ツンツン俺様騎士と恋愛フラグたった?
扉が**ドンドンッ!**と、乱暴に叩かれる。
「おい、おまえ、また熱出したのかよ!
俺が見舞い行けって、お父様がうるさいんだよ!」
うるさい。
いや、まずノックって知ってる?
ここ、乙女ゲームの貴族令嬢の部屋なんだけど??
「……どうぞ」
仕方なく返事をすると、扉が勢いよく開かれる。
そこに立っていたのは——
銀髪のイケメン少年。
青い目をキッと光らせ、王族の制服を着こなす彼は、どう見てもざっ騎士って感じ。
はい、出ました。
妹が推してた攻略対象その1、レオニス=フレイザー私の専属騎士
でも、知ってる。 この子、序盤は“ツンツン俺様系”、
かわいい主に塩対応しかしないやつ。
「私、王子と結婚しない!」
「……はああああああああ!?」
レオニスの目がまん丸になって、声もひっくり返った。
「な、何言ってんだおまえええ!? 熱で頭おかしくなったのか!?」
「頭は正常です! むしろ冴えわたってるって感じ!
いい? 私には夢があるの。ステージに立って、この世界の“かわいい”を塗り替えるっていう夢が!」
「……ステージって……え、またその“アイドル”とかいうやつか?」
「そう。“アイドル”よ! 歌って踊って、みんなを笑顔にして!
この顔で、スポットライトの中心に立つの! 結婚? そんなのあとあと!」
「“あとあと”っていうかおまえ、第一王子の婚約者なんだけど!?」
「だから断るのよ。円満に。笑顔で!
王子にとってもそのほうが幸せじゃない? 恋愛ごっこより、国の未来よ?」
「おまえにだけは言われたくねぇわ!!」
レオニスが頭を抱え、ソファに倒れ込む。
「はぁ……マジでやばい。婚約者が突然“世界一のアイドルになります!”とか言い出したら、そりゃ父上もぶっ飛ぶわ……」
「でしょ? だから、先に私がぶっ飛んでおくことで、王子が断れるように仕向けてるの。
“あの子は変だから”って噂が広がれば、破談もスムーズ!」
「……完全に策略家の悪役令嬢じゃねぇか……!」
「違うもん。私は“キラキラのヒロイン”になるの!」レオニスが大きくため息をつく。
「……はぁ。俺の任務、“病弱なお嬢様の見張り”だったはずなんだけどな……」
「レオニスも一緒にアイドルになってもいいんだよ?」
「断る!!!」
即答だった。まぁ、当然か。
でもね、私は本気なの。
この“顔面SSR”な体に転生できたんだもの。
このチャンス、絶対逃さない。
「……ふふん、見てなさい。この世界で、誰よりも輝いてみせるんだから!」
「……おまえさ」
ふと、レオニスの声が落ち着いたトーンになる。
「夢追うのはいいけど、無理はすんなよ。
本当に熱があるなら、ちゃんと休め」
その目は、さっきまでの呆れともツッコミとも違って、どこか優しかった。
……あれ?
これ、もしかして「好感度上昇イベント」とかだったりする?
……いやいやいや、私のルートは“アイドル一直線”だから!
フラグなんて建てません! たぶん!
こうして、波乱の“婚約破棄計画”の第一歩がスタートした。
目指すは、乙女ゲーム世界の常識をぶっ壊す、異世界トップアイドル!
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
婚約者よりステージを選ぶヒロイン、レイヤのアイドル道が始まりました!
兄のレオニスとの関係も、これからどうなるのか…!?
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次回は、**「舞踏会で初ステージ!?」**です!お楽しみに♡