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アンチジャスティス -魔王戦隊ダークトリニティ-  作者: DD22


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第3部 第17話『悪の矜持、正義の残骸(前編)』

【前回のあらすじ】

ボロボロになりながらもカイと対峙し続けたライガは、変身を解かれてもなお、カイの孤独を指摘し続けた。絶体絶命のその時、グリムたち魔王戦隊に加え、レクス、セイジ、アシュレイが駆けつける。それぞれの言葉でカイの間違いを訴え、ついにカイは初めて「恐れ」の感情を抱いた。

※本作品の執筆にはAIを活用しています。


 空間が爆ぜた瞬間——グリムはすでに動いていた。


 黒曜石の重装甲から赤い蒸気を噴き出しながら、地を蹴る。


「《紅蓮爆脚グレン・バースト・キック》!!」


 足裏からマグマが爆発的に噴射し、砲弾のような勢いで飛び込む。


 カイは動じない。


 光の翼を僅かに傾け——重力のベクトルをグリムの軌道上に発生させた。


「《重力崩壊グラビティ・コラプス》」


 空間が歪む。グリムの突進が、見えない壁に叩きつけられたように減速した。


「ッ——なんや、重い……!」


「君の動きは読んでいる」


 カイの声は冷静だった。


 グリムはそれを感じながら、強引に重力を突き破った。


「うおおおおッ!!」


 渾身の右拳が、カイへ向かって伸びる。


 カイは腕を交差させた。


「《反転障壁リバース・シールド》」


 ドォォォンッ!!


 グリムの拳の力が、そのままグリムへ返ってくる。


「がッ……!!」


 弾き飛ばされたグリムを、ネビュロスが氷の足場を生成して受け止めた。


「無茶をするな」


「うるさいわ! 硬いんじゃあいつ!」


「分かっている。だから私が——」


 ネビュロスが魔導書を開いた。


「《氷結界・金剛塵ダイヤモンド・ダスト・プリズン》!!」


 微細な氷の粒子がカイの全身を包む霧となって広がる。視界を奪い、センサーを乱反射で飽和させる。


 カイの動きが——一瞬、止まった。


「今や、ヴェルミリオン!」


「言われなくてもね!」


 上空から、紫の翅を広げたヴェルミリオンが急降下する。


「《悪夢の劇場ナイトメア・シアター》——!」


 金剛塵の霧に幻影が混じる。どこにヴェルミリオンがいるか、どこが実体か——センサーを飽和させた上に幻術が重なり、カイの認識が乱れる。


「……ッ」


 カイの動きが、鈍った。


 グリムはその隙を逃さなかった。


「もろたァッ!!」


 《紅蓮拳グレン・インパクト》——溶岩を噴出させた拳が、カイの胸板へ向かって一直線に迫る。


 ドガァッ!!


 確かな手応えがあった。


 カイが——後退した。


「ぐ……ッ!」


 プラチナシルバーの装甲に、赤黒い亀裂が走る。


 グリムは追撃の構えを取った。


 だが——カイは倒れなかった。


 光の翼を大きく広げ、空中へ舞い上がる。


「……やるな」


 カイの声は、まだ冷静だった。


 しかし——その装甲の亀裂から、何かが滲んでいた。


「三人がかりで、ここまで追い込むか」


「当たり前やろ。お前一人に三人でかかって何が悪い」


 グリムは拳のバンテージを締め直した。


「正義の味方やないんやから、俺らは」


 カイは——少しの間、黙っていた。


 ユナイトレッドのバイザーの奥の瞳が、かすかに揺れた。


「……そうだな」


 それだけ言って、カイは動いた。


「《光翼斬フォトン・スライサー》!!」


 光の翼から粒子が一斉に散布され、その中心をカイが光の剣を構えて突き抜ける。


 光の嵐が三人を全方位から包んだ。


「ッ——!!」


 グリムが黒曜石の防御層を展開する。


「《黒曜鎧オブシディアン・ガード》!!」


 ネビュロスが氷壁を張る。


「《絶対結界アブソリュート・ウォール》!!」


 ヴェルミリオンが分身で光を散らす。


「《道化のミラージュ・ワルツ》!!」


 三人がそれぞれの防御で散らばりながら、光の嵐を凌いだ。


 だが——削られていた。


 グリムの黒曜石装甲に焼け焦げた線が走る。ネビュロスの氷壁が薄くなっている。ヴェルミリオンの分身の数が減っていた。


 ネビュロスが静かに分析した。


「タワーを掌握したことで、重力制御の精度が上がっている。この空間全体が——奴の庭だ」


「じゃあどうする」


「奴の注意を分散させ続けるしかない。三方向から同時に攻め、どれか一つでも抜けば——」


「分かっとる。やってみせる」


 三人の動きが、変わった。


 連携を捨てた。


 グリムが叫びながら正面突破を試み、ネビュロスが空間全体を氷で覆い、ヴェルミリオンが無数の分身を展開して最上層を混沌に変えた。


 カイの動きが——乱れた。


「今だ、グリム!!」


「おおおおッ!!」


 グリムが全魔力を右拳に集中させた。


 黒曜石の装甲が内側から溶け、溶岩が拳を包む。


 《紅蓮拳グレン・インパクト》——渾身の、全てを込めた一撃。


 カイは《反転障壁リバース・シールド》を展開しようとした。


 だが——遅かった。


 ドォォォォォンッ!!!


