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第3部 第4話『赫の捕獲者』

【前回のあらすじ】

ライガたちの反撃で量産型執行官が塵と化し、ジャスティスタワーのカイは動揺を隠せない。彼の脳裏に浮かんだのは、身寄りのない孤独な少年だった頃の記憶。唯一の理解者であった少女レヴェリオとの出会いが、世界の不条理に絶望するカイを救い、研究者の言葉が彼に「完璧なシステム」を築く未来を提示した。しかし、その選択と引き換えにレヴェリオは姿を消し、カイは彼女への贖罪として、この統合都市計画を完遂しようとしていたのだった。

 ※本作品の執筆にはAIを活用しています。


 ジャスティスタワー中層付近。

 螺旋階段を駆け上がってきた四人のレッドは、広大な円形プラットフォームに辿り着き、足を止めた。

 無機質な照明を反射する真新しい装甲の下で、彼らの心臓は早鐘を打っている。


 セイジ(セイジレッド)は、バイザー内に投影されたHUDヘッドアップディスプレイを操作し、地上へ通信を繋ぐ。

「ポルク、聞こえるか。現在地をロケートしてくれ」


『現在、タワーの中層付近です! カイが居座る最上階、統合中枢コアへはそこから直通エレベーターで一気に上がれます! 』

 ポルクの必死な声に続き、ライガ(バーニングレッド)が割り込んだ。


「魔王たちの容体はどうだ? もう時間は経ったはずだが」

『いま回復率は75%といったところね。』

 エルザの理知的な声が返る。

『完全回復にはまだ時間がかかる。でも、カイの計画進行速度を考えたら、のんびりはしていられないわ。リスクを承知でカプセルの代謝速度を限界まで引き上げている』


「……わかった。エルザ、そっちは任せた」

『健闘を祈るわ』


 通信が切れた瞬間、フロア全体に重苦しい駆動音が響き渡った。


「全員気をつけろ! 何か来るぞ」


 プラットフォームの四隅。そこには巨大な円筒形のエレベーターが四機、沈黙を守っていた。


 カシュゥゥゥ……ッ!


 排気音と共に、四機のエレベーターの扉が同時にスライドした。 中から現れたのは、先ほど粉砕したシルバーの量産型エコーズとは明らかに異なる、威圧感を放つ四つの影。


 その装甲は、正義を象徴する鮮やかな赤ではない。魔族の生命エネルギーを極限まで濃縮した、ドス黒い「生き血」の色に染まっている


 フロアの巨大モニターに、玉座に座るユナイトレッド(カイ)の姿が映し出された。


「そう驚くことはない。先ほどの量産機エコーズは、君たちの最新データを採取するための『使い捨てのセンサー』に過ぎない」

 カイの冷笑が響く。

「この《Σ=機甲四騎》(シグマ・リビルド)こそ、君たちのために用意した『席』だ。不確定な感情を排除し、完璧なシステムの一部として機能するための……生体CPUとしての席をね」


「ふざけやがって! 席なんざ、自分でもぎ取るもんだ!」


 アシュレイ(ブレイズレッド)が吠える。

 彼の「承認欲求」は、今や「存在証明」への渇望へと変わっていた。


「見せてやるよ、俺がここにいる証をッ!

 《爆熱・喧嘩殺法ブレイズ・ブローリング》!!」


 アシュレイが肆号機シグマ・フォーに突っ込む。

 型などない。頭突き、肘打ち、至近距離での爆発。泥臭く、獣のように荒々しい乱打が、漆黒の装甲を叩く。

 だが、肆号機シグマ・フォーはその全てを最小限の動きでいなしていく。


『学習完了。攻撃パターン:V-04。……単純、予測容易』


「単純で悪かったなァ! だがよォ!」

 アシュレイはカウンターを喰らいながらも、強引に腕を掴んだ。

「捕まえたぜ! 《爆砕拳エクスプロージョン・ビート》!!」

 ゼロ距離射撃のような爆発拳。だが、肆号機シグマ・フォーは装甲を振動させ、衝撃を拡散させて無傷。逆にアシュレイの腕を万力でねじ上げる。


「ぐ、がァッ……!?」

「アシュレイ!」


 吹き飛ばされたアシュレイを庇うように、レクス(ジャッジレッド)が割って入る。

 迫る参号機シグマ・スリー肆号機シグマ・フォーの連携攻撃。


「俺が、みんなの盾になる!

