空と天使とラムネ
昼休み。僕は今日も屋上で空を見ている。ぼんやりと空を眺めていると、雲が天使の形に見えた。人によってはそうは見えないかもしれない。でも、僕には天使に見えた。
天使は空にいるものだから、この世で雲が一番天使に近い存在なのかもしれない。僕はそんなことを考えた。くだらないけれど、なんだか楽しい。
そんなふうに考えながら雲を見ていると、昨日と同じ女の子がまた屋上に来た。手にはお弁当を持っている。ここで食べるのだろうか?彼女は黙って屋上の隅に向かい、静かに腰を下ろしてお弁当の蓋を開けた。
僕は少し考えた後、勇気を出して話しかけることにした。理由は単純で、同じ場所にいるのに話しかけないのは、なんだか不自然だと思ったからだ。
「こんにちは。一人?」僕は声をかけた。
「うん」彼女は目を丸くして答えた。どうやら僕がここにいることに気づいていなかったらしい。
「屋上、よく来るの?」僕は尋ねた。
「うん」彼女は小さく頷いた。でも、なかなか目が合わない。どうやら人見知りのようだ。僕も人見知りだから、なんだか似ているなと思った。
「あの雲、形が面白いよね?」僕は雲を指さして言った。
「そう…かな…?」彼女は困ったような顔をした。
そのまま沈黙が訪れる。
「元気ないね。大丈夫?」僕は思い切って尋ねてみた。
「教室は居心地が悪くて」彼女は小さな声で答えた。
「確かに、教室って窮屈だよね」僕は頷いた。少し気まずい空気が流れたけれど、ふと僕は思いついて言った。
「あっ、ラムネあげるよ」僕は自分の手にラムネを乗せ、彼女は見せた。
「えっ?何これ?」彼女は驚いたように言った。
「これを食べると、あの雲が天使に見えるよ」
「天使?」
「そう、天使。天使を見ると元気になれるんだ」
「本当に?」
「空って無限に広がってるよね?だから、空を見ているだけで気持ちが解放されるんだよ」
「解放…?」
「嫌なことも、空を見ていると少しずつ楽になるってこと」
「ふーん…」彼女は少し考え込むような顔をしていたけれど、僕はそのまま続けた。
「まあまあ、とりあえず、このラムネ、食べてみてよ」僕はそう言って、彼女にラムネを渡した。