 グリムの拳が、カイの装甲を直撃した。


 プラチナシルバーの装甲が大きく陥没し、カイの身体が吹き飛ぶ。


 壁面に激突し、床に落ちた。


 沈黙。


 グリムは荒い息を吐きながら、拳を下ろした。


「……終わりか?」


 ネビュロスが警戒を緩めない。


「まだだ。油断するな」


 ヴェルミリオンも、分身を解かずに構えたままだ。


 床に倒れたカイは——ゆっくりと、起き上がった。


 装甲は大きく損傷している。光の翼の片方が、機能を失って垂れ下がっていた。


 カイは、自分の手を見た。


 震えていた。


「……ここまで、追い込まれるとは」


 その声は——静かだった。


 怒りでも悲しみでもない。


 ただ——認識していた。


 自分が、負けつつあることを。


 カイは、ゆっくりと立ち上がった。


 そして——最上層の端に視線を向けた。


 そこに——壱号機シグマ・ワンが立っていた。


 タワーへ撤退させた時から、ずっとそこにいた。グリムに装甲をひしゃげさせられながらも、機械形態を保ったまま。


 カイがこの事態を想定して、手元に置き続けていたものだ。


 カイの瞳が、冷たく細くなった。


「……仕方ない」


「何が仕方ないんや」


「君たちを甘く見ていた。……その代償だ」


 カイは壱号機シグマ・ワンへ歩み寄った。


 ネビュロスが一歩踏み出す。


「待て——何をする気だ」


「計画を完遂するための、最終手段だ」


 カイは壱号機シグマ・ワンの前に立ち、静かに命令を下した。


壱号機シグマ・ワン——同化モード、起動」


『……命令を確認。対象:U-00。……同化プロセス、開始』


 壱号機シグマ・ワンの胸部装甲が、生々しい音を立てて左右に展開した。


 どす黒い粘液状の液体金属が、カイへ向かって伸びていく。


「まさか——」


 ネビュロスの目が、鋭くなった。


「自分自身に——取り込ませるつもりか」


「そうだ」


 カイは迷わなかった。


「待てカイ!!」


 グリムが駆け出した。


 カイは振り返らずに言った。


「……元々これは、ライガを取り込むために設計したシステムだ」


 その声に——かすかな、皮肉が混じった。


「まさか自分自身に使う日が来るとは、思っていなかったがな」


 黒い液体金属が、カイの全身を這い上がり始めた。


「カイ、やめろ!!」


 グリムが叫んだ。


 だが——遅かった。


 壱号機シグマ・ワンとカイが融合していく。プラチナシルバーの装甲が黒く侵食され、変形していく。肩の装甲が壱号機シグマ・ワンの重厚な形状へと肥大化し、光の翼が黒い有機的な翼へと変貌する。


 ユナイトレッドの姿が——消えた。


 代わりに現れたのは、黒とシルバーが混じり合った異形の存在だった。


 バイザーの奥の瞳が——赤く染まった。


『……同化、完了。出力——解放』


 それはもはや、カイの声ではなかった。


 システムと人間が融合した、無機質な合成音声。


 グリムは、その姿を前にして——立ち止まった。


「……カイ」


 返事はない。


 ただ、赤く染まった瞳が、グリムを捉えていた。


「カイ・レグリオ!!」


 グリムが叫んだ。


 だが——。


 黒く変貌した姿が、重力を解き放った。


 ドォォォォォンッ!!!


 三魔王が、同時に吹き飛ばされた。


 グリムが壁に激突し、ネビュロスが床を転がり、ヴェルミリオンが天井近くまで吹き上げられる。


「ぐ……ッ!!」


「……これは」


 ネビュロスが、起き上がりながら呻いた。


壱号機シグマ・ワンの力が上乗せされている。出力が——桁違いだ」


「くそッ……!」


 グリムは壁から背を引き剥がし、改めて前を向いた。


 黒く染まったカイが、ゆっくりと歩み寄ってくる。


 重力が歪む。床が軋む。


 三魔王が構えを取り直す。


 だが——。


 グリムの目が、一瞬だけ——後方のライガへ向いた。


 床に座り込んだまま、ライガが見ていた。


 動けない。立てない。


 それでも——その目は、まだ消えていなかった。


 グリムは前を向いた。


(……まだや。まだ終わってへん)


(第18話へ続く)

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!


今回はグリム、ネビュロス、ヴェルミリオンの三人と、圧倒的な力を持つカイとの激しいバトルが描かれました。冷静沈着で強大なカイを、三人がどう連携して追い詰めていくか、という点が見どころだったかと思います。カイも相当な強敵でしたが、ついに最終手段である壱号機シグマ・ワンとの同化へ……!

一体この融合が、今後の戦いにどう影響してくるのか、次のお話も楽しみにお待ちいただけると嬉しいです。


少しでも面白いと感じていただけましたら、ぜひ下の★★★★★から評価をいただけますと、今後の執筆の大きな励みになります!

ブックマークや感想なども大歓迎ですので、ぜひお気軽に残していってくださいね!

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