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第2部 第20話『魂の再起動(リブート)』

【前回のあらすじ】

空中要塞『ジャッジメント』での激闘を終え、魔王グリムたちは満身創痍の状態に陥っていた。ライガは救出の礼を述べ、元研究員のポルクとエルザと共に、傷ついた魔王たちの治療に当たる。しかし、カイが「アーネストシティ計画」を完全起動させ、人々が意識を吸い込まれる危機に直面。魔王たちの回復には時間がかかるため、レッドたちはそれぞれの決意を胸に、カイを止めるべくジャスティスタワーへと走り出した。

※本作品の執筆にはAIを活用しています。


夜のノクタリア。ジャスティスタワーから放たれる禍々しい赤色の波紋が、静まり返った街を不気味に侵食していた。

その静寂を、四つの足音が切り裂く。

ライガ(バーニングレッド)、セイジ(セイジレッド)、レクス(ジャッジレッド)、アシュレイ(ブレイズレッド)。

彼らは組織のバックアップを失い、ポルクから託された予備の魔力カートリッジを装着したサング(変身ブレス)を唯一の命綱として、漆黒の塔を目指し駆けていた。


「……みんな、走りながらでいい。聞いてくれ」

先頭を走るライガが、吐息を白く弾ませながら重い口を開いた。

「俺たちが今まで『正義』だと信じて纏ってきたこのスーツの真実を……そして、俺がカイと決別したあの日、何が起きたのかを」


背後を走る三人の視線がライガの背中に刺さる。中でもアシュレイは、虚飾のテンションを完全に失い、自分の腕を滴り落ちる幻の血から逃れるように、幽霊のような足取りで続いていた。


「エルザとポルクが居た……あの兵器開発局の地下で、俺は見てしまったんだ」

ライガの声が、苦い記憶を反芻するように震える。

「カプセルに詰め込まれ、機械に繋がれ、物言わぬ部品と化した魔族たちの姿。俺たちのスーツの『赤』……それは、魔族の『生体エネルギー』そのものだった。俺たちが『正義』と呼んでいたものは、異種族の命を燃料にして動く、巨大な搾取のシステムだったんだ」


「……知らなかったでは、済まされない」

セイジが眼鏡の奥で、計算の合わない現実に唇を噛む。


「それだけじゃない」

ライガは、タワーの影を睨みつけながら言葉を継いだ。

「俺たちがその真実を知った瞬間、……カイは、証拠隠滅のために施設ごと俺たちを爆破して殺そうとした。俺は魔王たちの協力で救われ、真意を問うために要塞へ戻った。だが、カイは『あれは必要な犠牲だ』と冷たく言い放ったんだ。」


ライガは、かつて親友であった男との決定的な断絶を語った。

「個性を消し、思想を統一すれば、争いは起きない。誰も傷つかない世界が完成する。」


「そうカイは言って俺の変身権限を剥奪し、路傍の石のように捨てたんだ」


「捨てられたか……。俺たちも、あの日のライガと同じように」

レクスが重苦しく呟く。


「俺はこのサング(変身ブレス)を魂の叫びで無理やりオーバーライドして戦った。だが、カイは俺の身体に強制洗脳プログラム『傀儡マリオネット』を流し込み、俺の心を殺した。」


ライガは足を止めず、一気に言葉を畳み掛けた。

「俺はもう決めた。この戦いが終わったら、俺はジャスティスフェイスを辞める。そして、魔族の血を啜り、俺たちの心を汚し続けたこのスーツを、俺自身の手で全て破壊する。二度と、こんな歪んだ力に誰も依存させないために」


その宣言を聞いたアシュレイが、掠れた声で漏らした。

「……俺は空っぽだ」 アシュレイが低く唸るように、どこか自虐的だった。


「この『赤』が、俺の名前を塗りつぶしていた血の色だってんなら……こんなもん、要らねぇよ。……俺は、俺自身の血で、俺がここにいたって証拠を刻んでやる!」

高揚した叫びではなく、自分という存在を取り戻そうとする、死に物狂いの決意。


「……合理的ではありませんが、賛同します」

セイジが、壊れたデータの代わりに「意志」という変数を選び、決意した。

「私も、この冷酷な計算機の殻を脱ぎ捨ててみたくなりました」


「俺もだ」

レクスが大剣を強く握り直す。

「法という盾に隠れるのはもう終わりだ。自分の罪を背負い、自分の頭で裁く。ライガ、お前の道に最後まで同行させてもらう」


四人の意志が、ノクタリアの闇を切り裂く一筋の「赤」となった。

もはやカイに与えられた色ではない。彼ら自身が選び取った、贖罪と覚悟の赤だ。


目の前に、巨大な漆黒の塔が立ちはだかる。

ジャスティスタワー。


「行くぞ!」

ライガの号令と共に、四つの影が垂直に聳え立つタワーへと潜入しようとしていた。

かつての親友を、かつての支配者を、そして自分たちを縛り続けた偽りの正義を、魂ごと殴り飛ばすために。


夜明け前の静寂の中、彼らの背中には、もはや組織の部品ではない、一人の人間としての光が宿っていた。


(第21話へ続く)

いつもお読みいただきありがとうございます!


今回のお話は、ライガたちがこれまで信じてきた「正義」の真実、そしてカイとの決定的な決別、そして何よりも彼ら四人の「覚悟」を描く、非常に重要なターニングポイントとなりました。


これまで「正義の色」として纏ってきた「赤」が、彼ら自身の選択によって「贖罪と覚悟の赤」へと意味を変えていく様は、書いていて私自身も胸に迫るものがありました。アシュレイ、セイジ、レクスそれぞれの決意の言葉も、彼ら一人ひとりの魂の叫びとして受け止めていただけたら幸いです。


いよいよ次回からは、ジャスティスタワーでの最終決戦へと突入していきます。彼らがどんな戦いを繰り広げ、どんな結末を迎えるのか、ぜひ最後まで見守っていただけると嬉しいです。


面白い!、続きが気になる!と感じていただけたら、ぜひ下の★★★★★から評価をお願いします! ブックマークや感想も、執筆の大きな励みになりますので、どうぞよろしくお願いします!

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