第3部 第1話『それぞれの思い』
【前回のあらすじ】
監視都市と化したリドラムの中心で、人々の意志と魔力を均一化するジャスティスタワーが完成した。ライガたち四人はその計画を阻止すべくタワーに侵入し、カイは彼らを「部品」と見なし切り捨てたことを明かし、怒りに燃える四人は、カイの野望を打ち砕くためカイの待つ場所を目指してタワーを駆け上がろうとしていた。
※本作品の執筆にはAIを活用しています。
ジャスティスタワー内部。
天を衝く巨塔の内部には、長い螺旋階段が伸びていた。
カツン、カツン、カツン!
四つの足音が、無機質な赤い非常灯の下で重なり合う。
「……ハァ、ハァ……! クソッ、なげぇな!」
沈黙を破ったのは、最後尾のアシュレイ(ブレイズレッド)だった。
彼は苛立ちを隠そうともせず、壁を拳で叩きながら走る。
「なぁ、ライガ。……一つ聞いていいか」
「なんだ」
「カイの野郎はさ。……本当に俺たちのこと、何とも思ってなかったのかよ。一度くらい……本気で笑ったこととか、ねぇのかよ」
その問いに、ライガより先に答えたのは、セイジ(セイジレッド)だった。
「……ないな。私のメモリにある限り、彼の表情筋が動いた回数は極端に少ない。笑顔を見せたとしても、それは『計画が順調に進んだ時』の冷ややかな安堵だけだ」
セイジは淡々と、しかし自嘲気味に続ける。
「彼は完璧すぎた。だからこそ、不完全な私たち(ノイズ)を理解できなかったし、理解しようともしなかった。……彼にとって他者とは、予測通りに動く『関数』か、排除すべき『エラー』の二択しかないんだ」
「違いない」
巨躯を揺らして走るレクス(ジャッジレッド)が、重苦しく同意する。
「だが……奴をあそこまで冷酷にしたのは、俺たちの弱さでもある。
俺たちが思考を止め、奴に全てを委ね、その『完璧さ』に甘え続けた結果……アイツは一人で『神』になるしかなかったのかもしれん」
レクスの言葉に、全員が息を呑んだ。
被害者面はもう終わりだ。自分たちもまた、あの独裁者を作り上げた共犯者だったのだ。
「……ああ、そうだな」
先頭を走るライガが、前を見据えたまま口を開く。
その背中には、かつてのような迷いはない。
「あいつは強かった。そして、誰よりも世界を憂いていた。
けど、あいつは弱さを知らなかった。失敗する痛みも、泥にまみれて立ち上がる熱さも……全部『無駄』だと切り捨ててしまった」
ライガは胸元のドッグタグを握りしめる。
「俺は、あいつを一人にした。
あいつが理想という名の氷の城に閉じこもるのを、止めてやれなかった。
……だから、今度は逃げない」
ライガの拳に、熱が宿る。
「神様気取りの親友を、泥だらけの人間界に引きずり下ろす。
……それが、俺たち『元・正義の味方』の、最後の仕事だろ!」
「へっ……違えねえ!」
アシュレイがニヤリと笑い、速度を上げた。
「引きずり下ろして、一発殴ってやらねぇと気が済まねぇ!」
「合理的だ。……計算式を書き換えに行こう」
「法ではなく、俺たちの意志でな」
四人の足音が一つになる。
迷いは消えた。恐怖も消えた。
あるのは、燃え盛るような「赤き意志」のみ。
その時。
頭上に、無機質な駆動音と共に無数の影が現れた。
カイが作り上げた「完璧な兵士」――感情を持たない自律機甲兵団だ。
「お出迎えか。……上等だ!」
ライガが叫ぶ。
「行くぞ! ここから先は、俺たちの『反逆』だ!!」
(第2話へ続く)
ここまでお読みいただきありがとうございます!
第3部開幕。
「元・正義の味方」となったライガたちの、カイへの複雑な想いと、それでも立ち向かう決意が描かれた回でした。螺旋階段を登る足音と共に、彼らの心の中の迷いが消え、揺るぎない「赤き意志」が宿っていく様子を感じていただけたなら幸いです。
親友を「神」から「人間」に戻そうとする彼らの「反逆」、いよいよ本格始動です!
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