第3部 第2話『決死の覚悟』
【前回のあらすじ】
ジャスティスタワーの内部を駆け上がるライガたち元・正義の味方は、かつての親友であり独裁者となったカイへの複雑な感情を語り合う。自分たちの弱さがカイを「神」へと祭り上げてしまったと自覚した彼らは、その傲慢な親友を人間界に引きずり下ろすことを決意。彼らの「反逆」は、カイが生み出した自律機甲兵団との激突で幕を開ける!
※本作品の執筆にはAIを活用しています。
タワー内部、螺旋階段と広大なアトリウム。
そこは、無機質な殺意の檻と化していた。
「排除……排除……」
「ターゲット捕捉。行動パターン照合……一致」
シュンッ! と風を切る音と共に、銀色の影がライガたちの死角へ回り込む。
「速い……!?」
現れたのは、流線型のシルバーボディを持つ四脚の自律兵器だ。
重力を無視して壁を這い回り、単眼から照準レーザーを放ちながら、群れをなして襲いかかってくる。
まるで銀色の蜘蛛か、あるいは獲物を狩る猟犬か。
感情のない単眼が、かつてのレッドたちをただの「排除対象」として冷徹に見据えていた。
カイがライガたちの戦闘データを基に量産した自動人形――《量産型執行官》。
「くそッ! なんだこいつら、硬えぞ!」
アシュレイ(ブレイズレッド)が毒づきながら、炎の拳を叩き込む。
だが、執行官は紙一重でそれを回避し、正確無比なカウンターを返してくる。
ガギィッ!!
アシュレイの装甲から火花が散る。
要塞墜落時のダメージが蓄積したスーツは、本来の防御力を発揮できず、衝撃がダイレクトに生身へと響く。
「ぐ、ぅ……ッ!」
「アシュレイ、下がるな! 囲まれるぞ!」
ライガ(バーニングレッド)が割って入り、熱波で敵を牽制する。
だが、敵の動きはあまりに統率が取れていた。こちらの攻撃リズム、癖、連携のタイミング……すべてが読まれている。
「……学習しているのか」
セイジ(セイジレッド)が、回避行動を取りながら分析した。
「奴らのAIには、我々の過去の戦闘データがすべてインプットされている。加えて、今の私たちのスーツ損耗率は40%を超えている……。スペックでも情報でも、完全に不利だ」
レクス(ジャッジレッド)が大剣を振るうが、三体の執行官に同時に抑え込まれ、動きを封じられる。
「ぬうぅッ! 小賢しい真似を!」
ジリ貧だった。
彼らの腕にあるサングに装填された「魔力カートリッジ」は、ポルクが持たせてくれた虎の子だ。
カイとの決戦に備え、魔力を温存しなければならない。だからこそ、騙し騙し戦っているのだが、それが裏目に出ていた。
(このままでは、カイの元にたどり着く前に削り殺される……!)
セイジのバイザー内で、アラートがけたたましく鳴り響く。
『勝率:低下中』『推奨:撤退』
かつての彼なら、ここで「損切り」を考えただろう。だが、今の彼は違う。
「……計算式を変える必要があるな」
セイジは双剣を弾き、バックステップで距離を取った。
そして、通信回線を開き、叫んだ。
「みんな、聞いてくれ! 提案がある!」
「なんだセイジ! こっちは手一杯だぞ!」
アシュレイが悲鳴を上げる。
「このまま戦ってもジリ貧だ。……一度、変身を解除する」
「はぁッ!? 正気か! 生身になった瞬間にハチの巣だぞ!」
「違う。『再変身』だ!」
セイジの言葉に、ライガが目を見開く。
変身システムには、装着者の肉体を魔力でコーティングし、スーツを修復する機能がある。
一度変身を解き、即座に再変身すれば、スーツのダメージはリセットされ、万全の状態に戻る。
「だが、それをやればカートリッジの残量が……!」
レクスが懸念を示す。再変身には膨大な魔力を消費する。カイ戦に残すべきリソースだ。
「今は非常時だ!ケチっている場合か!」
セイジが吠えた。
「未来のリソースを心配して、今ここで死んだら元も子もない!
