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第3話『炎と裁きの衝突』

※本作品の執筆にはAIを活用しています。




爆ぜた。

一瞬の静寂の後、世界は赤と黒の奔流に飲み込まれた。


最初に動いたのは、やはりこの男だった。

「うおおおおおおおおッ!!!」

喉が裂けんばかりの咆哮と共に、グリムが地を蹴る。その拳には、憎悪と魔力が混じり合った赤黒い炎が渦巻いている。


狙うは、黄金の重装甲――ジャッジレッド。


「害虫が。法の重みを知れ」

ジャッジレッドは微動だにしない。ただ、身の丈ほどもある巨大な処刑剣エクスキューショナーを、羽毛のように軽く振り上げただけだ。


轟音。

炎の拳と鋼の剣が正面から激突し、衝撃波が周囲の瓦礫を粉々に砕く。


おもッ……!」

グリムの膝が軋む。ジャッジレッドの剣圧は、単なる腕力ではない。それは彼らが信じる「正義」という概念の重さそのものだった。

「貴様の行動は秩序への反逆。判決は――死刑だ」


鉄仮面の奥から響く、感情のない宣告。グリムは歯を食いしばり、至近距離で睨み返す。

「勝手に決めるなや! 誰がてめえらに裁く権利をくれたんや!?」

「力だ。正しき力こそが、正義を定義する」

「ほな、そのクソみたいな定義ごと、俺がへし折ったるわ!」


グリムが拳の炎を爆発させ、無理やり剣を弾き返す。力と力の押し合い。理屈の通じない獣同士の喧嘩が幕を開けた。


一方、戦場の側面では、静寂と狂騒が交錯していた。


「ターゲット捕捉。行動パターン解析開始」

セイジレッドが双剣を構え、残像を残すほどの速度で疾走する。その切っ先が狙うのは、後衛に立つネビュロス。

だが、氷の魔王は動かない。片眼鏡の奥の瞳で、迫りくる蒼き刃を冷ややかに見つめるだけだ。


「速いな。だが、直線的すぎる」

ネビュロスが指先を弾くと、大気中の水分が瞬時に凝固し、幾重もの氷壁が出現した。

「障害物検知。回避ルート算出――」

セイジレッドは速度を緩めず、氷壁を足場にして三次元的な機動で肉薄する。

「無駄だ。私の演算からは逃れられない」


「計算機には解けまいよ。人の心が描く“不確定要素”まではな」

ネビュロスの魔導書が輝き、氷壁が爆散して無数のつぶてとなってセイジレッドを襲う。

論理と混沌。計算と即興。互いの知性が火花を散らす。


そして、上空。

「ヒャハハハ! 燃えろ燃えろぉ!」

ブレイズレッドが両手から火球を乱れ撃つ。狙いも定めず、周囲一帯を焦土に変える無差別爆撃。

その炎の雨の中を、優雅に舞う紫の影があった。


「野暮だねぇ。美しさの欠片もない」

ヴェルミリオンは幻影の蝶と位置を入れ替えながら、爆炎を軽やかに躱していく。

「なっ、どこ行きやがった!?」

「こっちだよ、単細胞さん」

ブレイズレッドの背後に現れたヴェルミリオンが、耳元で甘く囁く。その手には、神経毒を帯びた紫煙が揺らめいていた。


三つの戦場で、三つの信念が衝突する。

だが、戦況は拮抗していた。

ジャスティスフェイスの装備は未知のテクノロジーによって強化されており、魔王たちの魔法を物理的に相殺してくるのだ。


「チッ、硬ってぇな……!」

グリムが距離を取り、荒い息を吐く。

その様子を、後方で見守る白き装甲――バーニングレッドが静かに見据えていた。


「……やるな。ただの暴徒じゃない」

「だが、所詮は烏合の衆だ」

隣のユナイトレッドが冷たく切り捨てる。「個々の能力は高くとも、統率がない。いずれ崩れる」


「どうかな」

バーニングレッドは、なぜか胸の奥がざわつくのを覚えていた。

目の前で泥にまみれながら戦うグリムの姿。その瞳の光が、かつて自分が抱いていた何かに似ている気がしてならなかったのだ。


「……行くぞ、ユナイト。俺たちも出る」

「了解だ。終わらせよう」


リーダーたちが動き出す。

戦局は、さらなる激化の一途をたどろうとしていた。


(第4話へ続く)

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