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十一  からくり屋敷

  春吉さんと笑っていると、うっかり忘れてしまいそうだった。

「ところで、あとの部屋は誰か住んでるんですか?」

「ああ。隣はマコトさんが一応使ってる。」

「一応?」

「ああ。毎日はいないけどな。」

「ふうん。」

「その隣は、シェルターとして使うことがある。」

「シェルター?」

「ここの仕事をやっていけばわかるさ。どうしても非難しないといけない人がいるんだよ。」

「あ、そ、そうなんですね。」

さっきまでの浮かれた気持ちが引いていく。

「いい機会だから、見ておくか。」

春吉さんさんが並びの一番奥の部屋の扉に手をかけたので

「え、こっちですか?」

正面の扉かと勝手に思ったので思わず尋ねると

「そこは、エレベーターに繋がるドアだよ。」

そうなんだと横目で見ていると、春吉さんさんが手にしてたノブから手を話して、

「祝。開けてみな。」

「あ、はい。」

ドアノブに手をかけたが

「あれ?かぎかかってますか?開かない!」

春吉さんの顔を見るとめっちゃニヤニヤしてる。

「なんですか、その顔。」

「その顔ってなんだよ。いい顔だろ、惚れるなよ。」

「惚れませんよ。で、なんですか!」

春吉さんは、もっとニヤニヤして

「ドアにノブがある。そうすると、人は開けようと、押したり引いたりす。な!」

「、、、はい、、、。で?」

「でも、ここは〜。」

そう言って横にスライドさせ、

「はい、この通り!」

開いた。

「わああ!」

「な、驚くだろ。人の心理を利用してんだよ。」

驚いたけど、ふと我に帰り

「えっと、、、。それが、どう、、なんでしょう?」

「お前、人を観察できるけど感は良くないんだな。」

「祝ですよ。えっと、、ん?どう言うこと?」

「俺、シェルターって言ったよな。」

「、、、はい。」

「ってことは、逃げて、隠れるための部屋な!だから、簡単に、」

「あ、開けられないように!ですね。」

「そうだよ。気がつけよ。これ、俺が考えたんだぜ!」

そこで疑問。

「確かにそうですけど、、、。ちょっとした時間稼ぎってだけですよね?」

春吉さん怒るかと思ったけど、いきなり私の頭を思いっきりいい子いい子して、

「祝。今度は鋭い!」

「今度はって、、、。」

「入ってみ。」

引き戸のドアを開けて入ると、作りは私の部屋と同じだった。違うのは、正面にしか窓がないこと、それと、

「クローゼットがある。」

「だな。」

春吉さんさんの後について、クローゼットの前に立つと

「見てな。」

ニヤッとして、クローゼットを簡単に横に50センチほどスライドさせ、そこに現れた壁もスライドさせた。

「えーーー。」

「すげ〜だろ。からくり屋敷だぜ。」

私は、春吉さんを見て、何度も何度も頷き

「ホントに凄い!凄いです!」

「この先、今はマコトさんのクローゼットがあって塞がってる。ただ、シェルターに人が入ると、いつでも隣に逃げられるよにセットされるんだ。作ったのは俺だけど、アイディアはマコトさん。あの人いつでも人のこと考えてるんだよ。アッタケー人なんだぜ。」

春吉さんの顔は、幸せそうに見えた。ふと

「私の部屋とも繋がってますか?」

そう言ったのに、春吉さんさんたら幸せな顔から一気に冷たい顔になって

「お前の部屋と繋がってどうするんだよ。」

「え、どうしてですか?なんでそんな顔?マコトさんの部屋に逃げて、それでも追いかけてきたら、今度は私の部屋まで逃げたら、もっと時間稼ぎになるじゃないですか!」

「お前みたいなヒョロイ奴のところに逃げ込んでも、二人同時に殺されて終わりだろ!死体が増えるだけで、助けにならないだろ。それともお前、盾になるか?」

「えー。殺されるって、、、。そんな大袈裟な。」

さっきまでのノリで、そんなご冗談をって、半笑いで春吉さんをみたんだけど、そこには怒っているとも、泣いているとも言えない、なんとも哀しげな顔をした春吉さんさんが立っていた。

「本当にそうならいいんだけどな。」




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