 《威圧のプレッシャー・シールド》!!」


 レクスは大剣を盾として構え、衝撃波の壁を展開する。

 だが、参号機シグマ・スリーは衝撃波の隙間を縫うようにワイヤーを射出。大剣に絡みつき、レクスの巨体ごと引きずり倒そうとする。


『学習完了。攻撃パターン:J-03。……防御偏重、機動力低下』


「くっ、力負けはしない……!」

 レクスが踏ん張るが、防御の要を封じられ、胴体がガラ空きになる。


「させるか! 《双刃連破クロス・キャリバー》!」


 横合いから飛来したX字の斬撃波がワイヤーを切断する。

 セイジ(セイジレッド)だ。彼は弐号機シグマ・ツーと高速戦闘を繰り広げながら、的確に援護を入れた。


「助かった、セイジ!」

「礼は不要だ。だが……戦況はかなりキツイな」


 セイジは冷や汗を流しながら、弐号機シグマ・ツーの攻撃を紙一重で回避する。

 《音速機動ソニック・エッジ》による残像攻撃。だが、弐号機シグマ・ツーはセイジが「出現する位置」に先回りして攻撃を置いてくる。


『学習完了。攻撃パターン:S-02。……演算ロジック、解析終了』


「私の計算が……読まれているだと……!?

 いや、読ませているのか? 過去の私のデータを!」


 三人が苦戦する中、ライガ(バーニングレッド)だけが、壱号機シグマ・ワンと互角以上に渡り合っていた。


「させねぇよ……! これ以上、俺の仲間を傷つけさせてたまるか!」


 壱号機シグマ・ワンが鋭利な手刀を突き出す。

 ライガはそれを紙一重でかわさず、あえて踏み込んだ。


「《熱波防御ヒート・シールド》・収束!」


 全身に展開する防御膜を左腕一点に集中させ、敵の手刀を受け止める。

 ジュウウゥッ!

 超高温の空気が壱号機シグマ・ワンの腕を焼き、動作をコンマ数秒遅らせる。


「そこだッ!!」


 生じた隙に、右の《爆熱剛拳バーニング・ナックル》を叩き込む。

 だが、単調なストレートではない。インパクトの瞬間にスラスターを逆噴射し、ひねりを加えた螺旋の衝撃。


 ガギィィン!!


 壱号機シグマ・ワンの胸部装甲がひしゃげ、火花を散らして後退する。

 力任せではない。熱と技、そしてリーダーとしての判断力を組み合わせた巧みな一撃。


『警告。攻撃パターン:B-01。……変則的、予測誤差あり』


 壱号機シグマ・ワンのセンサーが赤く明滅し、警戒レベルを引き上げる。

 ライガは追撃の手を緩めない。


「バラバラじゃジリ貧だ! 奴らは個別の動きを学習し続けている!

 なら、学習が追いつかないほどの最大火力で、一気に押し切るしかない!」


 ライガの叫びに、三人の目が覚める。


「全員、最大出力! 必殺技で迎撃する!」

了解ラジャー!」

「おうよ!」

「承知した!」


 四人の腕にあるサング(変身ブレス)が、限界突破の警告音を鳴り響かせる。



「行くぞッ!!」


 四つの影が同時に翔けた。

 


「燃え上がれ! 俺の魂ィッ!

 《灼熱噴火・火柱プロミネンス・ガイザー》!!」


 アシュレイが地面を殴りつけると、シグマたちの足元から巨大なマグマの火柱プロミネンス・ガイザーが噴き上がり、黒い機体を空へと打ち上げる。


「逃がさん! 法の名のもとに、断つ!

 《処刑執行エクセキューション・バスター》!!」


 レクスが大剣に全エネルギーを注ぎ込み、巨大な光の断頭台を形成。打ち上げられた機体へ、必殺の一撃を振り下ろす。


「そこだ、演算終了!

 《蒼閃・無双連斬ブルー・ストリーム・ラッシュ》!!」


 セイジが音速を超え、残像すら残さぬ神速で機体の周囲を旋回。全方位から同時に数千の斬撃を浴びせ、装甲の継ぎ目をこじ開ける。


「これで終わりだァァァッ!!

 《燃焼全開バーニング・フルドライブ》!!」


 最後にライガが、全身全霊の熱量を右拳に収束させ、こじ開けられたコアめがけて突っ込む。

 四つの極大奥義が一点に収束し、シグマ兵団を光の渦へと飲み込む──はずだった。


 ドォォォォォォォン!!


