五十三 ハルさんの魅力かな
春吉さんの登場に、リコちゃんが少し身構えたけど、私が「ハルさーん」って呼んだからだろう、すぐに察して、
「コーヒー牛乳のお兄ちゃん?」
そう春吉さんに尋ねている。
「お、リコちゃんだね。そうだよ、コーヒー牛乳大好き、春吉です。ハルって呼んでくれ。」
「ハル、、さん。リコです。こんにちは。」
リコちゃんはすぐにニコリと笑って、春吉さんにペコリと頭を下げた。
「へ〜リコちゃん、ハルさんの事、怖いって思わないんだね。」
可愛く頭を下げる姿に、嬉しくなってそう聞いたら
「祝ー、怖いってなんだよー。天使の笑顔のハル様だぞ〜。」
その春吉さんの顔がなんとも愛らしくて、マコトさんと目が合った時の心臓が大きく鼓動し、締め付けられるような緊張から解き放たれる。
マコトさんは春吉さんに、
「ハル、帰ってきたばかりで申し訳ないけど、頼んだわよ。」
春吉さんは
「問題ないっす。その為に帰ってきたんですから。」
そう言ってサムアップする春吉さんは、スーパーヒーローバリにカッコ良かった。
「ってか、姉ちゃんが大袈裟なんですよー。もっと前に帰って来れたのに。もー暇すぎて暇すぎて病気になりそうでした。」
駄々っ子みたいに文句言いながら春吉さんがPCを立ち上げると、
『ハルー。聞こえてるよー。』
PCから夏乃さんの声が聞こえた。
「やべ。繋がってた。」
リコちゃんは、椅子から飛び降りて春吉さんのPCの前にやってくると、手を振りながら
「わあ〜夏乃せんせー。リコ、痛いの良くなったきました。」
「あ、リコちゃん良かった。今日もちゃんと薬飲んでね。後で行くから。」
「はい。」
昨日ここに来たばかりだけど、リコちゃんを取り巻く優しい人達の中で、ずいぶんと子どもらしく、のびのびできるようになってきている。
マコトさんが春吉さんの肩に手を置き
「じゃあ、ハル、リコちゃん、お留守番よろしくね。」
「了解っす。」
そういった春吉さんの隣にリコちゃんは座ると、
「了解っす。」
春吉さんの真似をして敬礼までしている。リコちゃんの仕草がみんなをホッとさせると同時に、この幼い子を助けようと気持ちが引き締まった。
ガンさんが立ち上がり、マコトさんに
「これだ。これにハマれば良しだが、コマの調べじゃ車椅子生活になってる。探さないとだな。」
「ええ。でも、そのあたりは大丈夫かと。」
「ですね。マコトさんの読み通りだから、きっと問題ないっすよ。」
「うん。」
ガンさんから手渡された、シリコン製だろうか?小さなカップ型をポケットに入れながら、マコトさんは含みを持たせた顔で春吉さんに頷いている。
ガンさんは、ゲンさんにも何かの資料を渡している。
「お任せください。」
ゲンさんは、そう言ってカバンの中に丁寧に資料をしまい、トントンと二回、鞄を叩いた。
マコトさんと春吉さんの話を聞いていた駒井も立ち上がると、
「じゃあ僕は、夏乃先生と合流します。」
「コマちゃん。よろしくね。」
「はい。」
ゲンさんもゆっくりと立ち上がると、
「さて、それではマコトさん、よろしいですかな。」
「ええ。さ、祝も行くわよ。」
私は、マコトさんとあうんの呼吸の皆さんの話を蚊帳の外って感じで聞いていたので、
「え、あ、は、はい。」
突然のマコトさんの指名にビックリして返事をした。そんな私に春吉さんが、
「祝〜。しっかりしろよ。」
って。するとリコちゃんが、
「しっかりしてよ〜。」
そう言って、春吉さんと顔を見合わせて笑ってる。
なんだろう、リコちゃんが春吉さんと打ち解けられて良かったと思ってたけど、さっき会ったばかりの二人の仲良し具合にモヤモヤする。
まあ、私だって春吉さんと、喫茶店クレの夢ちゃんが驚くくらい、すぐに仲良くなった。
もっと言うなら、ずーっと前から春吉さんを知っているって、自分でも勘違いするほど春吉さんと馴染んでいた。きっとリコちゃんのそうなのかも。
特にイケメンでもなく、極々平均値の春吉さんだけど、不思議な魅力があるのかな。エンジニアの腕はチョーチョー凄腕だけどね。
Pには、ガンさんも残った。リコちゃんの人権をとり戻すための戦いには、春吉さんのギリギリを飛び越えたハッキングの力も入るから、警察官のガンさんが参加する訳にはいかないもんね。
マコトさんとゲンさん、私の三人で西条の屋敷に。駒井は夏乃さんが待つ、病院?ではなさそうな場所に一人出かけて行った。




