思う。全員、頑張れ。」
「はい。」
部員が大きな声で言った。
結局、私は補欠入りしなかったけど、他の同級生が浜崎と変わった。何だかいい気味。それに、亜芽がレギュラーに入った。嬉しい。
これからの大会、勝てる気がする。
きっと。