第三十七話 ダンジョン探索再開
次の日の朝。
3人で仲良く寝ていた俺は(ロボさんを仲間外れにしたつもりはな~い!)、一足早く起きると、地上へ弁当を買いに行った。
複数の店で、なるべく食材が被らないように気を付けながら、5万円分の弁当を購入した俺は、転移魔法で拠点にさっと戻って来ていた。
「マスター~~~~~!」
戻って来ると、どうやらその間に起きていたようで、いきなりルルムに抱き着かれた。
今回は、上半身――と言うよりかは顔面に突撃されたせいで、首への負荷がちょっと凄い事になってる。
ちょっとゴキッて鳴ったような気がするが……気のせいという事にしておこう。
「どうどう……落ち着け。ルルム」
「えへへ~~~」
俺は若干身体を仰け反らせながらそう言うと、ルルムの背中を優しく擦りながら、そっと地面に降ろしてあげた。
「ご主人様よ。地上へ行ってたようじゃが……何用でじゃ?」
「ん? ああ、聞いてなかったか。ただ普通に飯のストックを買いに行ってただけだよ。ほら、一々上に戻るのは面倒だろ?」
ロボさんと共に家から出てきたアルフィアの問いに、俺は事無げもなくそう返した。
「なるほど。そういう事じゃったか。じゃが、別にわざわざ買いに行かんくとも、ダンジョンで調達出来るじゃろ?」
「いや……俺もそうなんだが、流石にあれを食べた後に、魔物肉なんて……食べたくないだろ?」
アルフィアのもっともな疑問に、俺はよりもっともな答えを返す。
アルフィアは魔物だが、今は人化中。俺と味覚はほぼ一緒。
故に――
「あ……うむ! 勿論じゃ! 言われてみれば、もうあれには戻れんのう……」
今思い出したかのように、そう言うのであった。
やはりアルフィアも、地上飯の虜になってしまってたか……
「ルルムも、食べるのであれば魔物よりも地上で食べた飯じゃろう?」
「うん、もちろん! ルルムはマスターが教えてくれた、”美味しい”って食べ物を、ずっとず~~~っと食べた~~~い!」
そして、ルルムに話を振った。
それに対し、当然のようにルルムも頷く。
あとルルムよ。細かくて申し訳ないが、”美味しい”って食べ物は無いからな?
「そうだな……っと。よし。そんじゃ、行きますか。第893階層に《転移拠点》を設置出来たら、好きな弁当を食わせてやる」
そんな何気ない一言に。
「おお! それはやる気がでるのう!」
「やった~~~!!!! マスター大好き!」
2人は今にも飛び上がりそうなぐらい、喜んでいた。
ただそうなると、俺たちと同じ飯が食べられないロボさんが、可哀そうになってくるな。
別にロボさんは、この事について何とも思っていないだろうが、俺は気になるからなぁ……
「地上で魔導工学について学んで、性能強化……かな」
科学技術と魔法を組み合わせた魔導工学は、いくら魔法に対する理解の深い俺でも、学ぶ余地のあるものばかりだと思う。
理想を言うのであれば、大学や大学院に行って、一から学んでみたいものだが……
「まあ、無理だし、ちょっと嫌だな」
学校は学校で、悪いイメージしか無い場所だからな。
昔の事が蘇って来て、無意識に拒絶してしまうんだよ。
「専門書買って、独学で学んでみるのはありかもな」
元々魔法に対する理解はかなり深いし、科学技術に関しても、基礎的な事はあらかた分かっているつもりだ。
300年前の知識にはなるが……まあ、何もかもアテにならないって事にはならない筈。
「……っと。話が脱線しちゃったな。取りあえず、第892階層に転移するぞ【亜空よ、開け――《空間収納》】」
そう言って、俺は《空間収納》から《世界を侵す呪剣》と《浮遊する聖剣》を4本取り出す。
そして、《範囲空間転移》を発動させると、全員を第892階層に転移させた。
「よっと。【この身の枷たる傷を癒せ。一刻でも多く闘い抜き、果てへと至らん為に――《常闘不堕》】」
第892階層に降り立った俺は、即座に自己回復魔法――《常闘不堕》を発動させて、実質不死身になる。
その間、アルフィアとルルムは周辺確認。ロボさんは《完全障壁》により、アルフィアたちを守るように展開していた。
「グルルルルウゥゥ!!!」
直後、俺たちが中に足を踏み入れた事により、ダンジョンの内壁から魔物が産み出され始めていた。
もう、時間は無いな。
「アルフィア。後は頼んだぞ」
「うむ! 任されたのじゃ!」
アルフィアの頼もしい声を聞いた俺は――詠唱を開始した。
「【真なる殺戮の宴をここに。代償は理性。血と屍の山を作れ――《屍山血河》】」
直後、俺の精神を支配するのは――純然たる殺意。
ああ、殺したい。
俺を害する全てを――
ああ、殺したい。
俺の敵を――
ああ、殺したい。
邪魔する者全てを――
全員――死ね!
死ね!
死ね死ね!
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね――
「ああああああああ!!!!!!!!」
深紅の瞳を宿しながら。
俺は――目につく物全てを、血と屍に変えていった。
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