それに……奴らが学習しているのは『傷つき、疲弊した私たち』だ。
万全の状態に戻れば、奴らの予測データを上回れる!」
それは、かつての「効率至上主義」のセイジからは出てこない言葉だった。
未来の安全マージンを捨て、今の生存に全てを賭ける「ギャンブル」。
だが、その計算には熱がこもっていた。
「……へっ、現実主義が言うじゃねぇか」
アシュレイがニヤリと笑う。
「乗ったぜ。ボロボロの鎧じゃ、見栄えも悪くて敵わねぇ!」
「ああ。……ここで立ち止まるわけにはいかない」
ライガが頷き、全員の覚悟が決まる。
「タイミングを合わせろ! コンマ1秒でもズレれば肉塊だぞ……3、2、1……」
「「「「強制解除!!」」」」
シュウウゥゥ……!
四人のスーツが光の粒子となって霧散する。
防御力ゼロの生身が、殺意の檻の中に晒された。
『装甲消失。好機――殲滅推奨』
機械兵団のセンサーが赤く輝き、一斉に殺到する。
鋭利なブレードが、ライガたちの喉元に迫る。死まで、あと数センチ。
だが、その刹那の「タメ」こそが、彼らの狙いだった。
「今だッ!! 見せてやる、俺たちの魂の覚悟を!!」
4人は叫び、新しいカートリッジを装填したサングを掲げる。
「「「「ジャスティス・チェンジ!!!」」」」
ドォォォォォンッ!!!!
アトリウムの中心で、魔力の爆発が起きた。
変身の瞬間に発生する高密度のエネルギー干渉波。それは防御壁であり、同時に最強の拒絶だ。
迫りくる機械兵団が、変身の衝撃波だけで紙屑のように吹き飛ぶ。
光が収まると、そこには傷一つない、完全な姿の四人の戦士が立っていた。
装甲のヒビは消え、出力は最大。
『ターゲット再確認……エラー。行動予測不能。エネルギー値、論理限界を突破』
機械兵団が困惑したように動きを止める。AIには理解できないのだ。リソースを浪費してでも「今」を掴み取る、人間の非合理な熱量が。
「データ通りに動くだけの人形に、今の俺たちは止められねぇよ」
アシュレイがガントレットを打ち鳴らす。
「行くぞ! 一気に片付ける!」
ライガが号令をかける。
ここからは、一方的な蹂躙だった。
「《爆熱剛拳》!!」
ライガの拳が、敵のガードごと装甲を粉砕する。
「《爆砕拳》!!」
アシュレイが敵の群れに飛び込み、爆発的な乱打でスクラップに変えていく。
「《断罪両断》!!」
レクスの大剣が、三体まとめて一刀両断にする。
「《双刃連破》!!」
セイジの双剣が、演算速度を超えた神速で敵のコアを正確に貫く。
数分後。
動くものはいなくなった。
床には、かつての自分たちを模した鉄屑だけが転がっている。
四人は荒い息を吐くこともなく、静かにタワーの上層を見上げた。
魔力は消費した。退路はない。
だが、その足取りは、来る時よりも遥かに軽かった。
「……カイ。待っていろ」
新生した四つの赤が、決戦の地へと駆け上がる。
(第3話へ続く)
ここまでお読みいただき、ありがとうございます!
今回は、ライガたちレッドが《量産型執行官》に追い詰められ、絶体絶命の状況からの逆転劇となりました。過去の戦闘データを学習され、スーツも消耗している中で、セイジが提案した「再変身」という命がけの戦術!
一度変身を解除し、無防備な生身を晒すという、まさに「魂の覚悟」を問われるような場面でしたね。普段は効率を重視するセイジが、未来のリソースよりも「今」を掴み取るギャンブルに出たあたり、彼の成長を感じていただけたら幸いです。特撮ヒーロー的な「再変身」の瞬間は、熱くなりましたね!
魔力を大きく消費した彼らですが、覚悟を新たにし、いよいよカイとの決戦へと向かいます。
次話もぜひお楽しみに!
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