第23話『赤と銀、交錯する正義(後編)』
【前回のあらすじ】
互いの信じる「約束」が食い違ったまま、ライガとカイは激突する。言葉では届かない想いを拳に乗せ、二人の戦いは熾烈を極めていく。
※本作品の執筆にはAIを活用しています。
「うおおおおおおッ!!」
「はぁぁぁぁぁッ!!」
司令室の壁が砕け散り、二つの光が夜空へと飛び出した。
赤と銀。
流星のように交錯しながら、互いに致命的な一撃を放ち合う。
彼らの纏うエネルギーは限界を超え、大気を焼き焦がしながら地上へと落下していく。
一方、地上。
崩壊した研究所から脱出したグリムたち魔王三人と、救出された二人の研究員は、森の中で空を見上げていた。
「おい、あれ……!」
グリムが指差す先、夜空に赤と銀の閃光が奔り、隕石のように地表へ向かってくる。
「高エネルギー反応、衝突地点予測……この広場です!」
小太りの研究員が、割れたタブレットを見ながら悲鳴を上げる。
「逃げるぞ、巻き込まれる!」
長身の女性研究員が叫ぶ。
ズガガガガガァァァン!!
轟音と共に、広場の中央に巨大なクレーターが穿たれる。
衝撃波で木々がなぎ倒され、土煙が視界を奪う。
グリムたちは防壁を展開し、何とか衝撃を耐え凌いだ。
「……ライガ!」
クレーターの底。
土煙が晴れる中、二つの影がゆらりと立ち上がった。
「……ハァ、ハァ……」
カイが口元の血を拭う。その端整な顔は歪み、余裕は消え失せていた。
スーツの銀色は泥にまみれ、光翼は片方が折れている。
「なぜだ……ライガ。
お前はただの兵士だ。私のシステムの一部だ。
なぜ、管理者を上回る力が出せる……!」
「……俺が強いんじゃない」
ライガはふらつきながらも、一歩踏み出す。
右腕のヒート・ガントレットは過熱で白く発光し、限界を超えている。
だが、その拳はまだ死んでいない。
「俺は弱いから、迷うから、誰かのために強くなろうとした。
お前は……一人で完璧になろうとして、他人の痛みを切り捨てた。
その違いだ!」
ライガが拳を構える。その背中を、駆けつけたグリムたちが見守る。
「目を覚ませ、カイ! 俺たちが守りたかったのは、システムなんかじゃない!
泥だらけになっても、笑って生きようとする『人間』だったはずだろ!」
その言葉が、カイの胸に刺さる。
かつての記憶。『俺たちは、誰も泣かない世界を作るんだ』。
あの日、泥だらけで語り合った夢。それが今、目の前の男の拳に宿っている。
(……眩しいな、お前は)
カイは、自嘲気味に笑った。
その表情に、ふと、昔の面影が重なる。
「……ライガ。お前の言う通りかもしれないな」
カイが、ふっと力を抜いた。
「カイ……!」
ライガが表情を緩め、手を差し伸べる。
「帰ろう。もう一度、やり直そう。俺たちなら……」
「ああ。やり直そう」
カイもまた、手を伸ばす。
その指先が触れ合う寸前。
「――ただし、私の『理想』の中でな」
カイの瞳が、冷徹な光を宿す。
彼はライガの手を取ると同時に、もう片方の手で自身のデバイスを操作した。
「システム、強制執行。
対象:バーニングレッド・接続ポート。
思考制御コード『傀儡』――インストール」
バチバチバチッ!!
ライガの腕の変身ブレスから、どす黒い電流が逆流した。
神経接続を通じて、脳髄を直接焼かれるような激痛が走る。
「が、あ……ああああああッ!?」
「なっ、何してんねん!」
グリムが叫び、飛び出そうとする。
「来るな!」
カイが視線だけで重力波を放ち、魔王たちを弾き飛ばした。
「きゃあっ!」「うわぁぁ!」
研究員たちも巻き込まれ、地面を転がる。
「ぐ、う……カイ、何を……!」
ライガが膝をつき、頭を抱えて悶え苦しむ。
視界がノイズに覆われ、自分の記憶、感情、意志が、黒いデータに塗りつぶされていく。
守りたかった少女の笑顔も、グリムと交わした約束も、全てが遠ざかっていく。
「抵抗するな。楽になれ」
カイが、倒れたライガを見下ろして告げる。
「お前のその強さ、その輝き……捨てるには惜しい。
私の『計画』のための、最強の剣となれ」
「や、め……俺は……俺は……!」
(俺は……誰かの、盾に……)
最後の抵抗も虚しく、ライガの瞳から光が消えていく。
燃え盛っていた瞳の炎が、冷たく、無機質な赤へと凍りつく。
数秒後。
そこには、直立不動で佇むバーニングレッドの姿があった。
その瞳は虚ろで、何の感情も映していない。
「……システム、掌握完了。
コマンド待機中」
ライガの口から出たのは、機械のような音声だった。
カイは満足げに頷き、身構える魔王たちの方を指差した。
「よく戻った、バーニング。
……テストだ。目の前の障害を排除せよ」
「了解」
バーニングが、ゆっくりとグリムたちの方を向く。
その拳に宿るのは、かつての温かい炎ではない。
ただ敵を殲滅するためだけの、冷酷な業火。
「嘘やろ……おい、正義の味方!」
グリムが叫ぶが、届かない。
放たれた火球が、グリムの足元を焼き払う。
「……ッ、本気か!」
「いけません、あの炎は……殺す気です!」
小太りの研究員が震え上がる。
「なんてこと……仲間まで道具にするなんて!」
女性研究員が唇を噛みしめる。
「撤退だ!」
ネビュロスが叫び、氷の壁を展開する。
「今のあいつは、我々の知る男ではない! まともにやり合えば全滅するぞ!」
「くっ……カイ!」
魔王たちは、血の涙を流す思いで背を向けた。
研究員二人も、覚悟を決めたように魔王たちの後を追う。もう、戻る場所はない。
最強の戦士が、最悪の敵となって立ちはだかる。
希望の灯火が消え、絶望がノクタリアの夜を塗り潰していく。
カイは、去りゆく魔王たちを見送りながら、静かに空を見上げた。
「これでいい。
……約束は果たすぞ、レヴェリオ」
銀色の仮面の下で、一筋の涙が伝うのを、誰も見ることはなかった。
(第1部完 / 第2部へ続く)
この度は、本作をお読みいただき、誠にありがとうございます。
ついに第1部完となりました!
ライガとカイ、二人の激突はいかがでしたでしょうか? 泥だらけになっても立ち上がろうとするライガの人間らしい強さと、完璧であろうとするカイの信念がぶつかり合うシーンは、書いていて私自身も胸が熱くなりました。
しかし、ラストはまさかの展開……。ライガが「バーニングレッド」として、カイの傀儡となってしまいましたね。魔王たちも撤退を余儀なくされ、希望が絶望に塗り潰される結末となりましたが、カイの最後の涙と、口にした「レヴェリオ」という名前。彼には一体どんな「理想」があり、どんな過去があるのでしょうか? そして、ライガはこのままカイの道具となってしまうのか……? 今後の展開にご期待いただければ幸いです。
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それでは、また次の物語でお会いできることを願っています。




