一 神使職《しんししょく》
向こうの世界から神使職になるための修行で、幼い頃にこちらの世界に降ろされた新情 祝。大学を卒業して、こちらの世界でちゃんと就職できたら、向こうの世界の戻って神使職として働く。大学3年の祝の修行が開けるのもあと一年。それなのに内定一つももらえない。このままじゃ向こうの世界に戻れないよ!
誰にだって終わらせやいことがある。
私は大学三年、新情 祝。今は三年だけど、もうすぐ四年になる春が来る。そう、就職活動始まるけど、本当の意味では、終わる頃ってこと。
「おはよう。祝。」
「ああ、おはよう。」
「相変わらずふぬけてるね。」
「朝から元気なんて、ミーぐらいでしょ。」
そうよ、ふぬけるよ。仲間内で内定出てないのは私だけ。元気がある方がおかしいでしょ。ミーは唯一、幼稚園からの幼馴染、立花美里。ミーはいいよね、内定も出てるし、単位だってもうすぐ全部とれて。あとは大学生活楽しむだけだもんね。
「で、聞いてもいい?」
「聞かないでー。」
「マジ。一つも!」
「あーーーー。もう聞かないでってば。」
「まあさ、まだ大学生なんだし。焦らない、焦らない。」
「なんか、ミーに言われると、、、。」
「何?心から励ましてるんだよ。」
「じゃあ、内定一つちょうだいよー。」
本気だった。本気でミーの内定でも、誰のでもいい、内定が欲しかった。
こっちの親に無理言って、大学に進学した。
「奨学金で学費を払うから、少しだけ生活費をお願い。」
親は、
「そんなに無理しなくても短大にしたらいいんじゃないの。」
て言ったけど、私は大学を選んだ。
だって、大学出た方が箔がつくに決まったる。そのほうが何かと有利に事が運ぶはず。向こうに帰った時も。
しかし、親の言うことは聞いておくべきだった。四年間の大学生活を終わる時には400万の借金を背おった女が誕生する。社会人マイナス400万スタート女。だからこそ給料の一円でも高い会社に就職をしたい。その為にボランティアもいっぱい行ったし、インターンシップだって誰よりも頑張った。もちろんバイトだって生きてく為に何よりも頑張った。
それなのに、なぜこんな仕打ちを受けなくちゃいけないのよ。
「はあああああ。」
ミーが引くほどのため息を残し
「帰る。」
なんの宣言かってほど、通る声でそう言うと席を立って帰途についた。
私には、幼馴染で大親友のミーに秘密がある。
こっちの親。つまり、向こうの親もいる。つまり、ここにいるのは仮の姿なんだ。
今は修行の身で、本当の意味で社会人になるのはこっちの世界じゃなくて、本来自分のいる世界。
こっちで就職先がちゃんと決めて、大学卒業して、初めて修行が終わったと認めてもらえて、めでたく本来の世界に戻って職につける。
こっちで使った奨学金だってそれに見合った就職先が決まれば、たぶんチャラになるはず。たぶん、きっと。だから就職先は重要だ。
私が戻る世界はここで言う雲の上。つまり、天空。そう、私は神様!!
に使える神使職になる予定なんだ。
神使職候補は子供の頃にこっちの世界に降ろされ、人として修行の道を生きていく。見た目は変わんないけど人と決定的に違うのは、浮く事ができるってところ。
高さは修行によって得られるんだけど、私の場合は、現在1センチ。
たった1センチと思うかもしれないけど、そもそも人は浮くことができないんだから、私は凄い!
多分凄い、、、はず、、なんだと思う。