 閃光がタワー内部を白く染め上げる。

 だが、その光の中心で。


『エネルギー量、規定値を超過。……吸収モード、展開』


 無機質な音声と共に、シグマたちの胸部装甲がパックリと裂け、ブラックホールのような闇が口を開けた。


 ギュオオオオオォォォッ……!


 放たれた必殺のエネルギーが、爆発することなく、その闇の中へと吸い込まれていく。

 炎も、光も、斬撃の衝撃さえも。

 すべてが「餌」として飲み込まれた。


「な……ッ!?」

「吸収……された……?」


 全力を出し切った直後の硬直。

 エネルギー切れ(ガス欠)を起こした四人の動きが、一瞬止まる。


 その隙を、学習し進化した悪魔たちは見逃さなかった。


「吸収効率、100%。……接続リンク開始」


 黒い影が躍る。

 アシュレイの背後に忍び寄った肆号機シグマ・フォーが、その鋭利な指先を装甲の隙間に突き立てた。


「が、あ……ッ!?」


 物理的な痛みではない。神経系に直接侵入してくる、冷たく粘着質な何か。

 黒い触手が傷口から侵入し、アシュレイの肉体を内側からジャックする。


「アシュレイ!!」


 レクスが大剣を振るおうとするが、エネルギーを吸われた身体は鉛のように重い。

 その巨体を、参号機シグマ・スリーが正面から抱きすくめるように捕獲する。


「ぐおォッ……! 貴様ら……離せッ!!」


『学習完了。捕獲対象:J-03。……同化プロセス、実行』


 レクスの黄金の装甲が、参号機シグマ・スリーの黒い液体金属に飲み込まれ、溶け合っていく。


「レクス!! くそっ、私の計算が……!」


 セイジがバックステップで距離を取ろうとするが、弐号機シグマ・ツーは既にその退路を塞いでいた。

 彼の「《音速機動ソニック・エッジ》」すらも完全に解析され、先回りされていたのだ。


『学習完了。捕獲対象:S-02。……処理終了』


 弐号機シグマ・ツーの手がセイジの頭部を掴み、強制的にシステムへ接続リンクする。


「ぐ、あぁ……思考が……塗りつぶされ……」


 次々と仲間たちが黒い闇に飲まれ、悲鳴が途絶えていく。

 ライガは壱号機シグマ・ワンを蹴り飛ばし、仲間のもとへ駆け寄ろうとするが、足がもつれる。

 エネルギー切れの反動と、目の前の光景への絶望が、彼の足を止めた。


『チェックメイトだ、ライガ』


 タワーのスピーカーから、カイの冷徹な声が響いた。


 その瞬間。

 アシュレイを取り込んだ肆号機シグマ・フォー、レクスを取り込んだ参号機シグマ・スリー、セイジを取り込んだ弐号機シグマ・ツーが、異様な変貌を遂げた。


 漆黒だった装甲が波打ち、捕食したレッドたちの特徴を浮かび上がらせる。

 アシュレイを取り込んだ機体は、刺々しいマグマのような黄色いラインを走らせ、獣のような姿勢で唸り声を上げる。

 レクスを取り込んだ機体は、装甲が肥大化して金色の重装甲となり、右腕が巨大な刃へと変形した。

 セイジを取り込んだ機体は、流線型の青いフォルムへとシェイプされ、背部から無数のセンサーアイを展開する。


 シグマ・スーツモード。

 かつての仲間たちの能力と命を奪い、兵器として最適化した姿。


「嘘だろ……。みんな……?」


 ライガは立ち尽くす。

 目の前にいるのは、かつての仲間たちの成れの果て。

 意志を奪われ、最強の兵器の「部品」として組み込まれた、悲しき傀儡たちだった。


 絶望的な包囲網の中、ライガの孤独な戦いが始まろうとしていた。


(第5話へ続く)

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!


今回はジャスティスタワー中層での激戦をお届けしました。《Σ=機甲四騎》との戦闘を通して、改めてレッドたちの連携、そして個々の戦い方が垣間見えたのではないでしょうか。特に相手の「学習能力」という壁に、どう立ち向かうのかが今回の見どころだったかと思います。

カイの計画、そして魔王たちの容体も気になるところですが、まずはこの強敵を乗り越えられるのか……次以降の展開にもご期待ください!



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